【 目次 】
不動産投資を行うときには、投資対象となるエリアの特性を理解することが大切です。学生、ファミリーなど、どのような属性の人が住んでいるのか、人の流れはどのようになっているのか、今後どのように街が発展していくのかを調査することで、投資対象となる不動産を絞りやすくなります。
今回は、東京都江東区について、亀戸・大島エリア、門前仲町・東陽町エリアに絞ってその特徴や将来性をご紹介します。「スポーツと人情が熱いまち」をキャッチフレーズに、今後もさらなる発展を続ける江東区は、投資対象としても魅力的なエリアです。
江東区の立地・概要
江東区は東京23区の中でも東部に位置し、荒川と隅田川に囲まれた水彩都市として知られています。面積は42.99㎢で、23区のうち第6位に位置する大きな区です。
お台場エリアの一部である青海エリアや東京ビックサイト・オリンピック選手村がある有明・晴海エリアは土地開発が著しく、近代的な建物やタワーマンションが並びます。
一方で、木場・門前仲町・東陽町を中心とした深川エリアや錦糸町・亀戸では下町風情を残しつつも新しい若者文化が息づく街並みが人気です。
江東区はエリアによって街並みの趣がかなり異なる地域なのです。
江東区の人口推移/単身世帯の割合
江東区の人口は52.6万人で、東京23区においては8番目に人口が多い区となっています。平成10年以降、人口は増加の一途をたどり、平成10年当時において37万人だった人口は、この20年間で15万人も増加しました。
増加率は人口の少ない中央・千代田・港区を除くと23区の中でトップを誇ります。
江東区は大規模な工場が集積していた地域であり、それらの工場が郊外に移転したのち、その跡地に大規模なマンションが多数建設されたのが人口増加の大きな要因となっています。
江東区の単身世帯の割合は43.8%と、全国統計(34.6%)に比べればかなり高い水準です。
もっとも、東京23区全体での単身世帯の割合は50.59%となっているため、他の区に比べるとやや低い割合となっています。単身者のみならず、ファミリーにとっても住みやすい街として認知されたエリアであるといえるでしょう。
世帯総数 | 1人世帯 | 世帯総数に占める一人世帯の割合 | |
全国 | 53,448,685 | 18,417,922 | 34.6% |
東京23区 | 4,793,594 | 2,424,966 | 50.59% |
江東区 | 243,575 | 106,682 | 43.80% |
参考資料:江東区HP
江東区の注目エリア【1】:亀戸・大島
亀戸周辺地域は江東区の中でも“城東エリア”と呼ばれます。
都心から東方面に伸びる京葉道路の北側に位置するJR亀戸駅は、総武線各駅停車の停車駅です。大島駅は亀戸駅から少し南に下った都営新宿線の駅で、新大橋通り沿いにあります。
■JR亀戸駅周辺
亀戸アトレやドン・キホーテを中心とした大型商業施設が立ち並び、かなりにぎやかな印象を受けます。一方で大きな道路を一本入ると昔ながらの住宅街や飲食店街があり、なかでも亀戸天神は学問の神様・菅原道真を祭る天神として地元の人々に親しまれています。新旧の文化がミックスされた楽しいエリアです。
■大島・西大島駅周辺
亀戸周辺の下町情緒を残しながら、団地や新しいマンションの開発が進んだ地域で、ファミリーに優しい街になっています。亀戸のような大規模な商業施設はありませんが、大島中の橋商店街、大島中央銀座商店街など、こじんまりとしたアットホームな雰囲気の商店街が人気です。
注目される再開発 サンストリート亀戸跡地
サンストリート亀戸は1997年開業のオープンモール型商業施設で、地元に愛されていましたが、2016年に惜しまれつつも閉店しました。もともと15年の営業であったにもかかわらず、4年間も営業が延長されたことに、地元愛が感じられます。
サンストリート亀戸跡地には、
巨大なツインタワーマンションと大型ショッピングモール、一部は小学校や保育施設に敷地を供与する一大開発プロジェクトが進行中です。
出典:地域と共に”アップデートする”街づくり”「KAMEIDO PROJECT」発表会
ショッピングモールには100店舗以上のテナントが入るほか、屋外ステージや横町のような路地を設営するなど、かつてのサンストリート亀戸の賑わいを残しつつ新しい街に生まれ変わります。
都心へのアクセスは抜群
亀戸駅、大島駅ともに都心へのアクセスは抜群で、交通の利便性を理由に亀戸・大島エリアを住まいに選ぶ人も多くなっています。
亀戸からは特に東京駅周辺、新橋エリア、秋葉原・御茶ノ水エリアへのアクセスは良好で、東京駅・新橋エリアには乗り換え含め15から20分程度、秋葉原・お茶の水には乗り換えなしで10分程度です。JR総武線ですので、もちろん四谷・新宿エリアにもスムーズなアクセスが可能です。
東京駅周辺エリアや秋葉原周辺エリアは近年大規模な再開発が進んでおり、人の流れが大きく変わっているエリアです。
亀戸はいずれのエリアにも至近の場所にあることから、これからさらに人気が高まっていくことでしょう。
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大島駅を通る都営新宿線も、都心への交通アクセスがしやすいと人気の路線です。
神保町・九段下・市ヶ谷には乗り換えなしで10分から15分程度のアクセスですし、都営新宿線は山手線の内側を横断する路線であるためにJR線の他丸ノ内線・半蔵門線・千代田線・都営浅草線など数多くの路線と交わっています。どのエリアに行くにも交通には困らない駅であるといえます。
下町風情を残しながら新しい文化がミックスされたエリア
亀戸・大島エリアは下町の印象が強いエリアだと思う方が多いと思います。
確かに亀戸天神の道すがら、名物の亀戸餃子や亀戸ホルモンが楽しめる飲食店があり、下町のB級グルメを存分に食べ歩きできます。また、江戸時代の梅屋敷をモチーフにした亀戸梅屋敷は、下町の江戸情緒を感じながら亀戸の良さを再発見できるスポットです。
その一方で、亀戸・大島エリアは新しい若者文化の発信地でもあったのです。
サンストリート亀戸のステージでは年間800回を超えるアイドルイベントが開催されていました。デビュー間もないころのPerfumeがライブや握手会を行っていたのは有名で、年間のべ1,000万人が来場する“聖地”でした。
サンストリート亀戸が閉館した後に進行している再開発プロジェクトのなかにも、屋外ステージの設営は組み込まれていますので、ここから新しい若者文化が発信されていくことでしょう。
江東区の注目エリア【2】:東西線の門前仲町・東陽町エリア
江東区のもう一つの注目エリアは、門前仲町・東陽町エリアです。
先ほど紹介した亀戸・大島エリアの南西に位置し、大手町から続く永代通りを進み日本橋・茅場町から隅田川を超えたところが門前仲町、そのまま永代通り沿いに木場、東陽町、南砂町と続きます。
■門前仲町駅周辺
深川めしで有名な“深川エリア”とは、門前仲町周辺エリアを指します。門前仲町は古くから深川不動尊の門前町として栄え、松尾芭蕉、伊能忠敬、滝沢馬琴など江戸時代を代表する文化人もその居を構えていました。近年ではアートとカフェの街として多くの若者の憧れのエリアになっています。
■東陽町駅周辺
東陽町エリアを一言でいうと、「生活に必要な施設がすべてそろっている街」。
江東区役所や19時まで郵便の取り扱いを行う深川郵便局、西友やしまむらが入居するフードコート併設のショッピングセンター、図書館や病院などが駅周辺に集まっています。自動車免許の更新の際に訪れる運転免許試験場があることで馴染みがあるという人も多いことでしょう。
また、竹中工務店東京本店、ダイエー東京本社など大企業が集まるエリアでもあり、ビジネス街としての一面もあります。住まい、仕事、さまざまな目的で人が集まってくる街、それが東陽町です。
間に挟まれた木場駅は、東京現代美術館の最寄駅です。
付近には大きな木場公園があり、アートと自然が融合した広々とした空間を満喫することができます。さらに木場駅徒歩2分にある深川ギャザリアは、店舗、レストラン、大型スーパー、映画館などショッピングやレジャーを存分に楽しむことができる大型のショッピングモールで、いつもカップルやファミリーで賑わっています。
有楽町線の延伸で利便性がますます高まるエリア
門前仲町駅、東陽町駅は東京メトロ東西線の駅です。
日本橋から門前仲町まではわずか4分、大手町、九段下も至近で、都心へのアクセスについては申し分ありません。東西線も都営新宿線と同じく山手線の内側を横断する路線であるために、JR、各種地下鉄線への取り換えにより、新宿・渋谷へのアクセスもスムーズです。
東陽町駅から羽田空港へのリムジンバスも運行しており、出張の多いビジネスマンにとっても便利です。羽田空港第2ターミナルまでわずか20分と出張の疲れが軽減されます。電車では時間がかかるために意外に思われるかもしれませんが、湾岸エリアを通って空港まで直行するため、かなり時間が短縮されるのです。
さらに、令和3年7月には江東区長が東京都知事に対して、かねてより構想の合った「有楽町線延線の事業化」に関する答申を行い、にわかに現実味を帯びています。これは、有楽町線を、豊洲駅から東陽町駅を通って都営新宿線住吉駅まで延伸させる構想で、湾岸エリアへのアクセスがかなりしやすくなります。実現化には越えなければならないハードルが多く存在しますが、今後注目していきたい事業構想です。
参照元:江東区HP
若者に人気のアート文化とカフェ文化が融合する街
門前仲町エリアは以前より下町人情があふれる若者に人気の街でした。
しかし近年では、アートとカフェ文化が育まれるまちとして注目を集めています。
東京現代美術館が近いこともあり、アートギャラリーが多いエリアになっています。10月には街いっぱいに障がいのある人が描いたアートが飾られる芸術祭「アートパラ深川」が開催され、多くのアーティストが深川に集まります。
また、ブルーボトルコーヒーが清澄白河エリアにオープンしたころから、多くの焙煎所やカフェがこのエリアに店舗を構えるようになり、新しいカフェ文化が生まれています。街歩きをしながらアートとカフェを楽しめる洗練された文化を体験できるところに多くの若者が惹きつけられています。
江東区の家賃相場
江東区は都心へのアクセスが抜群であるために、都心に通勤する単身者やファミリー層に特に人気のエリアです。それでいて、不動産相場(分譲価格・賃料)としても城南エリア・城西エリア(※1)に比べて割安感があるため、人気に拍車がかかっているのです。
同じく都心エリアから電車で5分から15分程度の駅と家賃相場を比較してみましょう。
■新築・駅徒歩5分以内の賃料相場比較
門前仲町 | 亀戸 | 三軒茶屋 | 西荻窪 | |
主な駅へのアクセス | 日本橋まで4分 | 東京駅まで15分 | 渋谷まで4分 | 新宿駅まで15分 |
1K | 9.6万円 | 8.5万円 | 10.1万円 | 9.0万円 |
1LDK | 13.7万円 | 11.7万円 | 14.3万円 | 12.6万円 |
2LDK | 17.0万円 | 14.3万円 | 17.7万円 | 15.4万円 |
参考資料:SUUMO Webサイト
ターミナル駅との交通アクセスがほぼ同等であるにもかかわらず、江東区エリアの方が、賃料が割安になっています。これからの上昇の余地があるエリアといえるかもしれません。
※1
・城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区)
・城西エリア(渋谷区、新宿区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)
江東区の地価推移
江東区の地価はここ10年間の間に国土交通省発表の地価公示ベースで40%近く、土地取引価格ベースで2倍近くに高騰しています。人口増加の傾向や大型の再開発が進んだこと、新しい文化の発展に若者が注目していることなどの要因が、そのまま地価に反映されているといって良いでしょう。
湾岸エリアの高騰が目立つ一方で、亀戸エリアも駅近の地域を中心にかなり高騰しています。他の門前仲町や東陽町エリアも軒並み20%から30%の上昇率を記録しており、今後においても期待が大きいエリアです。
参考資料:国土交通省土地総合システム
不動産投資における「江東区」の将来性
江東区は、以前より不動産投資に適したエリアとされてきましたが、
- オリンピックの中心施設が江東区に集中している
- 若者文化の発信地としての認知が進んできた
という点を踏まえ、さらに注目が集まっているエリアです。
有明、豊洲などの湾岸エリアだけではなく、古き良き文化と現代文化が見事に融合した門前仲町エリア、亀戸エリアは住むだけではなく街歩きの観光スポットとしても楽しめる場所になっています。
さらに江東区の中心ともいえる東陽町エリアには、生活に必要な施設がすべて集まっている一方でビジネスマンも多いという未来の働き方を表した街を感じ取ることができます。
賃料相場や地価相場にも伸びしろがあり、これからますます発展していくことが期待されます。
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