【 目次 】
数ある不動産の種類に“収益物件”という不動産が存在することはご存知でしょうか? 今回は、不動産投資を新たに始めようと検討している方に向けて、収益物件について解説していきます。
収益物件とは?タイプ別に紹介
収益物件とは、毎月一定の収入がある不動産のことを指します。一棟売りのマンション、賃貸マンション、テナントビルなど、家賃が発生するものはすべて収益物件に分類されます。
では、それぞれの収益物件はどのような特徴を持っているのでしょうか? 確認していきましょう。
住居系不動産
最も一般的な収益物件で、アパートやマンション、一戸建て住宅などといったものがあります。借主は基本的には個人で、住む期間には大きなばらつきがあります。
収益物件として一般的なワンルームマンションおよびファミリータイプマンションについて、それぞれの利回りの相場を見てみましょう。
新築 | 中古 | |
ワンルーム | 3.5%~4.5% | 5.0%~6.0% |
ファミリー | 3.5%~4.5% | 3.0%~20.0% |
※上記の利回りは、東京都心における相場です。
※ ファミリータイプの中古物件はリフォームやリノベーションを施す場合が多くあり、これにより利回りが大きく変わります。
事務所系不動産
オフィスビルを中心とする、貸事務所などの物件です。規模が大きいものが多いため、必要とされる資金も多額となります。また、オフィスビルということもあり、借主は個人ではなく主に法人です。従って、期間は長くなる傾向があるようです。
事務所系不動産の利回りの相場は、東京都心部では3.0%~5.0%程度です。
商業系不動産
貸店舗や貸倉庫、貸し駐車場などの収益物件です。非常に幅広く、たくさんの種類があります。大型百貨店等の商業施設の利回りは、都心で4.0%~5.0%程度、郊外で5.0%~6.0%程度です。月極やコインパーキング等の駐車場は概ね10%程度ですが、立地によって駐車場代の相場が異なるため一概には言えません。
優良収益物件を選ぶポイント
さて、やはり安定した経営をするためには優良な物件を手に入れたいものです。
しかし、どのようにして優良収益物件を手に入れればよいのでしょうか?
本項では、立地、将来性、収益性の観点から選ぶべき物件のポイントを解説していきます。
立地
立地は優良物件が備えているべき条件の中でもかなり重要度の高いものです。
立地が悪いと、不動産投資で最も忌避すべき空室リスクがかなり高まってしまいます。
では、よい立地とはいったいどのような場所なのでしょうか?確認していきましょう。
- 利便性が高い
スーパーマーケットや飲食店などの便利な施設にアクセスしやすいことは、好立地として欠かせない要素といえます。ただし、後述する交通の便と同じく、便利であることの基準はターゲット層により変化するので、自分がどのような層を狙っているのかをはっきりさせると良いかもしれません。
- 交通の便が良い
交通の便が良いことは非常に大切な要素の一つです。ただし“交通の便が良い”という感覚はその物件を使用する方の特性によって大きく異なるので、自分が経営する不動産に合った場所を考える必要があるでしょう。一般的には、ワンルームマンションでは駅近であること、借り手の通勤先に近い、アクセスしやすいこと、また単身者が利用しやすい飲食店が周囲に多くあることなどが強みになります。ファミリータイプでは、校区となる小学校の特徴、公立図書館の立地や利便性、周辺エリアの土地柄、スーパーやショッピングセンター等の買い物の利便性といった点が重視されます。逆に、居酒屋等の商業施設はあまり好まれません。
- 嫌悪施設が近くにない
葬儀場やごみ処理施設などといった、いわゆる嫌悪施設とよばれる建物が近くにないこともやはり重要となります。
以上が好立地の物件が備えているべき主な要件です。しかし本項で見たように、“好立地”とは人やターゲットによって大きく変わるものなので、一概に言えるものではないということに注意しましょう。
関連記事:不動産投資は立地がすべてと言われる理由
将来性
収益物件の将来性は、その物件が将来にわたって収益を出し続けられるかどうかによって決まります。では、どのような物件であれば将来性があるといえるのでしょうか?
- 設備が整い、管理がきちんとされている
設備が整っていると、集客の際に有利になります。また、管理が行き届いていると、建物を良い状態のままで長持ちさせることが可能になるので、不動産の価値の下落を抑えることができます。
- 立地が良い
立地の良さは将来性にも直結します。立地が良いと、多少古くなった物件でもある程度以上の入居者が見込めます。ただ、会社や学校などが近くにあることを頼りにしすぎると、倒産や移転などの環境変化によって一気に収入源が途絶えてしまうこともあるので、注意したほうが良いでしょう。
このように、将来性がある物件とは、長期にわたって価値を落としにくい不動産のことであるといえます。
収益性
収益性は収入に直結する領域です。収益性は利回り、ランニングコストなどの総合的な観点から決まります。将来性で述べた部分と被りますが、長期にわたって価値が下がりにくい物件が、最終的には収益性の高い物件となります。
- 割安な物件を選ぶためには?投資不動産の資産価値の計算方法
物件には「資産価値」と呼ばれる価値があります。
これは表示上の売値とは異なるものです。
「資産価値」に対して売値が安いかどうかを検討することで、割安な物件かどうかを判断できます。
それではこの「資産価値」はどのように計算すれば良いのでしょうか。
ここからはその計算方法についてご紹介します。
- 収益価格とは?
不動産の資産価値を知るうえで欠かせないのが、収益価格の計算です。
収益価格とは、現在の不動産価値と将来的にその不動産が作り出す純利益を合算した評価額のことを指します。
つまり不動産の今現在の価値と、将来的な利益を予測して合計したものということです。
この収益価格により、投資の採算や将来的な収益を知ることができます。
- 収益価格の算出方法
収益価格の算出方法は、以下の通り2種類あります。
・直接還元法
・DCF法
それぞれの算出方法を詳しく見ていきましょう。
【直接還元法】
まずは直接還元法についてご説明します。
直接還元法の計算式は以下の通りです。
1年間の純収益 ÷ 還元利回り
例えば年間の純利益が44万円で、還元利回りが5%だった場合、直接還元法による収益価格は880万円です(44万円÷5%)。
ちなみにここで用いる1年間の純利益とは、12か月分の家賃収入から必要な経費や諸費用を差し引いたものです。
例えば月7万円の家賃で貸し出す物件で、年間の諸費用が40万円なら、年間の純利益は次の通りです。
7万円 × 12か月 - 40万円 = 44万円
一方、還元利回りは以下の計算式で求めることができます。
(年間収益額 ÷ 投資額) × 100 = 還元利回り(%)
直接還元法は以上の純利益と還元利回りを使って求めることができます。
【DCF法】
続いてDCF法による収益価格の計算方法をご紹介します。
DCF法は将来的に予測される収益を、現在の価値に置き換えて計算するという方法です。
不動産は年数が経てば経つほどあらゆるリスクが発生し、価値が下がります。
DCF法ではこのように、将来的に見込める収益を不確かなものとして扱うのが特徴です。
そのため予測される将来的な収益をそのまま収益価格として算出するのではなく、現在の価値から年数によって価値を割り引いて計算します。
割引後の現在価値は以下の通りです。
年間収益 ÷ ( 1 + 割引率 ) 年数 = 割引後の現在価値
例えば年間収益が200万円で1年後の売却価値が2,000万円、かつ割引率が5%の不動産と仮定すると、計算式は以下の通りです。
200万円 ÷ ( 1 + 0.05 )1 ≒ 190万円
つまり現在、190万円で5%の利回りの不動産に投資すると1年後には200万円の年間収入が得られる計算になります。
そして最終的な収益価格の計算式は以下の通りです。
割引後の現在価値 + 売却価値 = 収益価格
この不動産の場合、1年後の売却価値は2,000万円なので収益価格は2,190万円となります(2,000万円+190万円)。
5年後、10年後を想定した収益価格を計算する場合は、①の式を年数ごとに計算し、②で合算します。
このようにDCF法は少々複雑ですが、直接還元法に比べて精度が高い計算方法といえます。
関連記事:その物件、正しく評価されてる?積算価格と収益価格について解説
相場価格を知る
不動産の価値を判断するには、その土地やエリアの相場を知る必要があります。
一般的に需要が高い地域は相場が高く、需要の低い地域は相場が低いです。
また、地域によっては相場が長い年数大きく変動していない場所もあります。
不動産に目星が付いたら、地域の不動産相場価格を調べましょう。
もし相場よりもあまりに高い売値の場合、将来的に収益を上げても採算が取れない可能性が高くなります。
一方、何か事情があって相場よりも極端に低い価格で売りに出されている不動産も少なくありません。
このような場合はすぐに飛びつかず、何が原因で安くなっているのか確認することをおすすめします。
不動産の立地を踏まえたうえで、相場に対する価格を判断しましょう。
収益の上がりやすい人気物件とは
不動産投資で収益をあげるためには、空室を作らないことがポイントです。
常に満室であればそれだけ収入が多くなり、利回りが高くなります。
それではここからは、空室になりにくい物件の条件を見ていきましょう。
利便性が高い
まず1つめのポイントは、物件の利便性が良いということです。
利便性が高ければ高いほど、物件としての価値は上がります。
生活をするのですから、わざわざ不便な物件を選ぶ人はいないでしょう。
例えば駅からの距離は近いほうが利便性が良いので人気があります。
また東京都心か地方かでいえば、東京都心のほうが交通の便が発達しており、生活における利便性が高いので人気です。
さらに、近くにスーパーやコンビニエンスストアなど、買い物ができる場所があるかどうかという点も、利便性を考えるうえで重要なポイントといえます。
このように、利便性の高い物件を選べば需要が上がるため、空室を作りにくくすることができます。
管理や修繕がしっかりと行われている
空室を作らないためには、物件そのものの価値を高く保つ必要があります。
そのための手段として挙げられるのが、管理やメンテナンスです。
例えば、廊下や階段などの日常的な清掃は欠かせません。
既に入居している人にとっても、気持ちの良い住環境を整えることで退去率を下げることができます。
長く住んでもらえれば、退去時のクリーニング代やリフォーム代、入居者募集の広告費などもかからずに済みます。
しかし、退去者が出て空室が生まれた際にクリーニング代やリフォーム代を惜しむのは得策ではありません。
修繕や清掃が十分に行き届いていない物件は、せっかく内見に来る人がいても魅力を感じてもらえないでしょう。
結果的に契約に至らない可能性が高く、空室の状態を長引かせてしまいます。
クリーニング代やリフォーム代はときに大きな出費となりますが、空室を作らないために必要不可欠な費用です。
ただし行き過ぎたリフォームや、極端な物件のグレードアップをすると、出費ばかりがかさんでしまうことがあるので注意しましょう。
時代や地域に合わせた設備が整っている
時代や、その地域に合った設備を整えることで、空室を作りにくくすることができます。
例えば近年の日本では、単身者や1人暮らしの高齢者層が増加しています。
このような時代背景の中で、より需要があるのはファミリー向けのマンションよりも1人で住めるワンルームのマンションでしょう。
また、内部の設備についても同様です。
ユニットバスが主流となっている中で、在来工法のタイル張りのお風呂には誰も魅力を感じないでしょう。
こうした時代にあった設備も、入居者を増やすためのポイントです。
浴室乾燥機や室内物干し、ユニットではないトイレと別々の浴室など、その時代に応じた人気設備を取り入れることで物件としての魅力が大幅に上がります。
関連記事:空室リスクの備えは万全⁉発生前にやるべきこと・発生後にやるべきこと
収益物件を買う前に必ず現地リサーチをしよう
資料だけではその物件の本当の状態を知ることは不可能です。大切なのは、自分の目でしっかりと現地リサーチをすることです。この項では、現地リサーチの際に気を付けるべきチェックポイントを紹介していきます。
日当たり
日当たりは周囲の建物などの諸条件によって変化します。資料だけでは確認することが難しいので、現地リサーチの際によく確かめましょう。
騒音
物件の遮音性能も、実際に物件を訪れてみなければよく分からないことの一つです。周囲の音は時間によって異なるので、一定の時間帯だけではなく様々な時間に行ってみるとよいでしょう。
実際の広さ
図面と実際の広さが同じかどうか確認しましょう。また、同じ間取りでも天井の高さや窓の大きさによって広さの見え方が異なります。
物件の状態
中古物件の場合は、その物件の管理状態や建物の状況を確認しましょう。あまり建物の状態が悪いと補修や改修に大きな費用が掛かってしまいます。またマンションでは、管理組合が各オーナーから「修繕積立金」という資金を集め、これを共用部分の修繕費用に充てます。
場合によっては修繕積立金が計画通りに積み立てられていないことがあり、修繕のタイミングになって突然に費用負担を求められるといった事例があります。そのため、修繕積立金の状況も確認しておきましょう。
以上が現地リサーチの際に確認するべき主なポイントです。
関連記事:【調査レポート】現地調査は行うべき?現地調査の際に見るポイントとは。
こんな物件に注意しよう!
収益物件のすべてがオーナーに潤いをもたらしてくれるわけではありません。中にはやはり、儲けを出すことが難しいものも一定数存在します。この項では不良物件について解説していきます。
明らかに相場より高い利回り
明らかに相場よりも高い利回りを持つ物件は、相場よりも高めに設定された家賃など、何らかの事情を抱えていることがあります。高すぎる利回りには十分注意しましょう。
関連記事:利回りだけを見て失敗した不動産投資事例
関連記事:高利回り投資物件の特徴と失敗しないための攻略法
質の低い不動産会社・管理会社
中には悪質な不動産会社や管理会社も存在します。欠陥や問題のある物件について、それを伏せて優良物件や掘り出し物のように謳い販売する不動産会社があります。また、嘘の広告で客引きをして、実際には別の物件を売りつけるという手口もあります。管理会社であれば、最も被害が多いのは解約時と退去時です。
実際は何もしないのにクリーニング代や壁の張替え代を請求するという架空請求を行う業者があります。
このような悪質業者に引っかかることのないよう、十分に注意して下さい。
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