【 目次 】
不動産投資を行うにあたって、利回りは重要な指標となります。この記事では、世界各国の新築マンションの利回りをランキング形式で発表し、利回り以外の背景も考慮した上で狙い目となる国を紹介します。
世界各国の利回り
不動産投資の利回りは、不動産の年数や形態といった不動産物件そのものの価値や、物件が建っている場所などで大きく変動するものです。日本国内では地域によって、その地理的条件などから利回りが異なっています。世界に目を向けても事情は変わりません。治安の良し悪しや、経済状況など各国独自の要素によって利回りは上下します。
まずは、現在の各国の利回りランキングを見てみましょう(数値はProperty Prices Index for Country 2018に基づきます)。
国別利回りランキング | 都心部における不動産投資表面利回り (2018年) |
|
1位 | アメリカ合衆国 | 10.75% |
2位 | アラブ首長国連邦 | 10.26% |
3位 | 南アフリカ共和国 | 10.17% |
4位 | パナマ共和国 | 8.21% |
5位 | サウジアラビア | 7.80% |
6位 | コスタリカ | 7.29% |
7位 | ヨルダン | 7.26% |
8位 | ジョージア | 7.20% |
9位 | エジプト | 6.92% |
10位 | アイスランド | 6.71% |
2018年の不動産投資表面利回りランキングは以上のようになります。1位はなんとアメリカ合衆国で、2位以下を見ると多くが発展途上国という並びですね。ちなみに日本は2.03%で85位となっています。このデータでは世界全ての国の表面利回りが掲載されているわけではありませんが、多くの先進国では日本のように表面利回りが比較的低い傾向にあります。
表面利回りランキングから見る世界各国の不動産投資情勢
ここで上記のランキングのようになる理由について考察してみます。
発展途上国の表面利回りが高くなっているのも気になりますが、まずはアメリカ合衆国が1位となっている理由から見ていきましょう。多くの先進国で不動産投資表面利回りは比較的低くなっている中で、なぜアメリカ合衆国だけが高い利回りを実現しているのでしょうか。
そもそも表面利回りとは
アメリカ合衆国の表面利回りが高い理由を探る前にまずは表面利回りについて確認します。
表面利回りとは、
(年間家賃収入)÷(不動産価格)×100
という式から算出される値です。不動産投資における収入(インカムゲインなど)が多いと判断されれば利回りも上昇します。不動産の家賃相場や建築物としての価値が直接に収入を高めますが、そのためには不動産への需要が高まる必要があります。
同時に、不動産自体の価格が安いほど表面利回りは高くなります。このため不動産価格の比較的高い先進国では表面利回りは低くなりやすいと考えられます。
アメリカ不動産市場の好況の秘訣とは
こうした利回りに関する基本をふまえて、アメリカ合衆国の不動産投資を分析してみましょう。アメリカではこの30年でGDPが約4倍に成長し、人口も2.5億人から3.3億人へと増加するなどあらゆる経済活動の基盤となる市場規模が拡大しています。不動産市場に関しても例外ではなく、不動産価格は上昇を続けており、その値はリーマンショック発生前よりも高い地域もあります。
さらに、アメリカでは持家派よりも賃貸派のほうが主流となっています。そのため、不動産の空室率はアメリカ全体でも7.1%という低水準を誇っています。東京23区内でさえ10%台前半を推移していることをふまえると、この値がかなりの低水準であることがわかります。
そうした背景もあり、アメリカ国内の不動産投資市場はかなり活性化しているため、結果として利回りの高さにつながっていると考えられます。ちなみにこの情勢は2019年も衰えないと見る専門家も多いようで、アメリカ不動産市場の好況はまだピークに達していないかもしれません。
発展途上国の不動産市場も注目を集めている
次は発展途上国の利回りの高さについて分析していきましょう。
発展途上国では一般的に先進国よりも不動産価格が安くなります。しかしそれだけが利回りの高さの原因ではありません。利回りのランキングに載っている国は、アメリカ同様に人口増加の傾向があることに加え、アメリカやヨーロッパなどと近く、比較的インフラが整っているなどの条件が重なり、それら先進国の人々が引退後のセカンドライフを過ごす場として選ぶケースもあるようです。こういった背景から不動産需要が高まり、利回りが高くなっていると考えられます。
日本では違った観点が必要
世界全体との比較で考えるとき、不動産投資対象として日本は避けるべきなのでしょうか。先に答えを述べておくと、NOです。日本の不動産市場については異なる観点が必要です。
そもそも不動産投資には様々な手続きが必要です。権利所有者の登記や税制への対応、国別の不動産管理の傾向など、投資を行う過程では様々なことに気を配る必要があります。まず我々日本人にとって日本語で投資を行うことは、それらの面で優位であるということを忘れてはなりません。
しかしただそれだけが理由であれば、否定するには不十分でしょう。むしろ重要なのは次の点です。すなわち、日本ではそもそも上記の利回りだけを参考にして不動産投資を行うべきではないということです。
日本の住宅用不動産取引の新築率は約85%と他の国々と比べてもかなり高いという特徴があります。日本では住宅購入の際、新築物件の建造が好まれています。中古物件は価格が抑えられ表面利回りが高くなりやすい一方、新築では物件価格が高くなり、表面利回りは比較的低くなります。
表面利回りからは、その不動産に投資する際のリスクを読み取ることができます。一般に表面利回りが高いということは、それだけその物件に投資するリスクがあるということを意味します。したがって、日本市場の特徴は比較的価値の落ちにくい新築物件を主軸にして、低い表面利回りながらも堅実な利益をあげられるという点にあるのです。
表面利回りの計算方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
不動産投資で狙い目な国
では、実際に投資をする際にどういった国が狙い目なのでしょうか。利回り以外の条件から投資先の国を判断する基準を紹介します。
ハードルの低い国が良い
不動産投資を海外で行う際には様々な制約がついてまわります。なかでも言語は最たるもので、不動産投資を行う国の公用語を理解しておかなければ、不動産の情報や権利など詳しい話を詰める際に不利な状況となってしまいます。前払いで建設費を支払ったにもかかわらず工事が着工されずに断念されたなどのトラブルが発生した場合も、言語を話せるだけで対処の仕方が変わります。
また、現地との距離も大きな課題になります。例えば地球の裏側に土地や不動産を所有すると、やはり管理の手間は相当なものです。もちろん海外の不動産の管理については、現地の不動産会社に任せておく必要があります。しかし不動産投資をするのであれば、定期的に現地を視察し、不動産の状態を確認しておくのが理想に違いありません。現地にパートナー的存在がいれば違いますが、自分ひとりで投資を行うとなると、負担は計り知れません。つまり、地理的に近い国のほうがより管理がしやすく、なにかトラブルが起きても現地へ赴くコストが少なくて済みます。
カントリーリスクが高い国は避けるべき
カントリーリスクとは、その国の社会経済の事情による投資リスクです。単純に自分が所有する土地や不動産が治安の悪い場所にあるよりは、治安の良い場所にあるほうが安定した投資になるというのもカントリーリスクのひとつです。より極端なものでは、戦争状態にある国や経済的に破綻寸前の国はカントリーリスクが高くなります。また、自然災害や政権交代といった比較的突発的な問題もカントリーリスクに含むことを忘れないようにしましょう。つまり、海外への投資を検討する場合には、その国の政治・経済・社会の状況について調査を行う必要があるということです。
海外不動産のリスクについて知りたい方はこちらをご覧ください
外国人でも投資ができる国でなければならない
何よりも重要な問題として、外国人による土地所有や建物の建設・所有が許可されていない国も存在します。特に土地に関しては、そもそも所有できないという規制が働く国も多くあります。いくら現地の仲介会社を通していても、法律で禁じられた事項については対応できず、不動産投資は不可能ということになります。
また、外国人が不動産投資を行う際には融資の問題も発生します。いくつかの国では、外国人であるという理由で投資のための融資を受けられない場合があります。この場合、その国の永住権や国籍を取得していなければ融資を受けるのは相当厳しいでしょう。
これら制度面で日本人による投資に適した地域は限定されます。日本で生活しながら不動産投資を行う場合に、土地と融資の問題両方をクリアできる国としては、マレーシアやニュージーランドなどが候補に挙がります。
海外不動産投資のローンについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
税金や土地所有制度の特徴も考慮すべき
日本で生活しながら海外の不動産投資を行う場合、不動産所得には基本的に日本の法律が適用されます。不動産所得、不動産所有、不動産売却などに日本の法律で定められた分の税金が発生することになります。
不動産投資を巡る法律について、減価償却費用を計上することで所得税を安く済ませるというテクニックが存在します。端的に説明すると、中古物件の耐用年数は短いため、減価償却費を多く計上することができます。これにより会計上の所得を低く抑え、節税するという手法です。特にアメリカなど中古物件の運用が中心になっている国では、日本で考えるよりも長く使えて価値が下がりにくい物件も多くあります。そうした特徴から、この手法を活用するためにアメリカの物件への投資を検討することがあります。
アメリカに限らず、海外で不動産投資を行う際には、こういった国ごとの不動産事情も考慮すべきでしょう。たとえば中国の不動産投資はレアケースと言えます。中国では土地を私的に所有することが認められておらず、土地使用権を売買するという形式で土地の権利が移ります。日本でも定期借地権といった同じような権利が存在していますが、中国での土地使用権は日本のものとは全く違った規律が法律で定められており、投資を行う場合には確認する必要があるでしょう。
不動産投資の税金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
為替もリスクのひとつとして考慮する
最後に為替によっても投資すべき国を判断できます。これは家賃収入より売買による収益に重点を置いた話です。例えば円ドル相場は長期的に見れば$1=110円から90円程度まで変動します。小さく見える差ですが、不動産の取引価格は$100,000単位の取引になります。1,100万円と900万円の差はとても小さいものとは言えません。
このため購入・売却のタイミングは為替に大きく左右されます。購入時には円高を狙って比較的安く物件を購入し、売却時には購入時よりも円安となるようにタイミングを見計らう必要があります。ただでさえ売買しにくい流動性の低い資産と言われる不動産ですが、為替の要素が加わることでその性質は一層強まることになります。その国の通貨との長期的な為替予測も、投資するべき国を見つけるための重要な要素なのです。
まとめ
不動産投資を海外で行うには、目星をつけた国の細かい情報を手に入れることが最優先です。今回整理したリスクをあらかじめ確認しておくだけでも、不動産投資先として魅力的か否かを判断する材料になることでしょう。いくら物件そのものが良くとも、投資を避けるべきだと判断されるケースは少なくありません。海外への不動産投資を検討する際には、日本の常識に囚われることなく、慎重な投資を心がけましょう。
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