【 目次 】
投資用に新築ワンルームマンションを購入する際には、事前に出口戦略についてもしっかり考えておくことが大切です。
今回は、新築ワンルームマンションの出口戦略が重要な理由や物件の価格の決まり方、売却方法について詳しく説明していきます。
なぜ出口戦略について考えておく必要があるのか
不動産投資における出口戦略とは、不動産投資を切り上げて撤退する際の戦略であり、不動産投資の最後の着地点をどうするのかを検討することです。最後の着地点によって、不動産投資が成功するか失敗するかが決まると言っても過言ではない為、出口戦略はとても大事になってきます。
不動産投資における主な出口戦略として、
- 売却の時期
- 売却の金額
- 売却せずに収益源として持ち続ける
- 人に貸さずに自宅として使用する
などがあります。
出口戦略の立て方は人それぞれですが、たとえば、老後の収入源として新築ワンルームマンションを購入する場合、「売却せずに収益源として持ち続ける」ことが基本戦略になり、もし将来的に値上がりすれば売却することも視野に入れて出口戦略を立てることになります。
日本では、戦後からバブル経済崩壊までは不動産価格は上昇の一途を辿っていましたので、不動産の売却時にはある程度の売却益を見込むことができていました。しかしバブル経済崩壊後は、デフレ経済が長く続いていたため、売却時は必ずしも売却益が得られるとは限りません。
そのため、デフレ経済下において不動産投資を行う際は、過度な売却益(キャピタルゲイン)を期待して出口戦略を立てることは禁物です。将来は不動産価格が値下がりしていることもあり得ると考えたうえで、出口戦略を立てるようにするのがポイントです。
新築ワンルームマンションは、価格に広告宣伝費や営業活動費、不動産会社の利益などが上乗せされており、これを「新築プレミアム」といいますが、売却する際は新築プレミアムがつかない中古物件となるため、デフレ経済下では購入価格よりも高く売ることは非常に難しいです。
そのため、将来的に可能な限り高値で売るという出口戦略を立てる場合には、値下がりしにくい物件を選ぶことが重要となります。
ワンルームマンションの価格の特徴、決め方
「将来的に売却する」という出口戦略を取った場合は、購入したマンションを少しでも高値で売ることが必要になってきます。そのために、ワンルームマンションの価格の特徴と売却価格の決め方を知っておくとよいでしょう。
不動産の価格は需要と供給の相関関係によって決まりますが、投資用のワンルームマンションの場合は、物件の収益性を考慮した収益価格が価格を決める重要な要素になります。
投資用不動産としてのワンルームマンションの収益価格は、次の計算式で求められます。
NOI(純利益)÷ NOI利回り = 価格
NOIとは「Net Operating Income」の略称で、日本語にすると「純利益」となります。
純利益とは、実際に得られる家賃収入から諸経費を差し引いた不動産投資による純粋な利益であり、これをNOI利回り(表面利回りではなく、NOIから算出される実質利回り)で割ったものがワンルームマンションの価格になります。
例えば純利益が年間100万円、NOI利回りが5%の場合は以下となります。
【計算例】
NOI(純利益)100万円÷ NOI利回り5% = 2,000万
NOI(純利益)を決める要素は家賃収入と経費ですが、家賃収入と経費は大きく変動することはないため、NOI利回りが投資用のワンルームマンションの価格を大きく左右する要素になります。
NOI利回りは金利によって変動し、低金利の時代はNOI利回りが低くなり、高金利の時代はNOI利回りが高くなります。
計算式から明らかなように、NOI利回りが低いとワンルームマンションの価格も高くなりますので、高金利の時代よりも低金利の時代の方が投資用のワンルームマンションの収益価格は高くなります。
日本ではデフレ脱却のために、アベノミクスによる超低金利政策が取られ、2019年4月現在もマイナス金利政策が続けられています。
超低金利政策によりNOI利回りはかつてないほどに低くなっているため、東京都心を中心にワンルームマンションの価格は高騰しています。
そのため、2019年4月現在ワンルームマンションは売り時だと言えますが、売り時の状態が続くかどうかは今後の経済動向や金融政策などにかかってきます。
不動産投資のNOIや計算方法、利回りについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
不動産査定の方法と査定額をアップさせるコツ
ワンルームマンションを売却する方法は仲介と買取がありますが、いずれの方法でも売却価格は不動産査定の査定額を参考に決定されます。
ここでは、不動産査定の方法と、査定額を上げるためのコツについて触れていきます。
不動産査定の方法
不動産査定の方法は机上査定(簡易査定)と訪問査定があり、仲介の売り出し価格や買い取る際の買取価格を決める際には、訪問査定が行われます。
机上査定では現地調査を実施しませんが、訪問査定では実際に不動産会社の担当者が現地調査を実施し、取引事例比較法と原価法、収益還元法の3手法を用いて査定額を決定します。
先程説明したように、投資用のワンルームマンションの場合は、収益還元法による収益価格が重視されますが、物件の周辺地域の成約事例を比較する取引事例比較法による比準価格も参考に決定されます。
売却時の査定額をアップさせるコツ
- リフォームを行う
売却時の査定額をアップさせる方法として、マンションをリフォームしてから売却するという方法があります。築年数が経過していてもリフォームをすると新築のように室内は綺麗になりますので、当然ながら査定額はアップします。
また、リフォーム済みの中古マンションとして売却できるため、仲介の場合は買い手が見つかりやすくなります。ただし、リフォーム代以上に査定額がアップしなければ赤字になるので注意が必要です。
- 査定額を比較する
不動産査定は不動産会社が行いますが、査定額は不動産会社によって違いがあります。そのため不動産査定を依頼する際には1社だけでなく、複数の不動産会社に査定を依頼すると査定額を比較することができ、最も高い値段を付けてくれる不動産会社を見つけることができます。
不動産査定は無料ですので、複数の不動産会社に査定を依頼しても金銭的な負担はかかりませんが、大変な手間と時間がかかります。
そこで便利なのが不動産一括査定サイトです。不動産一括査定サイトを利用すると、1回の手続きで複数の不動産会社で査定ができます。
ワンルームマンションの売却方法について
先程触れたように、ワンルームマンションの売却方法は仲介と買取があり、どちらを選ぶかによって売却方法が違ってきます。
仲介による売却方法
仲介による不動産売却は、不動産会社(不動産仲介会社)と媒介契約を締結し、不動産会社にワンルームマンションの買主を探してもらう売却方法になります。
媒介契約は一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約があり、一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼できますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約を締結すると、他社には仲介を依頼することができません。
一般媒介契約と専任媒介契約の場合は自分で買主を探すことができますが、自分で買主を見つけた場合でも、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
また、専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合、14日以内に1回以上の販売状況報告義務が定められているため、売却自体スピーディーに進められる可能性が高くなります。また、1社としか媒介契約を結べないことから、不動産会社も売却に向けて力を入れる傾向にあります。
買取による売却方法
買取による不動産売却は、不動産会社にワンルームマンションを直接買い取ってもらう売却方法です。
買取だと、仲介のように買主を探す手間が省けるため、仲介よりも早く売却することができます。その分、売却代金を受け取るタイミングも早くなります。
ただし、買取による売却価格は、転売益での儲けを得るため市場価格の70%程度になり、一般的には仲介よりも売却価格は低くなります。
仲介で不動産売却を行う際は、買主を探すために広告を出す必要がありますが、買取の場合は広告を出す必要はなく、誰にも知られずにワンルームマンションを売却することが可能です。
仲介と売却には、大きく上記のような違いがあります。そのため、時間がかかっても少しでも高値で売りたい場合には仲介を、売却価格が安くなっても早く売りたい場合は買取を選ぶとよいでしょう。
ワンルームマンション売却時の注意点
最後に、ワンルームマンションを売却する際の注意点をまとめました。
仲介手数料が発生する
仲介でワンルームマンションを売却した場合は、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は売却価格によって違いがあり、次の計算式で算定した金額が上限額になります。
※なお、買取で売却した場合、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料 = (売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税
これはあくまで上限となり、仲介手数料がかからない場合もあるようですが、手数料が発生するということは覚えておくようにしましょう。
売却時に税金が発生する
不動産を売却する際には、税金が発生します。売却時には印紙税と登録免許税がかかり、売却益が発生した場合は譲渡所得税と住民税がかかります。
不動産投資における税金について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
譲渡所得税と住民税はワンルームマンションの所有期間によって税率が異なり、購入してから5年を超えると税率は低くなります。
そのため、ワンルームマンションを購入してから5年未満で売却時に売却益が出る場合は、所有期間が5年を超えてから売るようにすると、税金を低く抑えられます。
それぞれの税率を比較してみましょう。
- 所有期間が5年未満
ワンルームマンションの所有期間が5年未満で、売却時に売却益が発生した場合は短期譲渡所得になり、税率は39.63%(所得税30.63%、住民税9%)になります。
- 所有期間が5年以上
ワンルームマンションの所有期間が5年を超え、売却時に売却益が発生した場合は長期譲渡所得になり、税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)になります。
短期と長期を比べると、長期の方が19.315%も税率が低くなるため節税に繋がります。
ただし、所有期間は1月1日を基準に計算されるため、注意が必要です。
なお、投資用のワンルームマンションではなく、マイホーム(居住用不動産)として利用していたワンルームマンションを売った時には特別控除が受けられ、譲渡所得から最高3,000万円まで控除されます。
また、所有期間が10年を超える居住用不動産を売却した時も軽減税率の特例が受けられますが、投資用のワンルームマンションは居住用不動産(マイホーム)ではないため、特例措置は受けられません。
不動産投資における売却タイミングについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
新築ワンルームマンション投資でも、出口戦略を頭においた上で投資を始めることが重要です。ワンルームマンションの価格の特徴や決め方、査定額をアップさせるコツをよく理解しておくことで、納得のいく価格で売却することができるでしょう。
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