【 目次 】
マンションの資産価値は、部屋の広さや最寄りの駅までの距離といった要素だけで決まるわけではありません。同じ広さの物件や駅までの距離が同じ物件であっても、間取りが違えば資産価値が異なってきます。資産価値は将来物件を売却するときなどに非常に重要になってくるため、マンション購入にあたっては間取りと資産価値の関係についても良く知っておくようにしましょう。
マンションの資産価値とは
不動産における資産価値の概要
資産価値とは資産を財産として評価した価値であり、基本的に市場での取引価格と等しくなります。不動産の資産価値の算出にはいくつかの方法がありますが、今回は積算価格という土地と建物とを分けて考える方法を中心に考えてみます。一般的に土地の資産価値は年数が経過しても変化しない一方、建物の資産価値は建築後に時間が経過するにつれて減少していくとされています。
このことから、わずかな土地しか所有しない区分所有のマンションは積算価格という観点からは資産価値を保ちにくい物件であることを知っておかなければなりません。戸建住宅などの場合は建物だけでなく土地も所有することになるため資産価値が落ちにくいとされています。一方区分所有のマンションなどでは年数が経過して建物が老朽化した場合には、資産価値が大きく減少してしまうことも考えられます。資産価値は将来物件を売却する際にも非常に重要な指標ですので、資産価値が高い物件、あるいは資産価値が落ちにくい物件を選んで所有することが大切です。
不動産における資産価値の決定要因
それでは、不動産の資産価値はどのようにして決定されるのでしょうか。
■土地価格の決定要因
土地の価格は、以下の四つの指標や実勢価格などを参考にして決定されます。
- 公示地価
国土交通省が全国の標準地を対象に定めた地価であり、土地取引の際の指標となります。 - 基準地価
各都道府県知事が定める地価です。公示地価に類似したもので、公示地価を補完する役割があります。 - 固定資産税評価額
各市町村が固定資産税の課税のために3年に一度更新する地価であり、公示地価の70%が目安となっています。 - 相続税路線価
国税庁が相続税などの課税のために定めている地価であり、道路を判断基準として定められます。公示地価の80%が目安となっています。
どの指標が用いられるかは評価主体などによって異なりますが、総括すると立地によって決まるとまとめることができます。
■建物価格の決定要因
一方で、建物価格についてもいくつかの計算方法がありますが、その物件を再度新築する場合の価格と法定耐用年数を併せて考えるというのが一つの方法です。
計算上では上記のような算出方法となっていますが、物件を売却する場合には、物件自体の特徴という観点も見過ごすことはできません。具体的には専有面積や間取り、設備や仕様などが挙げられます。
その中でも今回注目したいのが間取りです。国土交通省の実施している平成29年度住宅市場動向調査では、分譲マンション取得世帯の75%が「間取り・部屋数が適当」であることを住宅の設備等に関する選択理由として挙げています。このことからも、市場での物件の価値を左右する要素として間取りへの注意が欠かせないことがわかります。
間取りごとの資産価値の違い
資産価値の高い間取り
では、どのような間取りが入居者からの人気が高く、資産価値が高いのでしょうか。資産価値の高い間取りについて簡単に紹介していきます。
- 単身者向け物件
単身者向けの物件は、堅調な人気を保っています。近年1DKや1LDKなど、部屋の広さを求める人も増え、部屋のバリエーションは豊かになっています。部屋が広くなればなるほど購入費用が増してしまうという点も考慮する必要があります。1Rや1Kもいずれ堅調な人気を保っているため、投資先としては依然有効な選択肢と言えます。
- 二人暮らし向け物件
二人暮らし向け物件も、単身者向け物件と同様に広めの物件が好まれる傾向にあります。2LDKであればそれぞれのプライベートの時間が確保しやすく、1LDKで広めのリビングがあれば家族や友人などのゲストを呼んだ時にも対応しやすいというメリットがあります。
- ファミリー向け物件
子供も含めて家族間のコミュニケーションを大切にしたい家庭には、リビングが中心に配置された間取りが人気です。また、台所やバスルームが真ん中にあり、両側に寝室やリビング、和室が配置されたいわゆる「田の字型」の間取りは多く見られますが、その中でもリビングが横長でバルコニーに面しているものは、自然光が取り入れられ、台所で家事をしながら子供の様子も見守ることができるため人気が高い傾向にあります。
間取りに関して気をつけるべきポイント
続いて、物件を選んでいく際に間取りに関して気をつけておくべきことをいくつか紹介します。
- 収納スペース
一つ目に挙げられるのが、収納スペースの広さです。収納スペースの広さは入居者が物件を選ぶ際の基準のひとつでもあります。特に、ファッションに気を使っていて衣類を多く持っている方や、スキー用具やキャンプ用品、楽器などの大きな荷物がある方にとって、収納は非常に重要な要素となるでしょう。
1Rや1K、1DK、1LDKなどの比較的狭い物件では十分な収納スペースがない物件も多く存在しているため、収納スペースを広く取ることで他の物件との差別化を図ることができます。また、収納スペースがそう広くない場合であっても、効率よく収納ができたり実用的な構造をしていたりすれば十分高く評価することができます。
- 開口部の位置や広さ
開口部とは、屋外や室外に向かって開かれている窓やドアを意味します。まずはベランダと窓がどちらに向いているかを見ておく必要があります。南向きの物件が良いという話はよく言われますが、立地次第で北向き、東向き、西向きのそれぞれにメリットがあり、物件の用途によっても重要度は変わってきます。また、開口部の数が多いほど風が通って換気もしやすくなり、窓であれば光も取り入れやすくなります。設備維持の観点からも通気性は重要です。長期的に物件の価値を保つためには、開口部の評価は欠かせません。
- 部屋の数や形
特にファミリー向けの物件などでは、部屋の数や形にも注目する必要があります。ターゲット層を考えたうえで、最適なものを選ぶようにしましょう。部屋については、数だけではなく形も重要です。特に長方形や正方形の間取りはスペースを有効活用しやすいため、必然的に人気もあり資産価値にも影響を与えます。
- 生活動線
最後に紹介するのは生活動線です。生活動線とは、居住者が家の中を移動するときに通る部分を線で表したものです。せっかくの広い間取りであっても、動線が悪ければ動きにくくなってしまいますし、その分移動距離も長くなってしまいます。ファミリータイプの物件では、特に家事に関する動線が重要になります。例えば洗濯物を運んだり取り込んだりする作業、キッチンでの作業に関わる動線はシンプルな状態が理想的です。
動線は家庭生活が劇的に変わる機器が流通するまでそう変わることはありません。生活動線はしばしばメディアでも取り上げられ注目されているため、今後建てられる物件では必ず意識して設計されることでしょう。そうした物件の中で資産価値を保つためにも、優れた生活動線の間取りを選びたいものです。
投資用マンションの選び方
ここまでは、高い資産価値をもつ物件を選ぶための間取りの重要性について解説してきました。しかし、高い資産価値を持つ間取りをしていれば必ず投資対象として優れているわけではありません。最後に、物件を選ぶ際に考えるべき他のポイントを紹介します。
物件の種類と価格帯
物件の種類や価格帯は物件の最も基本的な情報であり、最も重要な情報でもあります。物件の種類とは、物件の入居者のターゲットによって大別されます。同じ間取りでもターゲットによって評価は変わり、最適な間取りのあり方は大きく変化します。
また、物件の種類は価格帯とも大きく関係しています。他の条件が同じ場合、面積が広いほど物件価格も上昇します。価格が高ければ購入時に必要となる初期費用も増加し、運用時に空室が発生した場合のリスクも高まります。この点については自身の資金力を考慮して決める必要があるでしょう。
築年数
築年数も重要なポイントです。特に中古物件か新築物件かという点は物件価値を大きく左右します。
新築マンションは価格が比較的高いことが多いものの、それは高い資産価値の反映であり、安定した入居が見込まれ、修繕費の心配も当面はしなくてよい物件と評価できます。また、新築であれば売却時のキャピタルゲインも狙いやすくなります。新築マンションであれば100%の融資を受けられる可能性も高く、比較的少額の自己資金から投資を始められる場合が多いことも指摘しておくべきでしょう。
一方で中古マンションの特徴としては、価格が安いことが多いものの、空室率が高くなりがちである点や、修繕費が新築の場合と比べて多く必要になる点などが挙げられます。物件固有の性質をよく吟味して投資する必要がある点でやや難しい投資対象ではありますが、価格が低い分早期の利益回収を望むことができるのも事実です。それぞれの特徴を押さえて投資対象を検討するようにしましょう。
立地
最後に改めて、立地という観点を忘れてはならないと強調しておきます。立地は土地の資産価値を決めるだけではなく、建物の資産価値をも左右します。それゆえ、良い立地条件の物件を購入することは、長期的な不動産経営のために極めて重要です。
立地条件は入居率を大きく左右します。不動産投資におけるインカムゲインは家賃収入が基本であり、空室率が高くなってしまうと収入も減少してしまいます。立地条件の良い物件は価格が高くなりますが、これはすなわち資産価値が高いことを意味します。投資計画を吟味しつつ、赤字になることを避けるためにも立地は十分に検討する必要があります。
まとめ
今回は不動産の資産価値について土地と建物の両面から解説しました。土地の資産価値は公的に定められた様々な指標から資産価値が計算されるため変化しにくい一方、建物の資産価値は基本的に築年数や老朽化状況を参考にしつつも、間取りによって大きく左右されます。資産価値は物件の取引価格に直接的に反映されていますが、価格相応の価値が本当にあるのかを見抜く目は投資家には必要不可欠です。新しく投資用マンションを購入する際には、ぜひこれらの観点を参考にしてみてください。
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