【 目次 】
不動産投資は、サラリーマンにとって手間をかけずに副収入が得られる手段として注目されています。しかし、安易に不動産投資を始めて失敗する例もあります。ここでは、サラリーマン投資家に多い失敗例を挙げながら、不動産投資で失敗しないための注意点を説明します。
サラリーマンによる不動産投資の失敗例
サラリーマンによる不動産投資での失敗の多くは、本業が忙しく、情報収集や不動産の管理に十分な時間を割けないことが原因となっています。以下ではまず、サラリーマンが陥りがちな不動産投資の失敗例を三つ見ていきます。
失敗例1「近くの企業や大学に依存しすぎることによる失敗」
近くに大学や企業がある物件は、学生や社員による一定の需要が見込めるので、空室率が低く収益が安定しやすいと考えられます。さらに、築年数が古かったり交通の便がある程度悪かったりしても、低価格の物件を求める需要があると予想されるために、比較的安定した不動産経営が可能なように思われます。
しかし、このような物件は一見安泰のように見えますが、大学や企業が近くにあるという一つの要因のみによって支えられているがために、リスクの高い物件であるとも言えます。仮に大学や企業が移転してしまえば、他にメリットが少ない物件はたちまち賃貸需要が減り、空室や家賃下落が目立つようになってしまいます。本業で忙しいが故に、大学や企業の近くならば安心できると早合点してしまい、失敗してしまうケースがあります。
失敗例2「利回りだけをみた物件選びによる失敗」
不動産投資の物件選びで注目するべきポイントの一つとして、その物件の収益率を表す指標である利回りがあります。本業で忙しいサラリーマンなどは特に、物件を実際に見て魅力を判断することも大切ですが、利回りなどの数値・指標を主な材料として上手な判断をする必要があります。
しかし、不動産会社のホームページなどで書かれている利回りは想定の値であって、実際に購入して不動産経営を行った際の収益率はその通りになるとは限りません。例えば1,000万円の物件で月7万円の家賃収入が見込めた場合、年間家賃収入が84万円なので表面利回りは8.4%となります。しかし、数年経過して地域の環境が変わり、入居者がいなくなってしまえば利回りは0%になってしまい、入居者を確保するために家賃を下げなくてはならなくなるでしょう。この時、家賃を月5万円に下げて入居者がついたとしても、表面利回りは6%に落ちてしまいます。利回りは想定された値からいかようにも変動するため、物件情報に書かれた利回りの値だけを見て不動産投資をしてしまうのは危険なのです。
失敗例3「完全自主管理による失敗」
不動産投資では物件選びだけでなく、管理の方法も選ぶ必要があります。大まかに言えば、物件の管理を管理会社に任せるか、完全自主管理を行うかという選択肢があります。管理会社に管理を任せる場合、家賃の5~10%程度の管理費がかかるため、家賃が月10万円の場合には月に5千~1万円程度、年間で6万~12万円程度かかると考えておく必要があります。そのため、ローンを組んで不動産投資を行うことの多いサラリーマンには、ローン返済をできる限り早めたいとの理由からこの管理費を節約しようとし、自主管理を選択する人も稀にいます。
しかし、不動産の管理はそう簡単にできるものではありません。例えば自主管理の場合、家賃の支払いが遅れる入居者に自分で催促をして家賃を払わせなくてはいけません。また、入居者からの苦情や要望にも日中問わず自ら対応する必要があります。本業で忙しく管理が疎かになってしまっては不動産投資で失敗してしまいかねませんし、不動産の管理のために時間をとられて本業に支障が出てしまっては本末転倒です。
サラリーマンが失敗しやすい点
上で挙げた失敗例を踏まえつつ、不動産投資でサラリーマンの方が失敗しやすいポイントを以下にまとめました。
一つの施設(大学や企業)に依存した不動産経営
先ほど挙げた失敗例1がこれに当てはまります。大学や企業などの特定の施設に依存した不動産経営を行ってしまうと、その施設がなくなった時に収益や売却において、大きなダメージを受けてしまいます。リスクヘッジとして、その不動産が入居者の需要に応える魅力を他にも持っているのかどうか、十分に確認しておくようにしましょう。
利回りの理解不足
上の失敗例2がこれに当てはまります。投資に関する知識を収集する時間が十分にとれないようなサラリーマンの方は、特に気を付けておいた方が良いと言えます。不動産会社の人の話を鵜呑みにして、想定上の利回りの値だけを参考に判断してしまうのは危険です。不動産投資において利回りは一定のものでなく、入居者の需要によって上がったり下がったりする、変動の余地があるものだと理解しておきましょう。
さらに、表面利回りと実質利回りの違いも理解しておく必要があります。表面利回りが物件の価格に対する年間家賃収入の割合を表す値であるのに対し、実質利回りは、物件購入にかかった初期費用や運用中の必要経費を、年間家賃収入から除いた年間純収入の割合として計算されます。表面利回りよりも実質利回りの方がより現実的な指標なので、こちらを重視しなくてはいけません。
物件の自己管理
失敗例3がこれに当てはまります。管理費を節約しようと物件を完全自主管理にしてしまうと、本業で忙しいが故に、問題が起こった時に十分な対応ができない可能性があります。不動産経営に関しての知識が豊富でない場合には特に、できるだけ管理会社に管理を頼んだ方がリスクを軽減できるでしょう。
魅力的な謳い文句にだまされる
最近では「東京オリンピックで確実に値段が上がる」、「高利回りの超優良物件」、「リゾートマンションが低価格で」などのいかにも魅力的な謳い文句があふれています。しかし、実態は必ずしもこれらの文句の通りになるとは言えず、損失を被ってしまうことも少なくありません。例えば東京オリンピックに向けて確実に不動産の値段が上がる保証はありません。また、利回りが高かったり、リゾートマンションが破格の安値であったりする場合などは、築年数が長かったり立地が悪かったりするために購入価格が抑えられているだけで、修繕費などの費用が通常の物件よりも多くかかり、結果的に収益が伸び悩んでしまうことがあります。このように、魅力的な謳い文句には裏がある場合もあるので、そのまま鵜呑みにするのではなく事前に十分な検討をする必要があります。
物件を実際に見る機会が少ないこと
サラリーマンは日中に仕事があり忙しく、物件を実際に見る機会が少ない方も多いでしょう。そのため、見学の機会が限られている中での情報収集には特に気を遣う必要があります。注意するべきなのは、例えば、物件の近くが歓楽街になっていたり、不良少年の溜まり場となっていたりするため治安が良くないケースや、夜になると明かりが少ないため危ない、踏切や高速道路の近くで騒音がうるさいというようなケースです。また、夜中は閑静な住宅街のように思えるものの、日中になると鳩がたくさん集まりベランダに糞を沢山落とし洗濯物を干すことができないといった、思わぬ欠点がある場合もあります。このような見えにくい欠点に気付かないまま物件を購入してしまったが故に、失敗してしまう可能性もあります。
サラリーマンは不利?
以上の失敗例を見ていると、十分な情報収集の時間がとれないサラリーマンは、不動産投資において不利のように思われます。ここからは上では紹介できなかったもののサラリーマンが気を付けておくべき点や、逆にサラリーマンだからこそ有利になる点を併せて確認していきます。
サラリーマンが気を付けておくべき点
サラリーマンが注意しておくべきポイントは物件選び以外にもあり、管理会社の選択ミスや、コミュニケーションが不足してしまいやすいということがあります。管理会社は入居契約を即時に決定しなければいけない時や、クレームなどにより緊急の判断が必要となる時、水漏れや設備不良などが起きた時などに、不動産所有者にすぐに連絡を取らなくてはいけません。しかし、不動産所有者が本業で忙しいサラリーマンの場合、会議で電話にすぐに出られないといったことが日常的に起こり得ます。その逆に、管理会社が不動産所有者へ情報共有を疎かにしてしまう等、サラリーマンの不動産投資者は、管理会社との関係性が悪くなってしまう場合があります。
しかし、これにはある程度対策をとることが可能です。例えば、裁量権を与えるという方法があります。裁量権とは、緊急の場合に管理会社の判断によって対応を行う権利のことです。具体的には、設備不良が起こった時の対応は管理会社に任せるという裁量権の与え方や、値引き可能な額や入居を断る条件をあらかじめ明文化して伝えて対応を任せておくという裁量権の与え方などがあります。管理会社にある程度の裁量権を与えておけば、管理の負担を軽減することができるでしょう。
サラリーマンが有利になりやすい点
一方で、サラリーマンが有利になりやすい点も存在します。
その代表的なものが銀行からローンを受けやすいということです。サラリーマンは安定した収入があるため返済能力が高いであろうとの考え方から、比較的ローンを受けやすいとされています。特に大手企業に勤めるサラリーマンは融資において有利だと言えます。
サラリーマンが失敗しないための対策
最後に、サラリーマンが不動産投資に失敗しないためのポイントを確認していきたいと思います。
リスクを知る
不動産投資には様々なリスクがつきものです。どのようなリスクが予想されるのかを認識していないと対策もとれず、失敗に陥ってしまいかねません。まずは想定されるリスクごとにどんな対策ができるのかを考えましょう。
不動産投資における最大のリスクは空室です。空室を出してしまえば家賃収入を得ることが出来ず、収益が上がりません。空室を出さないための対策としては、不動産を購入する際にその地域の需要や周囲の環境を細かく評価することが重要です。また、家族連れ、学生、単身サラリーマンなどターゲットを具体的に想定して物件情報を吟味したり、サービスが手厚く信頼できる管理会社を選んだりするなどの工夫が必要です。
不動産投資におけるリスクについては、以下の記事をご覧下さい。
関連記事:不動産投資の8大リスクヘッジ法!リスクを制して不動産投資を制す
物件を適切に評価するための指標を理解する
不動産を評価する指標としてまずは、利回りの計算方法についてしっかりと理解しておきましょう。不動産会社の示す利回りの値は、表面利回りの値であることが多く、自分で実質利回りの値を確かめる必要があります。魅力的な宣伝文句に踊らされず、その地域の家賃相場を調べたり、どれほど経費がかかるのかを予想しておいたりするなどして、どのくらいの利益が見込めるのか、自分で確かめられるようにしておきましょう。
また、利回りは変化させることができるものだということを認識する必要があります。世の中のニーズに合わせて需要が高そうだと思えば家賃を上げたり、リフォームによって環境を改善し家賃を上げたりするなどの経営上の工夫によって利回りは高くすることができます。
利回りについて詳しくは次の記事をご覧下さい。
関連記事:不動産投資の「利回り」計算方法と平均相場とは?注意点も解説!
物件選びのポイントを身につける
最初に挙げた失敗例の1と2は物件選びのミスだと言えます。どのようなポイントで失敗してしまいやすいのかをある程度知っておきましょう。また、実際に物件を見に行く時間がなくても、不動産会社に積極的に細かい事項を確認することで、物件を適切に評価できるようにしましょう。
まとめ
今回は、サラリーマンの方が不動産投資で陥りやすい失敗のパターンを中心に確認してきました。どのような不動産投資が正しいか、一概に言うことはできません。失敗例から学びながら、自分の投資目標やライフスタイル、人生設計に合ったベストな不動産投資の仕方を見つけていきましょう。
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