不動産投資の固定資産税!いつ・いくら・どこで?徹底ガイド

不動産投資の固定資産税!いつ・いくら・どこで?徹底ガイド

不動産を所有していると必ず「固定資産税」の支払いが発生します。
毎年春頃になると納付書が届きますが、具体的に固定資産税についてご存知でない方も多いのではないでしょうか。
今回は、固定資産税とは何なのか、またどのような注意点があるのかを徹底解説します。

不動産投資の節税について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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固定資産税とは

固定資産税とは、固定資産の所有者に対して、その固定資産が所在する市町村(東京23区は東京都)が課税する税金です。

固定資産とは、以下のようなものを指します。

  •  土地:住宅用地、田、畑、山林、牧場
  •  家屋:住宅、店舗、工場、倉庫など
  •  償却資産:土地や家屋以外の事業用資産

今回の記事では、投資用不動産に関係する「土地」と「家屋」に限定して解説します。

算出方法と支払対象月

毎年1月1日時点(賦課期日)で所有している土地、家屋、償却資産に対して適正な固定資産税評価額を算出し、それを課税基準として、1.4%の税が課せられます。

固定資産税 = 固定資産税課税標準額(土地・建物) × 1.4%(標準税率)

 
区分マンションの場合は、マンション全体の固定資産額を各戸の専有面積で按分した金額となります。
なお、支払い対象月は4月から翌年3月までの年度計算となっています。

納税の回数

同じく不動産の価値によって決まる「不動産取得税」は、不動産を購入した際、1回きりの支払いで終了する税です。しかし、固定資産税は、固定資産を所有している限り、毎年、支払わなければなりません。
そのため、年間キャッシュフローから固定資産税を差し引くと、より現実に近いキャッシュフローを算出できます。

キャッシュフローを算出したい方は、以下の記事もご覧ください。

 免税点

土地と家屋について、課税基準額が以下の免税点未満の場合は、固定資産税が免除されます。
※同じ市町村内に複数の土地や建物を所有している場合は、その合計額で判断されます。

  •  土地:30万円未満
  •  家屋:20万円未満

固定資産税には軽減措置も設けられています。
投資用不動産にも適用されますので、所有する家屋や土地が該当するか確認しておきましょう。
※軽減措置にはさまざまな条件がありますが、今回は区分マンションと関係の深いものを抜粋して解説します。

【1】新築住宅の減額
新築の区分マンションの場合、以下の条件を満たすと軽減措置を受けることができます。

■条件

  •  令和6年3月31日までに建てられた新築住宅であること
  •  専有部分のうち居住部分の床面積に共有部分の床面積を按分し、加えた床面積が、40㎡以上280㎡以下であること(賃貸住宅の場合)
  •  専有部分のうち居住部分がその専有部分の1/2以上であること

■減額される額

  •  住宅にかかる固定資産額の1/2

居住部分で1戸当たり120㎡相当分までに限る

■減額される期間

  •  5年

※3階建以上の耐火・準耐火建築物である場合。該当しない場合は3年

【2】認定長期優良住宅の減額
上記の条件に加え、長期優良住宅の普及の促進に関する法律第10条第2号に規定する認定長期優良住宅であった場合には、減額される期間が7年になります。
※3階建以上の耐火・準耐火建築物である場合。該当しない場合は5年

【3】住居用地の減額
住宅用地に関しても、以下のような特例措置を受けることが可能です。

  • 住戸1戸につき200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地):固定資産額の1/6に軽減
  • 住戸1戸につき200平方メートル超の部分(一般住宅用地):固定資産額の1/3に軽減

【4】その他
上記以外にも、バリアフリーや耐震、省エネに関する改修、また長期優良住宅化リフォームを行った場合にも、翌年度の固定資産税に対する減額措置を受けることができます。
区分マンション投資の場合はレアケースにはなりますが、該当する工事を行う際には、措置を受けられるかどうか確認しておくと良いでしょう。

支払うタイミングと方法

固定資産税の基礎を押さえたところで、今度は実際に支払う時に知っておくべきことについて解説します。

申告方法と申告時期

マンションの登記が完了した後、各自治体や東京都が対象となる不動産の価値を評価し、春頃(5~6月)を目安に固定資産税の納税通知書が届きます。

支払う時期と方法

固定資産税を支払う時期や方法は地方自治体によって異なります。
納税通知書が届いたら必ず目を通し、納付時期や納付期限、支払方法をチェックしておきましょう。
支払うタイミングは年4回払いか一括払いから選ぶことができます。
どちらを選んでも納税額は変わりません。

固定資産税の支払い方法は複数あります。
それぞれの特徴とメリット、デメリットは以下の通りです。

特長 メリット デメリット
納付書での納付 納付書を使って、指定された市区町村や金融機関、コンビニエンスストアで支払う · その場で領収書がもらえる
· 現金払いができる
・ 銀行や銀行や郵便局の場合、営業時間内に行かなくてはならない
クレジットカード クレジットカードを使い、各自治体のウェブサイトもしくはYahoo!公金支払いで納付する · 自宅から支払いを行える
· ポイントが貯まる
· 分割払いができる
·  カード会社によっては分割ができない場合がある
· 手数料がかかる場合がある
口座振替 口座振替を設定し、振替処理をしてもらう · 何もしなくても支払うことができる
· 支払い忘れを防げる
· 領収書が発行されない
· 残高が少ない場合、自動引き落としがされない
ペイジー(Pay-easy) ペイジー(Pay-easy)を利用し、ATMやインターネットバンキングで支払う · 時間を気にせず支払える
· 自宅から支払える
・ 領収書が発行されない
電子マネー 電子マネー(nanaco、WAONなど)で支払う · 決済手数料がかからない
· ポイントがたまる
・ 事前手続きが煩わしい

※利用できる納付方法は地方自治体によって異なります。

固定資産税の減額

先ほどご紹介した通り、固定資産税は固定資産を所有している限り支払い続ける必要があり、その支払額は一定ではありません。

一般的に、建物にかかる固定資産税は建物構造などから定められた経年減価率に沿って緩やかに減額します。
減額される割合は、一般的な木造住宅の場合は20年程度、鉄骨鉄筋コンクリートのマンションなどは約60年程度とされています。長持ちする家屋の方が、減額率が低いということです。

しかし、最終的には0になるわけではなく、新築時の2割で減額はストップされます。
土地に関しては、経年による減価は生じません。

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納付書を紛失した場合

納付書を紛失した場合は、管轄の市区町村に連絡して再発行してもらえば大丈夫です。
市区町村によっては納付書がなくても納税できるところもありますので、併せて確認すると良いでしょう。

また、納付書の再発行はできますが、納税通知書は原則再発行できません。
地方自治体によっては、納税通知書と同内容の土地家屋課税台帳のコピーを発行してくれる場合もありますので、相談してみましょう。

納税通知書、納付書は非常に重要な書類であり、紛失しないのが一番です。
届き次第、速やかに納税を済ませて、書類は大切に保管しておきましょう。

引っ越しをして住所が変わった場合

引っ越しをした際、「住民票を変更したのだから、役所からの通達はちゃんと来るだろう」と考えて何もしていないと、納税通知書が転居先の住所に送付されない場合があります。
固定資産税は所有者の居住地ではなく、不動産の所在地にかかる地方税です。そのため居住地と不動産の所在地が異なる場合、情報が把握できず、納税通知書が転居後の住所に送付されないという事態も起こりえます。

特に投資家の方は、居住地とは違うエリアの不動産を所有するケースが少なくないため注意が必要です。

引っ越しをして住民票の変更を行った場合は、速やかに不動産を管轄している市区町村(東京23区の場合は都)に連絡し、納税通知書の送付先変更手続きを行ってください。

申請方法は地方自治体によって異なりますが、ハガキ(納税通知書に添付されている)、電話、オンラインなどがあります。

納税通知書は引っ越しシーズン直後の5~6月に送付されることが多いため、手続きが遅れると通知書が新住所に送付されず、納付が遅れてしまう原因になります。引っ越しが決まった時点で、所定の役所・役場に相談しておくと安心です。

支払いを忘れる、滞納するとどうなるのか

固定資産税に関して、支払い忘れや滞納をしてしまった場合のペナルティには以下のようなものがあります。

延滞税が発生する

納期限を過ぎると、地方税法の規定に従い延滞金が発生します。

延滞金は日割りで発生し、納期限の翌日から1ヶ月までと、1ヶ月を超えた場合で税率が異なります。
また、期間(年)によっても税率が変わります。

令和4年1月1日以降の延滞税の税率(年率)は以下のようになっています。

  • 納期限の翌日から1ヶ月まで:4%
  • 納期限から1ヶ月を超えた後:7%

固定資産税は分割払いのため、2回目以降の支払いを忘れてしまうこともあります。
納付書が届いたら期日を確認し、スケジュールに入れておくなど対策をしておきましょう。

財産が差し押さえられる恐れがある

滞納が続くと市区町村・都から督促状が送付されます。それでも応じない場合、電話や来訪で催促されることもあります。さらに放置していると、最悪の場合、財産が差し押さえられます。

固定資産税の場合は、課税対象である土地や家屋が差し押さえられることもあります。

差し押さえ後も滞納を続けた場合、土地や家屋は競売にかけられ、滞納した税金に充てられます。固定資産税を払わなかったばかりに、大切な資産である不動産を失ってしまうことになるのです。

注意点

最後に、固定資産税を支払う上で特に注意していただきたい点を解説します。

固定資産税が上がるor変わらないケースがある

先ほどご紹介した通り、家屋にかかる固定資産税は減少するのが一般的です。
しかし、中には例外があります。

固定資産税評価額は、適正な額が保てるよう3年ごとに見直しを行うことになっています。
これを「評価替え」といいます。
この際に、固定資産税評価額が上がる、もしくは評価替え前と変わらないケースがあります。

その理由は以下の通りです。

【1】家屋の場合
家屋にかかる固定資産税については、家屋自体の価値もしくは建築費が上がることで、税額が上がったり、据え置きになったりする場合があります。

  •  リフォーム

リフォームによって価値が上昇すると、それに伴い固定資産税評価額が上がる場合があります。とはいえ、小規模のリフォームであれば評価額に影響はありません。建て増しや基礎のみを残した大規模なリフォームであれば、価値が上昇したと見なされるため、固定資産税額も増える可能性があります。

投資用の区分マンションに関しては、このような大規模なリフォームを行うことはまずないため、リフォームが理由で固定資産税が上がるケースはほとんどないでしょう。

  •  建築費の上昇

家屋の評価は、先述の減価率に加え、「再建築価格」を反映して算出されます。

※再建築価格とは
評価の対象となった家屋と全く同一のものを、評価の時点において、その場所に新築することとした場合に必要とされる建築費

 

再建築価格が高くなると、固定資産税評価額は上がります。
そのため、建築資材や物流費が高くなったなどの理由で建築費が著しく上昇した場合、評価額は上がってしまいます。

しかし、評価替えによって前年度の評価額を超える場合は、税負担を考慮して前年度の評価額を据え置くこととなっています。「家屋の固定資産税は下がるもの」と考えていると、税額の据え置きが痛手になってしまうかもしれません。

【2】土地の場合
土地の評価額は基準となる路線価によって決定します。
再開発や道路の拡張などで路線価が上昇すると、固定資産額が上昇する場合があります。

しかし、急激な増額は大きな負担になるため、年間の増額幅には上限が設けられており、緩やかに上昇するような仕組みになっています。

区分マンションの場合、土地部分の固定資産税評価額は所有者全員に按分されます。
そのため、一棟当たりの戸数が多ければ多いほど、路線価の変動による固定資産税上昇の影響は受けにくくなります。

年の半ばで不動産の売買が行われた場合

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課せられます。
そのため、売却が行われた年の固定資産税は前の所有者が全額支払うことになります。

しかし、それでは前の所有者が所有していない期間の固定資産の税金を負担することになってしまうため、所有期間に応じた固定資産税を売主と買主で出し合うというケースもあります。

例えば、5月末に不動産売却が行われ、名義変更がされた場合に、1月1日を起算日とし、売主が5ヶ月分、買主が残り7ヶ月分の固定資産税を負担するというものです。

この場合、買主側の支払金は「固定資産税」ではなく、「固定資産税清算金」という名目になります。
この固定資産税清算金のシステムは法律上定められているものではなく、不動産取引上慣例として行われているものです。しかし、ほとんどの場合売買契約書に盛り込まれていますので、後々トラブルにならないようしっかり確認しておきましょう。

用途が変わった場合

住宅用地の場合は特例として固定資産税の減税措置を受けることができます。
しかし、他の用途に転用した場合は措置が適用されなくなります。

一棟投資を行う際、出口戦略として駐車場やコインランドリー経営に切り替えようと考える方も少なくありません。転用後、固定資産税が大幅に上がり計画が狂った…ということにならないよう、固定資産税額のシミュレーションもしっかり行っておきましょう。

タワーマンションは階層によって固定資産税が異なる場合がある

マンションの一戸当たりの固定資産税はマンション全体の固定資産額から専有面積を元に算出されます。しかし、タワーマンションでは、高層階であればあるほど価格が高くなる傾向にあります。それにより購入価格と固定資産税評価額の剥離が大きくなり、節税ができるというメリットがあります。

しかし、平成29年度の税制改正により、平成29年1月2日以後に新築されたタワーマンション(平成29年3月31日までに売買契約が締結された者の居住用の専有部分を含むものを除く)については、所在階ごとに定められた補正率を用いて固定資産税の計算がされることになりました。それにより、高層階の固定資産税は、低層階より高くなっています。

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まとめ

固定資産税の基礎知識や、支払う際の注意点についてご紹介しました。
固定資産税は毎年支払いが発生するものであり、変動要素もありますので、不動産運用のプランニングに組み込んでおく必要があります。

プロパティエージェントでは、こういったランニングコストも含めたシミュレーションの無料作成を承っています。中長期にわたって不動産運用をする中で、どのような支出変動やリスクがあるのかを説明し、対応策までご提案します。

月間収支だけではなく、中長期のリスクシミュレーションも把握したいという方は、ぜひプロパティエージェントにご相談ください。

※固定資産税の納付時期や方法は地方自治体によって異なります。固定資産税に関する詳細については、必ず不動産を管轄する市区町村・都にお問い合わせください。

※2022年4月12日時点の情報です。

■監修者プロフィール

藤田 章
税理士(日本・米国)/特定行政書士/宅地建物取引士/ファイナンス修士(専門職)

日本長期信用銀行(現 新生銀行)、税理士法人朝日中央綜合事務所を経て、現在、千代田区六番町(最寄り駅:四ツ谷駅)で開業。税理士の資格のほか、米国税理士、行政書士、宅地建物取引士を保有するなど、幅広な分野に関して相談可能です。
藤田章税理士・行政書士事務所

 

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