不動産投資は立地がすべてと言われる理由

不動産投資は立地がすべてと言われる理由

不動産投資を成功させたいのであれば、物件の築年数や間取りよりも物件の立地条件にこだわるべきであると言われています。そこでこの記事では、立地や駅からの距離に応じた物件価格の推移など、データに基づいて立地の重要性について分析します。

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不動産投資で重要となる要素

不動産投資において重要となる要素にはさまざまなものが存在します。まずはそれらの要素について、どのような視点が必要となるのかを考えてみましょう。

価格

不動産投資において、価格は物件を選ぶ際に最も考慮するべきポイントの一つです。価格を重視する主な理由は利回りと関わっています。

価格は利回りを直接に左右します。詳しくは後述しますが、不動産投資において利回りは非常に重要な指標です。利回りは投資額、つまり購入時の費用と収益から算出しますので、収益(家賃収入)が同じであれば物件の価格が低ければ低いほど利回りは高くなります。もちろん価格によって物件の条件は異なってきますので一概には言えませんが、条件の悪い物件を高く買ってしまうことのないよう気をつけましょう。

利回り

利回りは不動産投資で用いられる代表的な指標の一つです。不動産投資で使われる利回りには主に表面利回りと実質利回りの二つが存在します。

表面利回りは最も単純な物件の投資指標で、年間の家賃収入を物件の購入価格で割ることで算出します。一方、実質利回りはより具体的な投資判断に用いられる指標で、年間の家賃収入額から管理費や修繕費などの諸経費を引いた値を物件の購入価格で割って算出します。一般的に示されている利回りは表面利回りですが、実質利回りの方がより正しく物件の収益性を表しているため、実質利回りも参考にすると良いと言われています。

ただし、利回りは価格や築年数、立地などのその他の要素の結果として現れるという側面もあります。物件の性質ごとに標準的な利回りの値が上下するため、利回りが高い物件ほどよい物件とは限りません。まずは他の要素を適切に評価することが重要です。

関連記事:不動産投資の「利回り」計算方法と平均相場とは?注意点も解説!

築年数

続いて、築年数も重要な要素です。築年数に関して一つの目安となるのが、1981年以前に建てられたか、それ以降に建てられたかという点です。1981年には耐震性に関して「新耐震基準」という新しい基準が設けられたため、それ以前とそれ以降では物件の耐震性が異なってきます。そのため、1981年以降に建てられた耐震性の高い物件を選ぶというのも重要となります。もちろん、条件が同じであれば築年数に応じて物件の価格は変わってきますので、その点も考慮しながら決めることが大切です。

関連記事:新耐震基準と旧耐震基準の違いは?大地震には耐えられるの?

間取り

間取りについては、その時点や将来的な社会情勢などを加味したうえで、需要の高い間取りを選ぶのが一つのポイントです。間取りを決める際には、はじめにワンルームとファミリータイプのどちらにするかを選ぶことになります。たとえば、今後は単身者世帯や夫婦のみの世帯が増加するとされている一方、夫婦と子供の世帯はほとんど増加しないと考えられていることから、単身者や夫婦のみの世帯をターゲットとしてワンルームから1LDKのコンパクトな間取りを選択するというような判断が考えられます。

とはいえ、これはあくまで考え方のひとつにすぎません。学校や病院が近いエリアの場合であればまた異なる考え方ができるかもしれません。エリアごとの状況をよく調べて、入居の需要がどの程度あるかを考えることが肝要です。

また、前提として間取りによって物件の価格が異なるという点にも注意しましょう。当然、広い物件になればなるほど価格は高くなります。価格が高ければ当然その分大きなローンを組むということになりますので、自分自身の資金状況なども鑑みて適切な間取りを選ぶようにしましょう。

関連記事:不動産投資家必見!マンションの資産価値は間取りで決まる!?

立地

最後に紹介するのが今回の主題でもある立地です。立地が良い物件の方が良いということは当然ですが、一口に立地が良いといっても、そこには様々な含意があります。

一つは、最寄り駅からの距離が近いという点です。特に都心部などでは交通網が発達しており電車が主な移動手段となりますので、駅までの距離は重要視するべきポイントとなります。また、ただ最寄り駅に近いだけではなく、主要ターミナル駅へのアクセスの良さもポイントとなります。主要ターミナルへのアクセスが良いほど通勤や通学に便利なため、入居者が集まりやすくなります。

二つ目は、スーパーや病院などの生活に必要な施設が近くに揃っているかという点です。都心部では車を持っていない世帯も多くありますので、これらの施設が徒歩圏内にあるかという点もポイントです。

それ以外にも、騒音が少ないか、治安は良いかなど、実際に自分が住んでみた場合を想定して、どのような立地であれば入居者が集まりやすいかを考えてみることが重要です。

ここまで不動産投資で考慮するべき様々な要素を紹介してきましたが、その中でも最も重要な要素の一つとして立地が挙げられます。というのも、立地は入居率などに直接的に影響するうえ、物件購入後には自分では絶対に変えることのできない要素であるためです。次項以降で、具体的に立地について重要となる条件について解説していきます。

東京23区における「良い立地」とは

この項では、対象地域を東京23区として、「良い立地」とはどのような立地のことを指すのか、そしてなぜそのような立地が良いとされるのかを考えていきます。

様々な立地条件

先述した内容と重なる部分もありますが、良い立地にはスーパーや病院などの施設の充実度、騒音や治安などの周辺環境、駅からの距離など様々な条件が考えられます。

その中でも今回は特に重要である「駅からの距離」に絞って解説していきます。東京23区に限って言えば、駅からの距離は物件の価値を決定づける要素といっても過言ではありません。以下にデータを参照しながら、駅からの距離の重要性を理解する四つの視点を紹介します。

駅からの距離と地価上昇

第一の視点は、駅からの距離に応じて地価が上昇するという点です。

図 1 駅距離別地価変動率(住宅地・三大都市圏)(出典:国税庁)

上図は、国土交通省の地価公示データに基づいて作成した、三大都市圏における駅距離別の公示地価の変化を示したものです。駅からの距離を500m単位で区切って、それぞれについて公示地価の推移が示されています。この図から、駅からの距離が15分から20分以内になる1.5km未満については地価が上昇傾向にあり、さらに駅からの距離が近いほどその上昇率が大きいことがわかります。

特に、最寄り駅からの距離が0.5km以内の地域ではこの3年間継続して1%以上の地価上昇を続けています。一方で15分を超える地域になると成長率は0.5%程度で、駅からの距離に応じて価格の上昇率に格差があることが読み取れます。

入居者が希望する駅からの距離

駅から距離と地価上昇との関係と併せて考えたいのが、実際に入居者は駅からどの程度の距離の物件に住みたいと考えているのかという第二の視点です。この点について、次の図をご覧ください。

図 2 入居者は駅徒歩何分の物件に住みたいか?(出典:CHINTAIより)

図2はCHINTAIの統計に基づく「入居者が駅から徒歩何分の物件に住みたいか」の調査結果をグラフに表したものです。徒歩3分以内に住みたい人が4%、徒歩5分以内が16%、徒歩10分以内が47%と、合計で7割近くの人が徒歩10分圏内の物件に住みたいと考えていることがわかります。

この調査は東京都23区に限ったものではありませんが、全体の傾向として徒歩10分圏内というのが一つの目安になっていることが読み取れます。最寄り駅まで10分以上かかるような物件の場合、入居希望者が少なくなり、家賃を下げざるを得なかったり資産価値が下落してしまったりする可能性もあるので注意しましょう。

以上の二点から、立地条件、特に駅からの距離が不動産投資において物件を選ぶ際の重要な指標となっていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

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駅からの距離と不動産価値

東京23区における不動産価値

続いて、駅からの距離と不動産価値との関係について、より詳細に見ていきましょう。

図 3最寄り駅までの平均徒歩分数(出典:SUUMO

図3は、SUUMOにて不動産コンサルタントの田中歩氏が作成したものであり、東京23区において、それぞれの区の面積、区内にある駅の数、マンションから最寄り駅までの平均徒歩分数を表にまとめたものです。ここで注目したいのが、実際の取引額と、マンションから最寄り駅までの平均徒歩分数との関係です。

例として、2016年度の中古マンションの平均取引額では、上位5区は千代田区、港区、渋谷区、中央区、目黒区となっています。その5区を見てみると、平均徒歩分数5分未満が二つ、5分台が一つと、やはり駅までの距離が近いことが読み取れます。また、それ以外に5分台となっている品川区、新宿区、文京区なども上位となっています。

一方で、取引額下位5区である足立区、葛飾区、板橋区、江戸川区、練馬区については、徒歩9分以上が三つ含まれており、最寄り駅から遠い地域が多いことがわかります。この点からも、駅からの距離が遠くなるほど不動産価値は下落してしまうことがわかります。

東京23区以外の地域について

ここまでは主に東京23区に絞って駅からの距離と不動産価値を考えてきましたが、最後に東京23区以外の地域についても見てみましょう。

図 4駅距離区分別平均公示地価変動率(住宅地・地方圏)(典拠:国税庁)

図4は国税庁のデータに基づく駅距離別の公示地価変動率を地方圏に絞って整理したものです。この図から、地方圏では都市部と比べると地価の推移は全体に緩やかであることがわかります。その分、駅距離による地価上昇の違いも都市圏よりは比較的小さくとどまっています。しかし地方圏であっても、駅からの距離が近い地域では明らかに地価上昇率が高くなっているため、駅に近い方がよいという性質は概ね一般的と言えるかもしれません。

このように同じ都市圏と地方圏で状況は異なります。都区部では駅数と駅距離が大きく地価の変動と入居率を左右する一方、地方圏では一応の影響があるものの、区部ほどの強い影響力はありません。自身が物件の購入を考えているエリアについての情報収拾を怠らず、駅からの距離というポイントを意識して物件選びを行なっていくと良いでしょう。

まとめ

今回は物件の価値を判断する様々な指標を取り上げ、その中で特に立地条件について、駅からの距離という観点から、データを用いてその重要性をご紹介しました。東京23区内では駅からの距離が物件の価値を大きく左右し、継続的な地価上昇も望むことができます。一方同じ傾向があるものの、地方ではこの傾向は緩やかです。しかし入居側のニーズとして徒歩10分以内に駅がある状態を望む声は多く、一般に駅までの徒歩距離は重要な指標だと論じました。今後物件の購入を検討される際にはぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

関連記事:収益物件とは?不動産投資を始める前の基礎知識を紹介


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