投資物件の価値を左右する!修繕タイミングと目安コスト

投資物件の価値を左右する!修繕タイミングと目安コスト

不動産投資をするにあたり、避けられないのが修繕です。たとえ新築の不動産を購入したとしても、経年により必ず劣化し、修繕や設備交換を行わなければならない時期が訪れます。きちんと計画を立てておかないと思わぬ出費になるだけではなく、修繕費用を準備できないがために不動産投資を継続することが困難になってしまう場合もあります。不動産投資をする際には長期的な修繕計画を立て、計画的に修繕費用を積み立てていかなければなりません。

また、区分投資の場合は管理組合が立てた大規模修繕が適切かどうかを判断する必要もあります。

今回の記事では、物件の主な修繕項目や修繕のタイミングと費用相場、修繕費用の準備法、大規模修繕における適切性の判断ポイントをご紹介します。

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物件の管理・修繕は入居率や資産価値に大きく関わる

不動産投資をする中で最も重要なのは物件の資産価値を保つことです。経年劣化による資産価値の下落は、そのまま家賃の下落や空室リスクにつながり、安定した家賃収入が得られなくなってしまいます。また、不動産を売却する際にも、予想を超えて資産価値が下がっていると、最終的に赤字で確定してしまうことになりかねません。

物件の資産価値を保つためには、点検や修繕・設備交換を定期的に行うことが必要です。

 

不動産の修繕をするタイミングと費用の目安

それでは、主な設備において、不動産の修繕をするタイミングと費用の目安をご紹介します。なお、修繕周期や費用は周囲の環境や管理の度合い、使い方によって大きく変わりますので、あくまで目安として考えてください。
 

設備名称 修繕周期 費用
屋上、ルーフバルコニー 木造:8~10年
鉄筋コンクリート造:10~15年
木造:50万円
鉄筋コンクリート造:200万円
外壁、床 木造:8~10年
鉄筋コンクリート造:10~15年
11,000~12,000円/㎡
鉄部塗装 5~7年 木造:50万円
鉄筋コンクリート造:100万円
給水・排水設備 25年 木造:200万円
鉄筋コンクリート造:600万円
ガス・電気設備 25年 木造:30万円
鉄筋コンクリート造:150万円
消防設備 15~20年 木造:50万円
鉄筋コンクリート造:200万円
エレベーター 30年 1,000万円程度
集合ポスト 24年 1~2万円/戸
自動ドア 10~15年(使用回数によって異なる) 50万円~

※施工・リフォーム事例から目安の相場を算出していますので、目安として参照ください

 

区分投資か一棟投資かで修繕を行う箇所が異なる

マンション投資は一部屋単位で購入する「区分投資」と一棟全体を購入する「一棟投資」に大別されます。どちらを選ぶかで、修繕にかかる手間や費用、修繕費の準備法も異なりますので、まずはその違いを押さえておきましょう。

 

共有部分と専有部分

マンション投資を行う際には、「専有部分」と「共用部分」の別について理解しておく必要があります。専有部分と共用部分は 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法・マンション法)によって区分されています。
区分マンションにおいては、専有部分は天井・壁・床といった躯体に囲まれた箇所を指します。

マンションの躯体や廊下、階段、エントランス、駐車場といった入居者全員が使う箇所は「共用部分」と呼ばれます。室内側におけるマンションの躯体に当たる天井、壁、床は共用部分に分類され、自由に張り替えたり穴を開けたりすることはできません。また、ベランダやバルコニーなども共用部分に区分されますが、基本的にはその部屋の住民しか使用できません。

 

一棟投資の場合

一棟投資の場合は、専有部分、共有部分に関わらずマンション全ての管理、修繕を行います。大規模修繕のタイミングや管理方法などを全て自分で決定することができるため、非常に自由度の高い不動産経営が可能です。

しかし、その反面維持管理費や大規模修繕費などで多額の費用負担がかかるほか、自分自身で長期的な修繕計画を立てなければならず、区分投資の場合よりも不動産に関する高度な知識が必要になります。信頼できる専門家に相談しながらマンションの状態を把握し、修繕計画を立てて、計画的に積み立てを行う必要があるでしょう。

 

区分投資の場合

自身の責任において修繕を行う箇所は専有部分のみです。専有部分に関しては、規約の範囲内であれば、自分自身の裁量で内装や設備に手を加えて資産価値を上げることが可能です。

しかし、共有部分は所有権がなく、自分で手を加えることはできません。共有部分の管理・修繕はマンションの管理組合が行います。区分マンションを購入すると、管理組合に入り、管理費や修繕積立金を管理組合に支払うことになります。組合員は管理組合にお金を払うだけではなく、大規模修繕を含むマンション管理に関して意思表明をする必要があります。そのため、管理組合の規約や細則、設備ごとの修繕のタイミングや費用相場を把握しておくことが大切です。

また、管理組合が管理を行うとはいっても、実際のところは管理会社に管理費を支払い、管理を委託するケースがほとんどです。区分投資を行う際には、質の良い管理会社が入っている物件を選ぶことも重要です。

このように、一棟投資と区分投資では修繕箇所や修繕費の準備方法が異なります。次項以降は、特に区分投資に焦点を当て、修繕に関する注意点をご紹介します。

自主管理・委託管理の違いや管理会社の選び方についてはコチラの記事を参照ください。
関連記事:自主管理と管理委託、どっちがいいの?物件の管理方法について解説

 

事業収支計画と同時に修繕計画も立てておくのがポイント

不動産投資を行う際には、長期的な計画を作成し、その中でのキャッシュフローを掴み、将来予測を立てておくことが重要です。その際に修繕計画を併せて立て、修繕費用を組み込んでおくことで、予想外の出費で赤字になってしまった、というような事態を防ぐことができます。以下に詳しくご紹介します。

 

修繕計画に基づいた修繕費用を資金計画に組み込む

不動産投資を始める時点で、事業収支計画に修繕のための費用を計上した形で修繕計画を立てておきましょう。まずは修繕項目を列挙し、かかる費用と時期を一覧にまとめます。

特に中古マンションの場合は、新築時から手を加えていない設備と、既に修繕・交換を行っている設備が混在していること、使用状況や環境によって劣化具合に差があることから、専門家に相談しながら修繕計画を立てると良いでしょう。

修繕計画を立てたら、何年後にどれくらい資金がかかるかを整理し、資金計画に組み込みます。それを元に計画的に資金を準備していきましょう。

修繕積立金に関するリスク・失敗事例についてはこちらを参考にしてみてください。
関連記事:修繕積立金がない物件購入による不動産投資の失敗例

 

修繕費は家賃収入から捻出して積み立てる

修繕費は資金計画に従い、家賃収入から少しずつ積み立てておきましょう。また、専有部分に関しては退去時に原状回復が必要になります。フローリングやクロスの変色、家具の設置跡といった借主の過失ではない通常消耗はオーナー負担で修繕を行うことになります。そうした費用がかかることも想定し、修繕費は多めに積み立てておきましょう。

 

修繕費や修繕積立金も経費として扱える

投資用不動産を購入、運営し、家賃収入を得るようになると、自分で確定申告を行う必要が生じます。その際、修繕費や修繕積立金も経費として計上できます。収入から経費分を差し引くことで支払うべき税金が少なくなりますので、どれだけ経費がかかったかを領収書などの書類を元にまとめておき、きちんと申告しましょう。

ただし、修繕積立金に関しては以下の条件を満たしていなければ経費として認められません。項目を満たしていない場合は実際に修繕が行われた際、経費として計上することになります。管理規約をよく読んで、条件に合っているかどうかを確認しておきましょう。

 

1】区分所有者は管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負っている

2】管理組合は修繕積立金を区分所有者に返還しない

3】将来の修繕等のためにのみ使用され、ほかに流用しない

4】長期修繕計画に基づいて合理的な方法で金額が算出されていること

 

また、専有部分を修繕する目的のもと、自分自身で積み立てを行っているお金は、積み立て段階では経費に計上することはできません。実際に修繕を行った際、修繕費として計上することになります。

不動産投資の経費と計上できる内容についての詳細をまとめています。
関連記事:確定申告で困らないように知っておきたい!不動産投資の経費として計上できる費用とは

 

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管理体制の良し悪しを見極める

区分投資の場合、専有部分は自分自身で管理・修繕を行いますが、共用部分に関しては管理組合もしくは組合の委託した管理会社が管理・修繕を行うことになります。たとえ室内の内装や設備が充実していたとしても、共有部分である外観やエレベーターなどの共有設備が劣化している場合、マンション自体の資産価値は下がり、空室リスクが高まってしまいます。

不動産投資の成否は管理の質にあると言っても過言ではありません。区分投資を始める際には、管理組合の立てた大規模修繕計画や管理会社の選定が適切かどうかをしっかり確認しましょう。

 

管理組合に修繕計画の有無を確認する

修繕計画はマンション竣工時に立てられる場合がほとんどですが、古いマンションの場合修繕計画がないケースもあります。マンションを購入する際には、管理組合に修繕計画の有無を確認しましょう。

 

修繕計画が適切かどうかを確認する

管理組合が修繕計画を立てていたとしても、それだけで安心してはいけません。杜撰な計画しか立てておらず、修繕の時期や予算の計画が細かく設定されていない場合もあります。いざ大規模修繕を行うという段階になって、修繕費用が足りない、必要な修繕を滞りなく実施できないといった問題も生じえますので、不動産会社や管理会社に相談しながら、修繕計画が適正かどうかを確認しておきましょう。

なお、修繕積立金の総額や修繕工事履歴、管理費・修繕積立金の滞納額は管理会社が発行する「重要事項に係る調査報告書」に記載されていますので、そちらを確認し、判断材料にすると良いでしょう。

 

管理会社に委託している場合

先ほどご紹介した通り、管理業務全般を管理会社に委託しているケースも多く見られます。管理会社がどの程度大規模修繕計画について把握しているか、状況に応じて適切に管理組合にアドバイスをしてくれるか、事前に確認しておきましょう。特に中古マンションの場合は、長期修繕計画を把握していない管理会社が管理している物件は選ばないようにしたほうが無難です。

 

まとめ

物件の資産価値を保ち、空室リスクを軽減させるためには、長期的な修繕計画を立て、それに合わせて計画的に修繕費を積み立てることが重要です。区分投資の場合は専有部分の管理・修繕は管理組合が行うことになりますので、大規模修繕計画が適切に立てられているか、管理会社に委託している場合は、その管理会社が計画を正確に把握しているかどうかを確認する必要があります。そのためにも、管理を他人任せにはせず、管理規約や設備の修繕時期、費用の目安といった情報を得ておきましょう。

プロパティエージェントはマンション管理のプロフェッショナルとして、管理組合様やオーナー様をサポートし、定期的な管理業務や長期的な修繕計画に関するアドバイスを行います。区分マンション投資を考えている方は、ぜひ当社にご相談ください。

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