【 目次 】
みなさんは不動産投資に必要な頭金の目安をご存知でしょうか?ここでは現物不動産を購入する場合の頭金の目安や、その金額の違いがどのような影響を及ぼすのかについて解説します。
不動産投資のローンについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
不動産投資の頭金の目安
現物不動産投資での頭金の目安
頭金の最適な額を定めることはできません。そのときの経済の状況(金利や政策など)・購入者(職業や年収など)・購入物件(新築か中古かや立地など)により左右されるものの、明確な規定や計算式があるわけではないからです。たとえば返済能力が高いと判断されたり、将来の利益がある程度確実であったりと推測されれば、頭金の額が相場に満たなくても審査が通る場合がありますし、逆に信用に欠けると評価されれば必要以上に大きい頭金を請求される場合もあります。
融資を確実に受けるため
そうした性質を考慮したうえで、かなり幅のある目安として「物件の金額の10~20%程度」という基準が知られています。この水準は2019年現在の経済状況や不動産相場を前提にしています。金額として300万円以上は用意しておくと安全だとも言われています。
この基準は融資を受けるための審査を念頭に置いています。審査の際、もし頭金を全く用意できなければ、返済能力を信用してもらうことは難しくなります。ただし、繰り返しになりますが、頭金の水準は年収・属性・物件などにより変化します。頭金が用意でき資金的に問題が無かったとしても、例えば年収の10倍以上の金額の物件を購入する場合、不安定な職を転々としている場合などは、融資してもらえない可能性があります。融資の可否に関する様々な要因や、実際の事例については「不動産投資ローンの審査をクリアできる方法は?」に詳しい説明があります。
注意点:頭金と自己資金
頭金と似た言葉に「自己資金」があります。この二つの言葉は混同されがちですが、正確には異なるお金を指しています。
頭金は、ローンの返済に関する信用を高めるために先払いされるお金です。不動産投資では、不動産購入に伴う不動産投資ローンを契約する際にまとまったお金が必要になる場合があります。物件の性質などによってはその額はかなり低く抑えられるため、文字通りの意味で「まとまったお金が必要」という意味ではありませんが、用意しておくに越したことはありません。
一方、不動産投資でいう自己資金とは、頭金のみならず保険料や印紙代、ローン事務手数料なども含み、物件購入に必要になるお金の総額を意味します。そのため不動産投資に求められる自己資金は頭金の水準よりもやや多くなります。先ほど頭金の必要金額の参考値として、物件価格の10~20%という数字を示しました。つまり、不動産購入のための自己資金としてはこれに幾らかを上乗せして、最大で物件価格の30%程度の額を用意することを意味しています。
この関係にも明らかですが、自己資金の大部分を頭金が占めています。このことから二つの言葉が同一視されることもあります。自己資金そのものが要らないという投資プランでなければ、両者は違うものとして扱う場合があると理解しておきましょう。
頭金が少ないことのメリット
融資の審査を念頭に置いた場合には、以上のように受動的に頭金が定められます。一方、頭金の多寡は以降の返済計画の変化につながり、したがって投資の目的や戦略によっては、不動産投資に追加的な効果を持たせる役割を果たしてくれます。
生命保険の代わりになる
たとえば頭金が少ないローンを結んだ場合、かなり少額の自己資金で投資を始められたことになります。頭金が少ない場合には、その不動産投資は生命保険の補助としての機能が高くなります。
団体信用生命保険
購入した不動産ですが、購入者が死亡してしまった場合その家族が引き継ぐことになります。この際、購入者の死亡時に既に借金の返済が完了している場合や、団体信用生命保険の保険金により未返済分を相殺する場合は、無借金の不動産資産とその家賃収入のみを家族に遺すことができます。
通常、不動産ローンでは団体信用生命保険への加入が義務付けられています。一般に団体信用生命保険は通常の生命保険よりも保険料が安価であり、不動産投資が生命保険の補助的な役割を果たす部分があると言われています。その保険料は不動産の家賃収益から支払われるため、頭金が少額で抑えられた場合には、その少額で生命保険と似た効果を得られたことになります。
他にも不動産ローンについて詳しく知りたい方は、「不動産投資ローンとは?具体例や金融機関の選び方、融資審査に通るコツを解説!」を参照ください。
相続と諸注意
団体信用生命保険により、家族に不動産資産とその家賃収入という、定期的収入源を遺すことができます。もはやローンを支払う必要もないため、家賃収入から管理費用などを引けば、それが継続的な収入になります。
なお、現金を相続する場合に比べると、相続資産の評価額も低くなります。相続資産の評価額が低くなるということは、条件次第では相続税も抑えられる可能性があります。
しかし、不動産は流動性の低い資産であることは頭に入れておきましょう。もし直ちに多額の現金が必要になったとしても、数日で不動産を売って現金に変えるのは現実的ではありません。その意味では、完全に生命保険の代わりになるものではないという点は認識しておく必要があります。
特に頭金0円(全額融資)の場合について
近年、不動産投資で頭金0円とか頭金なしといった誘い文句を見かけます。全額融資であるという意味では、自己資金0円プランやフルローン投資なども同じものを指しています。頭金0円などのプランは頭金の少ないローンの最たるものです。これらを利用すれば、まとまったお金が現時点で用意できなくてもすぐに投資を始められるため、資産の無い人でも投資を始めやすいプランと言えます。
例えば低収入なサラリーマンを続けるのでは老後が不安なので、勤務の傍ら今のうちからマンションを購入して不労所得で稼ごうと考えるとき、こうしたプランは有効です。不動産という資産を購入するため、物件の信頼性も同時に評価され、融資が認められやすくなります。なおこうしたプランでは、本来なら払う必要のある金額を投資開始時点で払わず、将来の返済分に入れる方式になっており、金利によって最終的な返済金額は大きくなることも知っておきましょう。
全額融資のメリット
貯蓄が少ない状況、大きな収入が無い状況でも投資を始められます。ローン返済後に安定した収入をもたらす不動産投資という選択肢が加わることで、ライフプランにも幅ができることでしょう。
なお、年齢が若い内の方がローン自体の選択肢も豊富になります。返済期間も短期から長期まで選択が可能になり、自身の返済能力も就労年齢が長く残っていた方が優位に評価されます。
また、不動産投資に使える多額の資金が手元にある場合であっても、こうしたプランは有用です。というのも、自分のお金をあまり使わず大きい融資を受けることで、投資にレバレッジを効かせられるからです。自分の資金を他の投資に活用すれば、全体では更に大きな利益を得られる可能性があります。
頭金が多いことのメリット
年金の代わりになる
一方、頭金が多いローン契約にもメリットがあります。頭金が多い場合、月々の支払いが少なくなったり、返済期間が短くなったりします。就労年齢以内に返済を終えるようにしておくことで、年金代わりの効果を得ることができます。
不動産を持っていれば、定期的に家賃収入を得ることができます。ローンの返済を老後までに完了していれば、老後にはローンの支払いがなく、家賃収入から管理費用などを差し引いた額が定常収入として入ることになります。こうした性質から、不動産投資には年金と同じ効果があると言われます。
繰り上げ返済していただくことでも同じような効果が得られます。詳しい内容が知りたい方は「不動産投資ローンの繰り上げ返済の仕組みとメリット・デメリットを解説」をご覧ください。
年金への不安を解消する
日本の年金システムへの長期的な不安は尽きません。いつ破綻するか、またいつ支給が減額されるかと常に不安視されています。一方、不動産投資を利用した場合は、物件の状態などにもよりますが、ある程度確実で安定的な収入が得られます。
公的年金は貰える時期と金額も一律に決められていますが、不動産投資ならば購入者側で自由に、かつ身体や健康にあまり負担をかけることなく、調整することもできます。いざとなれば物件を売ることでまとまったお金が手に入るのも、年金とは異なる利点と言えます。
「頭金の違い=目的の違い」?
以上に見てきたように、「頭金を多く入れるか入れないか」ということは、「その不動産投資にどのような効果を期待するか」という点にかなり左右されます。
- 頭金が多い:年金としての効果
- 頭金が少ない:生命保険としての効果
元々不動産投資の収益モデルは、生命保険としても年金としても解釈できる部分があり、頭金の寡多に関わらずどちらの効果もある程度見込むことができます。しかし、どちらかの目的がより重要なのであれば、頭金をコントロールする必要があります。
ただし、活かしたいメリットと目的が噛み合わない場合も考えられます(生命保険としての効果は無くて良いけれど、相続税の節税はしたい、など)。そうした場合であっても、不動産投資の姿が完全に柔軟に変化することはありません。別の手段を検討するか、不動産投資であれば実現できるのはどのラインなのかを慎重に検討するなど、個別の対応が求められます。
いずれにしても、不動産投資は長期戦であり、目的や状況は逐次変化します。そうした変化に対応することを前提にすれば、この二つの効果が不動産投資ローンに内包されていることはまず理解しておくべきでしょう。そのうえで、その時点でどちらをより活用したいのかを意識して判断することになります。
まとめ
不動産投資ローンにおける頭金の多寡は、不動産投資の持つメリットの何を重視するのかを反映するところがあります。実際の頭金の水準は経済状況や物件によっても変化しますが、頭金の多寡にこうした性質が伴われていることは知って損することはありません。自身のライフプランや投資目的に応じて、自己資金をどう活用して投資を行うのか、慎重に判断するよう心がけましょう。
関連記事:不動産投資の自己資金で購入物件はどう変わる⁉シミュレーション解説
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