【 目次 】
不動産投資を始めるにあたり、割安な中古物件をリノベーションすることで初期費用を抑えたいと考える人は少なくありません。しかし、リノベーションの必要な箇所や費用相場について十分な知識がなければ、失敗に終わってしまう場合もあります。今回は、中古物件リノベーションの失敗例についてご紹介します。
リノベーションのメリット
近年、不動産投資で「リノベーション」という言葉が多く聞かれるようになりました。リノベーションはRenovationという英単語を由来にしており、その原義はRe(再び) nov-(新しく)-ation(すること)です。特に不動産業界においては、古い建物の外装・内装を最新のものに変化させることで、その建物の価値を再定義し、多くの人々が購入したい、あるいは利用したいと思えるものに刷新させることを言います。
リノベーション賃貸物件で収益がでるのか気になる方は、以下の記事もご覧ください。
費用対効果が高い
最大のメリットは、効果に対して安価であるという点です。現代風の意匠で、最新の設備が整った部屋を用意したいと思った際、新築のマンションや住宅を購入するには相応の費用が求められます。一方、古い建物を安価に購入し、内装や外装だけリノベーションすれば同等の印象を与える物件を安く用意することができます。リノベーションという手法の初期投資額・コストの安さが、不動産投資の初心者にも人気な理由なのです。
エリアの選択肢が格段に増える
また、投資物件の選択肢が大きく広がるのも魅力です。人気の出そうな設備・内装の整った新築物件を購入する場合、そうした物件の数は明らかに限られています。しかしリノベーションを前提にすれば、ほとんど全ての中古物件を投資先の選択肢に加えることができます。これによりエリアを吟味した投資戦略が可能になり、中級者以上の不動産投資家にとっても有効な戦略として親しまれているのです。
リノベーションの活用例
リノベーションは様々な場所で実施されています。例えば「Airbnb」に登録されている民泊物件では、その多くがリノベーションを活用しています。数十年前に建てられた空き家を購入し、コンセプトに沿ったインテリアや壁紙を用意して内装を整え、空調や水回りを最新式に切り替えれば、外国人旅行客も満足できる立派な民泊施設が完成します。事実、このようにして整えられた民泊用の部屋は東京都内にたくさんあり、それぞれのリノベーションにはホスト一人一人の工夫を見ることができます。
もう一つの例は、コワーキングスペース・イベントスペースとしての再利用です。かつて入居していた企業が撤退して以来、雑居ビルの1フロアが丸々放置されている状態は都内でしばしば見受けられます。このような場所を買い取り、目的に応じて内装を様々にリノベーションします。コワーキングスペースとして利用するなら落ち着いた家具を取り揃えたり、イベントスペースとして利用するなら色とりどりの華やかな飾りを用意したりします。
リノベーションにかかるコスト
リノベーションにかかるコストを具体的に考えてみましょう。昭和時代に作られた古いワンルームマンションをリノベーションする際、どの箇所を新しくしたいかに応じて、コストは次のように変わってきます。
- トイレ:ウォシュレットにしたい→約2万円
- お風呂周り:お湯の出る程度や、汚れを一新したい→約3万円
- 壁紙:汚れも目立つのでデザインを一新したい→約4万円
- キッチン:安全で汚れにくいIHに変えたい→約20万円
ただし、IHの場合はキッチンを丸々リフォームせずとも、別売りのIHコンロを購入することで小規模なリノベーションをすることも可能です。その場合の料金は約1万円です。この方法を採用した場合、以上四点を全てリノベーションしても、費用は10万円程度です。古いワンルームを購入して10万円以下で新築同然のワンルームにすれば、新築のワンルームを高額で購入するのに比べてはるかに手頃な費用で経営を始めることができます。
リノベーションでの不動産投資失敗例
このように賢い不動産投資戦略であるリノベーションは、近年にわかに脚光を浴び、たくさんの人々がチャレンジしています。しかしリノベーションによる経営にも思わぬ失敗が起こります。そうした失敗例を知っておくことで、リノベーションに隠されたリスクを認識しておくことが大切です。
ケース1:リノベーションが長引き、空室期間が想定より長くなってしまった
30代のAさんは、サラリーマンとして働く一方、不動産投資によって会社からの給料以外にもお金を稼ごうと試み、中古のワンルームマンションを購入して民泊事業を開始することにしました。購入したのが5月、自治体から民泊施設としての使用許可が下りるのが7月であるということで、Aさんはこの2ヶ月の間に全てリノベーションを済ませ、7月の開業に備えようと考えました。
ところが浴室の水回りを工事中、そもそもこの物件の水道設備全体に不具合が生じていることが判明し、浴室どころかキッチンまでまとめて改修が必要になってしまいました。この結果、費用がかさむだけでなく、工事期間も伸び、7月の開業には間に合わずリノベーションが完了したのは8月末でした。この1ヶ月の間に得られる収益も見込んでローンを組んでいたAさんは、お金の工面に苦労することになってしまいました。
ここで問題だったのは開業のタイミングに余裕を持たせなかったことです。リノベーションでは当初の見積もり以外にも様々なアクシデントが発生することが想定されます。業者とともに念入りに物件を調べ、確実な工期を計算して余裕を持った資金計画を立てましょう。
ケース2:リノベーションのコストが想定より高くなってしまい、ローンの支払いに支障が生じた
40代のBさんも、Aさん同様の動機からワンルームマンションを購入して賃貸事業を開始しようとしました。リノベーションの核は初期投資の安さ、ということを考えたBさんはそのエリアで最安値の物件を購入し、当初の予想ではトイレやキッチンなどの内装をリノベーションするのみで良いと考えていました。
ところが、その物件がそのエリア最安値であったのには理由がありました。もう10年以上も人が住んでおらず、管理人も粗雑な管理をしていた結果、壁紙はカビだらけ、エアコンは故障し水道・ガスも使い物にならず、さらには建物自体にヒビが入っているという有様だったのです。実際の物件を見ずに購入してしまったBさんは、結局建物全体の補強工事費用まで負担しなくてはならなくなりました。合計費用は新築の物件を買うのとそう変わらなくなってしまい、ローン返済計画も大きな変更を余儀なくされ、一気に懐事情は苦しくなりました。
このようなことが起こらないよう、中古の物件を購入する前にはその物件に実際に足を運んで建物全体からお部屋の中までしっかりと確認し、「何が足りないか」「自分が負担すべき費用がどれくらいになるか」を一つ一つ検証しましょう。見逃している部分もあるかもしれないので、場合によっては不動産の専門家を頼るのもいいかもしれません。
ケース3:リノベーションに不向きな物件を買ってしまった
50代のCさん。管理職となり資金にも余裕が出てきたので、老後の楽しみのために不動産投資にチャレンジしました。リノベーションであれば費用もかさまないため、Cさんは自分の生まれた昭和時代に建築された物件に親しみを感じ、これを購入し賃貸用にリノベーションすることにしました。
そんなある日、自治体の職員がCさんを訪ねてきました。曰く、「Cさんが先日購入した物件ですが、耐震強度が最新の基準を満たしていません。自治体としてこれを認めないことにしたので、早急に耐震補強工事を行ってください」との通達でした。寝耳に水のCさんでしたが、たしかに昭和時代に建てられたのでは、最新の基準を満たしているとは思えないのも事実です。自治体の命令に背けば後々厄介なことになりますから、出費はかさんでも耐震補強工事をすることにしました。結果的にかかった費用は約1,000万。これであれば、むしろ新築の方が安かった、とCさんは後悔しました。
中古の空き物件の多くが、昭和時代に建てられたものです。その時代に建てられたものの多くは、現代の耐震基準を満たしているものではないことが想定されます。物件を購入する際には、新しい耐震基準(1981年6月1日以降)を満たしているかどうかを必ずチェックしましょう。耐震補強工事の費用は建物の基礎や骨組みにも及ぶため、かなり費用がかさんでしまいます。
まとめ
近年注目されつつあるリノベーションですが、最初に買う物件を見誤ったり、コストの計算を甘く見積もったりして手続きを進めると、ローンの返済がうまくいかないなどの事態に陥り、最悪の場合何もできずに不動産を手放すことにもなりかねません。一方で正しく見積もりを立てて計画的にリノベーションを進めれば、低コストで莫大な利益を見込める可能性もあります。民泊やイベントスペースなど、都内に存在するリノベーションの成功例を参考にしながら、自分なりのプランを計画しましょう。
リノベーション中古物件のリスクについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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