不動産投資の利回りの相場とは?高利回り物件のリスクを知ろう

不動産投資の利回りの相場とは?高利回り物件のリスクを知ろう

不動産投資をするにあたって利回りは気になるポイントの一つでしょう。不動産のタイプによっても利回りの相場は異なり、利回りが高ければ高いほど良いというわけではありません。

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不動産投資の利回りの相場

利回りについてのざっくりとしたイメージを掴むためにも、まずはワンルームマンションや一棟物件における利回りの実際の相場を見ていきましょう。

都市部にある物件の利回りの相場

新築ワンルームマンションの利回りの平均的な相場は、4%前後です。中古ワンルームマンションでは築年数によって差が生まれ、比較的築年数が浅い物件(~築20年まで)で4~5%、築年数がそれよりも長い場合だと6~10%が平均的な利回りの値となっています。一方、一棟物件も状態によって差があります。例えば都心部にある木造の新築一棟物件では、平均的な利回りの相場は5~6%であり、中古一棟物件では6~8%となっています。
関連記事:新築ワンルームマンションの利回りや相場について
関連記事:不動産投資では新築マンションと中古マンションどっちが良い?利回りの違いから解説

都心と地方では違いがあるのか?

地方では利回りの相場はどのようになっているのでしょうか。都心部では物件の利回りが10%を上回ることはまずないと言ってもよいですが、地方物件の利回りの平均は10%程度という高い水準です。この背景には、価格上昇が続く都心物件と比べ、地方物件では価格が低く留まっていることがあります。後ほど詳しく説明しますが、不動産広告などでしばしば用いられる利回りの値は、家賃収入による年間収入額の、物件購入価格に対する割合として求められます。そのためごく単純に考えると、物件購入価格を低く抑えられる地方物件の方が、利回りが高くなると考えられます。つまり地方物件については、都心部の物件よりも利回りの想定を高めに考えておく必要があると言えます。

ところで、都心部の物件とは利回りで差がある地方物件への投資には、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。地方物件の良い点としては、物件購入価格が低い傾向があるために投資を始めやすいことに加え、大学や工場があり人が集まりやすい地域を選べば、十分な家賃収入を見込めることがあります。一方で、都心部に比べると人口が少ない地方では、空室の危険性が低くはありません。家賃相場が都心部の物件よりも低いのにも拘らず入居率が悪い状態が続いてしまうと、十分に利益を上げられませんし、物件を手放そうとしても買い手がつかないことも十分に考えられます。利回りが高いという事実だけで判断して購入を決めてしまうのではなく、多くの人々が住んでみたいと思うような魅力的な物件を選択する必要があります。

都心部と地方の物件の比較を見たい方は、「【都心vs.郊外】不動産投資を始めるならどちらのエリアを選ぶべき?」をご覧ください。

利回りとは?

さて、ここまで「利回り」として説明してきた数値はそもそもどのように計算されるものなのでしょうか。また、物件を選ぶにあたって利回りの値をどのように参考にしたら良いのでしょうか。ここでは、利回りの計算方法、そして「利回りが高い」ということは何を意味するのか、という2点に絞って見ていきましょう。

利回りが示すものとは?

利回りとは簡単に言えば、物件購入費用に対してどのくらいの家賃収入が得られるのかを表した数値であり、物件を選定する時に見るべき指標の一つです。皆さんが普段から不動産会社の資料等を通してよく目にしている利回りは、表面利回りと呼ばれる値です。表面利回りは、実際に部屋を購入し管理する際に必要となる費用や税金を全く加味しておらず、次のような計算式で求められます。

表面利回り = 満室時の年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100(単位:%)

表面利回りは購入時や運用時の必要経費を全く考慮に入れていないため、実際に物件を運用する際の利益率をイメージすることは難しいと言えます。

一方で、表面利回りの計算では加味されていない諸経費を考慮して算出される利回りも存在します。それが実質利回りと呼ばれる値です。実質利回りの計算方法は次の通りです。

実質利回り=(満室時の年間家賃収入-管理費等の諸経費)÷(物件購入価格+購入時の諸費用)× 100(単位は%)

表面利回りと実質利回りとでは上のような大きな違いがあります。そのため、不動産投資を始める前には、広告や不動産会社の説明で出てくる物件の利回りがどのように計算された値なのかを確認し、必要に応じて自分で利回りの計算ができるようにしておく必要があります。

さらに、表面利回りも実質利回りも、年間を通して満室である時の家賃収入を想定しているため、空室が出る可能性を考慮できていません。これらの利回りの値はあくまで、物件への投資でどれだけの利益を上げられるかを、大まかにシミュレーションする上で参考になる指標だということも理解しておきましょう。

利回りの計算方法について詳しく知りたい方は、「不動産投資の「利回り」計算方法と平均相場とは?注意点も解説!」をご覧ください。

利回りが高いとは?

利回りが高くなるのは、年間家賃収入が高いか、物件購入価格が低いためだと考えられますが、家賃収入額がそれほど高くなくても利回りの値が高くなることがあります。その原因は主に三つ考えられます。

①地価が安いために物件価格が低い場合

②中古物件であるために建物価格が低い場合

③管理や修繕にかかる費用を低く見積もっている場合

こうした要因も利回りを上昇させることがあるため、高い利回りが必ずしも収益性の高さを意味するわけではありません。利回りは物件の収益性を完璧に反映できるわけではなく、あくまでも物件を評価するための判断材料の一つなのです。

高利回りで、収益性の高い物件の探し方は、「高利回り投資物件の特徴と失敗しないための攻略法」をご覧ください。

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高い利回りの落とし穴

ここからは、利回りが高い物件にしばしば見られる、無視できない重大なリスクついて詳しく見ていきましょう。

高利回り物件のリスクとは

先ほど、「地価が安い」「中古物件である」「必要経費を安く見積もっている」等といった原因によって、利回りの値が高くなることがあると述べました。

利回りは高いけれども問題を抱えている物件の一つとして、物件があるエリアの利便性が低いために安定した需要が見込めないケースが考えられます。このような物件では入居者が集まりづらいため、物件を売り出すための広告宣伝費が高くなってしまう可能性があります。

また、利回りの値には表れないものの、中古物件で老朽化しているために予想以上の費用が掛かってしまうケースもあります。改装費用は敷金から捻出するのが一般的ですが、物件の状態がひどいために敷金の金額内に収められず、オーナーが収入を切り崩して費用を負担しなければならなくなるリスクがあります。

このように、物件の利回りが良かったとしても、物件への需要が期待できない、改装費用や広告宣伝費用が多く掛かるというマイナス面を抱えた物件である可能性があります。リスクを考えた上で、物件をしっかりと見極めることが重要です。

高利回り物件の失敗事例

最後に、高利回り物件への不動産投資が失敗してしまった例を見ていきましょう。

高い利回りと築年数の浅さに惹かれ、郊外ではあるものの大学に近いあるマンションを購入したAさんは、一人暮らしをする学生の需要を見込み、その想定通りに順調な運営を実現させていました。しかし、数年後に大学の移転が決まると状況は一変します。この物件は大学には近かったものの周りに便利な施設はさほどなく、駅からのアクセスがあまり良くなかったため、次の入居者がなかなか見つからず空室状態が続きました。そのため、家賃収入を得られず損失が出てしまい、結果的に不本意ながらも家賃を下げざるを得なくなってしまいました。

確かに、都心部ではないものの人が多く集まってくる大学や工場が近辺にある物件を購入することで、投資が成功する場合もあります。しかし、今後少子化によって大学規模の縮小が決まったり、企業の業績悪化によって工場の閉鎖や移転、規模の縮小が行われたり等の事態が起きないとも言い切れません。実際、例えば三重県亀山市では、シャープの大規模工場が規模を縮小し多くの従業員がリストラされた影響で、周辺の物件への需要が減り、その地域で不動産投資を行っていた人々は大打撃を受けました。

特定の大学や工場に通う人々の入居需要のみに頼る投資は大変危険です。空室期間が長引けば、物件の家賃を下げたり広告宣伝費を使ったりして入居者を惹きつける努力をしなくてはならず、当初の投資計画からの軌道修正を余儀なくされます。

このような失敗を防ぐために重要なことは二つあります。まず一つ目は、物件の運営を特定の施設に頼りきりにならないようにするということです。現在近くにある大学や企業が今後どのような状況になるかを正確に予測するのは困難です。一つの要素だけではなく、複数の面で魅力的な物件を選ぶことが重要です。二つ目は、物件を選択する際に利回りだけを見るのではなく、その他の様々な条件も考慮することです。物件が新築か中古なのか、また中古ならどのくらいの築年数なのか、物件状態は価格に適しているのかというように、物件の質と価格の両方を吟味することが欠かせません。さらに物件周辺のエリアについての情報や不動産市場の動向も抑えておくと、より正確な投資の判断ができるでしょう。

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まとめ

今回は、利回りの計算方法や高利回り物件に隠れていることがあるデメリット等について解説しました。不動産投資をこれから始めたいと思っている方にとって、利回りは気になる基準でしょう。しかし利回りは物件を選定する上での一つの指標でしかなく、利回りの高さが必ずしも収益性の高さを保障するわけではありません。賢明な不動産投資を行うには、購入や管理に必要となる経費も考慮して投資計画を考えること、適切な相場を理解して物件の質と価格を見極めることが不可欠です。

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