【 目次 】
近年、定年退職後の収入に対する関心の高まりから、定年が近づいた50代から投資を始める方が増えており、その選択肢の一つとして不動産投資も人気が高まっています。今回は定年後に向けて不動産投資を始めるメリットや見込める収入などを解説します。
不動産投資を始めるメリットは?
では、不動産投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、定年が近づいた50代から不動産投資を始める4つのメリットについて解説します。
安定的な収入を得られる
不動産投資では、賃貸経営を行うことによって、賃貸収入から安定的な不労所得を得ることができます。平均寿命の長い日本では、定年後にも長い老後生活が待っており、その期間の収入源は、基本的にそれまでの貯金や退職金、公的年金のみとなるでしょう。
しかし、年金支給開始年齢の引き上げや退職金の減少傾向などの現状を考えると、老後に「安定した収入源」を確保しておくことは、極めて重要です。賃貸経営では、空室にならない限りは、安定的かつ長期的な家賃収入を見込むことができます。
生命保険の代わりになる
実は不動産投資には、生命保険の代わりになるという性質があります。これはどのような仕組みなのでしょうか? マンションや一戸建てなどの住宅をローンで購入する際、購入者は、団体信用生命保険に入ることが求められます。
これは、ローンの返済期間中に重度の障害を負う、又は死亡した場合に、ローンの残債が全て払われるという保険です。そのような場合、残された家族のもとには負債のない住宅が資産として残されますので、家族はこれを利用して家賃収入を得ることができるのです。
ただし、団体信用生命保険は医療保険ではないため、「重度の障害」に該当しない病気や負傷を負ってしまった時には、適用できません。そのような場合、思うように就労ができない一方でローンの返済は続いてしまうといったケースも考えられますので、注意が必要です。
節税・相続対策になる
不動産投資を行うことにより、所得税や相続税の税額を抑えることが可能です。
所得税
不動産所得額は、以下のような式で決定されます。
不動産所得額 = 収入金額 − 必要経費
ここでいう収入金額には、家賃収入だけでなく、契約を更新する際の手数料、共益費用等が該当します。
必要経費には、減価償却費やローン金利、固定資産税、修繕費などが含まれます。この時、収入金額を必要経費が超える、つまり不動産所得額が赤字になってしまった場合には、赤字分を他の課税所得から控除することができます。
相続税
老後に向けた不動産投資としては、相続税の節税がとりわけ重要ではないでしょうか。
不動産の相続では、不動産の「評価額」によって税額が決定されます。土地の評価額は「路線価」という基準をもとに算出され、また建物の評価額は「固定資産税評価額」という基準をもとに算出されます。「路線価」や「固定資産税評価額」は、政府と自治体によって定められています。
ところが、このようにして算出される相続税の課税対象額は、土地の実際の市場価値や建物の建築費用と比べて割安になります。なぜなら、路線価は国が定める地価公示価格の80%程度、固定資産税評価額は建築費用の50%〜60%ほどで計算されているからです。
この他にもいくつかの措置を適用できれば、課税対象額をさらに抑えることが可能です。
以下の関連記事では、このような節税効果について、実際の数字を用いて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:不動産投資がなぜ相続税対策に?
インフレ対策になる
不動産投資の大きなメリットの一つとして、景気の影響を受けにくいということが挙げられます。
インフレ(物価上昇)時は、現金の価値が下がります。
例えば、従来は1個100円で買えていたパンが、物価の上昇により1個110円でしか買えなくなった場合なら、1円で買えるパンの量は、1/100個から1/110個に減少しているといえます。つまり、貨幣価値は下がっています。
一方、実物資産である不動産はインフレと共に値段が上がっていくため、価値が目減りすることはありません。
気をつけたい不動産投資のリスク
以上のように様々なメリットのある不動産投資ですが、リスクもあります。ここでは、定年を見据えて不動産投資を行う際に気をつけるべき、一般的なリスクについて解説します。
空室のリスク
不動産投資において、最も避けたいリスクの一つが空室リスクです。物件が空室となっている期間は、住宅ローンの支払いや広告宣伝費、固定資産税などが継続して発生する一方で、家賃収入がないため、収支がマイナスになってしまいます。さらに、なるべく借り手が見つかりやすいようにと考え、家賃を引き下げざるを得ない状況に陥る可能性もあります。
空室の主な原因には、需要の減少、また物件の老朽化が挙げられます。需要の減少とは、賃貸物件がどれも等しく余ってしまうということではなく、立地の特性や物件の条件によって借り手がつきづらくなるということです。
投資物件を選ぶ際には、駅からの距離や近隣の商業施設、築年数、都心までの時間、間取りなどの一般的な条件だけでなく、長期的に高い賃貸需要が維持されるであろう地域を考えて選ぶことが肝心です。
また、当然ながら建物は、年月の経過や仕様によって老朽化が進みます。空室のリスクを回避するためにも、事業計画を立てる段階で将来的な修繕・改良の費用を考慮しておく必要があります。空室状態が長期間継続するようであれば、大規模なリフォームやリノベーションを行うことも視野に入ってきます。
空室のリスクというものが投資物件の運用においてどのような位置付けになるかは、以下のようなイメージで理解できます。
空室リスクを回避する方法としては、購入する段階で好条件の不動産を選ぶ、こまめに修繕・回収して老朽化を防ぐといったことが挙げられます。また専門の不動産会社を通して運用すれば、例えばサブリースを行ったり、不動産会社との間で空室保証の契約を結んだりといった、リスク低減のための様々な工夫が利用できます。
地震や火事などのリスク
可能性の低いリスクではありますが、地震や火事などの場合を想定して、地震保険・火災保険に入っておくことが必要です。特に、首都直下型地震のリスクの高い現在では、地震に強い物件を選ぶことが重要です。
建物には、建築基準法によって耐震性に関して基準が設けられています。耐震基準は、1981年を境に旧耐震基準から新耐震基準に変更されており、現在は新耐震基準が敷かれています。建物を購入する際には、新耐震基準を満たしていることを必ず確認しましょう。
関連記事:リスクを制する者は不動産投資を制す!不動産投資6つのリスクとリスクヘッジの方法
他の金融商品と比べて、不動産投資ってどうなの?
不動産投資の他にも、老後への備えとして様々な方法が考えられます。では、他の資産運用方法と比べた時、不動産投資はなぜ老後への備えに向いているのでしょうか? ここでは、銀行預貯金、株式投資、FX、投資信託の4つを取り上げてみます。
銀行預貯金
銀行での預貯金は換金性が高く(すぐに現金を引き出すことができる)、またリスクが低いといえます。他方、利率が非常に低いため、銀行にお金を預けることによって利益を得ることは難しいでしょう。例えば、年利0.02%の普通預金金利で月額5万円、年間60万円を得ようとすれば、30億円を預け入れなければなりません。
株式投資
株式投資における収益モデルは、株の価値変動を利用して売買を行い、その差額を利益として得るものに加えて、株を保持している企業から配当金があります。株式投資は、株自体がインフレに強いこと、短期で利益を得やすいことがメリットとして挙げられます。
しかし、企業や景気の動向に気を配っていなければならず、企業倒産や株の暴落のリスクなどもあります。
FX
FXは、通貨の価値変動に合わせて、売買を行い、その差額によって利益を得るものです。少額の自己資本金からでも大規模な取引を行うことが可能であり、加えて短期間で大きな利益を得ることもできます。
一方、常に為替動向や社会情勢の変化に気を配って為替取引を行わなければならず、そのテンポは株式投資以上に速いものです。また、一夜にして通貨価値が暴落し、多額の損失を負ってしまうというリスクも孕んでいます。
投資信託
投資信託は、資本金をプロの投資家に委託し、運用してもらうというものです。資産の分散投資や海外株式への投資が手軽にできるようになります。一方、ファンドマネージャーの費用が高額になる場合や、元本割れを起こす危険性も存在し、さらに社会情勢に対してアンテナを張っている必要も生じます。
これらの投資と比べてみると、不動産投資は、短期間で莫大な利益を得ることはできないものの、安定的に一定程度の収入を得ることができます。そのため、定年後の備えとしての投資に向いているといえるでしょう。
加えて不動産投資では、金融機関から融資を受けることができます。これにより、自己資金だけで投資するのと比べて大きな利益を上げられる「レバレッジ効果」を得ることができます。株式投資などでは融資を受けることはできませんので、不動産投資の魅力的な特徴といえます。
金融商品 | 安定性 | 収益性 | 運用の大変さ |
銀行 | ◎ | × | ◎ |
株式投資 | × | ◎ | × |
FX | × | ◎ | × |
投資信託 | ○ | ◯ | ○ |
不動産投資 | ◎ | ○ | △ |
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は、定年が近づいた50代から不動産投資を始めるメリットやリスク、他の金融商品との比較について解説しました。定年を見据えての不動産投資は、老後の生活を大きく左右するものとなります。
そのため、どのような条件の不動産を選ぶか、そしてどのように運用していくかをよく考える必要があります。また、不動産投資の専門家に相談することも検討してみると良いでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
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