【 目次 】
同じサラリーマン大家さんでも、成功する人・失敗する人がいるのにはワケがあります。今回の記事では、不動産投資で失敗してしまった人の実体験に基づいて、成功と失敗を分かつポイントについて考えます。
サラリーマン大家の実体験に学ぶ
近年、サラリーマンで不動産投資を行い、大家になる人が増加しています。しかし投資で本当に成功できるのか、本当に安全なのか、不安な方も多いかもしれません。投資に不慣れなサラリーマンによる不動産への投資は、上手く対応しなければ一転して失敗してしまう危険もあります。まず、30代で不動産投資に踏み切ったTさん(男性)の事例を見てみましょう。
不動産投資を始める
会社勤めを始めて10年以上経ち、結婚し子供にも恵まれたTさん。幸せな家庭を得て順風満帆な面持ちです。Tさんは、一家の大黒柱としてこれからもサラリーマン勤務を続けていこうと考えていました。しかし、今後子供が成長すれば高額な教育費が必要になるし、さらに将来のこととしては老後のための貯蓄もしたい。今の会社勤めの年収700万円のままでは貯められるお金は微々たるもので、不安に駆られてきていたのも事実でした。そこでTさんは、サラリーマンという忙しい仕事の片手間で、安定的な収入を得られる手だては何かないかと探していたところ、不動産投資に巡りあいました。アパートを何部屋か購入しておけば、放っておいても家賃で不労所得が稼げるのではないかと考えたTさんは、今話題のサラリーマン大家になることを決めました。
良い物件を見つけ、購入
こうして投資する物件を探すことに決めたTさんは、仕事でコツコツ貯めた200万円を頭金にして購入出来そうな物件をインターネットで探しました。都心や駅の近くの物件や新築物件は価格が高く、利益を上げるにはどうしたらいいのだろうと悩んでいると、駅の近くに、相場よりも安く広々とした中古物件を見つけました。駐車場付き3LDKで家賃9万円の戸建て物件が1,000万円で購入でき、物件情報の表記を見ると利回りも7%程度見込めます。カップルにも一人暮らしにも親子連れにも条件は悪くなく、これならばお買い得と思ったTさん。こんな良物件は人に取られる前に買わなくては、と早速購入契約をしました。
ふたを開ければ…
うきうきのTさんは物件をすぐにでも賃貸に出したくなり、購入後すぐにその物件を見に行きました。するとなんと、ネットの物件情報だけではわからなかった事実として、リフォーム工事が必要になることがわかりました。水道工事と壁紙の張り替えが必須な他、さらにこの家は虫が湧きやすいということがわかり駆除費用も発生しました。貸し出すためにきちんとリフォームを行うには、これらを合わせて200万円以上を請求される上に、工事の間に入居シーズンを逃してしまいます。にっちもさっちも行かず、売ろうにもすぐには買い手がつかないので、結局借金をしてリフォーム費用や空室期間中の維持費を賄いました。
失敗の理由
Tさんは、安くて利回りが良く見える物件や好条件に見える物件を、掘り出し物だとすぐに購入してしまったことを後悔しました。前のオーナーが高額なリフォーム費用を嫌がったがために売りに出した物件だったのだと気づいても、時既に遅し。お買い得に見える物件には裏があることが多いのだから、今後は物件の値段や条件をよく吟味し、さらに購入前に物件を実際に見に行くことで、本当の良物件を見つけようと肝に銘じたのでした。
これはあくまで一例ですが、同じような失敗には、不動産投資を始めたての方ほどよく陥りがちです。ここからは、サラリーマン大家がはまってしまいがちな落とし穴について、いくつかのポイントから見ていきましょう。
関連記事:不動産投資にありがちな5つの失敗パターンとその解決策
ポイント①:物件選び
適切でない物件を選んだ例
Tさんの場合はリフォーム費用がネックになりましたが、物件選びではどのようなポイントに気をつけるべきなのでしょうか。さらにいくつかの例を見てみましょう。
- 表面上の高利回りにつられてしまう
Tさんは物件情報での高い利回りの表記を見て物件の購入を決めましたが、この利回りはあくまで満室を想定したものです。満室時の想定のみで物件を選んでしまうと、実際はほぼ空き状態が続き、足が出てしまうという事態に陥ってしまいかねません。例えば、利回り15%の情報を見て3,000万円で立地条件の悪い物件を購入してしまい、当初の想定では諸経費を除いても月々20万円の利益が出るはずが、入居者がつかなかったために初月から月々5万円の損失が出てしまうなどの失敗です。
- 中古の物件が安くて手を出してしまう
Tさんは新築物件が高額になりがちなので、比較的価格が抑えられ購入しやすい中古物件を選びました。しかし、中古物件の中には人気が出ず劣化が早い物件もあり、そのような物件を選んでしまった場合には管理費や維持費の負担によって結果的に損が続いてしまう可能性があります。例えば、築30年の物件を1,500万円で購入したところ、空室のまま3ヵ月が過ぎ、さらに工事費用と管理費で100万円の負担が発生し、入居者がつくまでに120万円のマイナスが出たため、結果的に黒字になるまで3年間かかったというケースです。
また、近くにある工場や学校などの施設がなくなり入居者がいなくなったために売りに出されていた経緯に気づかず、お得物件と勘違いして購入してしまう失敗例も考えられます。例えばある事例では、2,500万円で大工場近くにある単身用住居の中古アパートを1棟買い、月30万円の家賃収入、ローン返済代等を引いても10万円の所得を想定していたものの、工場の移転によって家賃収入が入らなくなり、月々15万円のマイナスに転じてしまいました。
関連記事:不動産投資初心者は要注意!中古物件リノベーションの3つの失敗例
購入前の検討をしっかりと
サラリーマンは日中を拘束されるため、投資に時間をかけている暇が少ないと考える方もいるでしょう。しかし、だからこそ物件選びには特に慎重になる必要があります。すべての物件が放っておいても満室になり、高額の不労所得をもたらしてくれるというわけではありません。ですから、購入前の物件の吟味にこそ時間をかけるべきと言えます。
関連記事:収益物件とは?不動産投資を始める前の基礎知識を紹介
表面利回りと実質利回り
また、利回りには表面利回りと実質利回りという二つの計算方法があることも理解しておく必要があります。
- 表面利回り
表面利回りは、物件の購入価格に対してどれくらい家賃収入が得られるか、という単純な値で、年間の家賃収入を購入価格で割ることによって求められます。
表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100(%)
例えば家賃収入が年100万円、物件の価格が1,000万円ならば表面利回りは10%となります。つまり、表面利回りの計算では物件の維持費や広告費などのコストは算入されていません。ただし、物件情報の中で表記される利回りとは基本的にこちらの値なので、注意が必要です。
- 実質利回り
一方、実質利回りとは下の式のように、家賃収入から賃貸経営の中でかかる様々な経費を引いた額を、物件価格に購入時の経費(不動産仲介料や登記費用)を足した値で、割って求められます。
実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+物件購入時の経費)×100(%)
上と同じ例で、年間経費が40万円、購入時に必要となった経費が200万円だとすると、
(100万円-40万円)÷(1,000万円+200万円)×100=5
という計算式となり、実質利回りは5%になってしまいます。様々な経費を考慮した実質利回りの値の方が、表面利回りよりも現実的な利益の値を反映していると言えます。
関連記事:プロが教えるリスク対策!儲かるアパート・マンション経営のコツ
ポイント②:確定申告
確定申告を忘れてしまうケース
サラリーマンの方の中には、そもそも確定申告をどうしたら良いかわからない、確定申告が必要だと知らない、という方もいるかもしれません。確定申告が必要になるのは、サラリーマンならば給与以外で20万円以上の所得を得た場合で、毎年2月16日~3月15日の間に前年度分の申告をします。確定申告が必要な所得があるにもかかわらず確定申告を忘れてしまうと無申告加算税が課され、原則として税額50万円までで15%、50万円以上で20%の額を追加で納める必要が生じます。投資において税金はなるべく抑えたいコストですから、過剰に払うことにならないように注意しましょう。
確定申告について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
経費が計上できておらず損をするケース
確定申告では、不動産所得の額は「不動産所得=総収入金額-必要経費」という計算式で計算されます。この所得額に対して税金がかかることになるので、かかったコストはなるべく経費として処理するのが良いと言えます。経費に計上できる費用で代表的なものは、保険料、減価償却費、管理費、修繕費、交通費、広告宣伝費、業務委託への報酬費用などがあげられます。
関連記事:不動産投資にかかるコストは購入費だけではない!毎月かかる管理コストとは?
確定申告しなくてもいいと考えてしまうケース
特に赤字の時などは確定申告しなくても良いと考えがちですが、必要経費を計上することでお金を節約できたり、給与と損益を合算することで払いすぎた税金が返還されたりすることもあるので、赤字となった場合でもなるべく確定申告しておいた方が良いでしょう。
関連記事:不動産投資の確定申告の記入方法・必要書類をまとめて解説
ポイント③:法人化
不動産投資における法人化とは
不動産投資による所得に対しては所得税等の税金がかかり、所得が大きくなるにつれ課税率は上昇します。所得があるラインを超えると、法人にかかる税率の方が低くなるため、節税として法人化するという手法があります。
法人化が向いているケース
具体的には、所得が900万円を超えた場合は法人化を検討した方が良いと言えます。単純な比較ではありますが、法人税の他に法人事業税などを含めた法人実効税率が、所得900万円以上の場合の所得税率を下回るからです。サラリーマンの場合は既に給与に税金が課されているため、さらに追加で不動産投資による所得を得るのであれば、給与所得の額によっては初めから法人化すべき場合もありえます。なお、法人化するメリットとしては他にも、法人の方がより多様なコストを経費として計上できること、家族などを法人の役員にして所得を分散させることができることなどがあります。
関連記事:不動産投資の法人化3つのメリット!
まとめ
今まで見てきた通り、サラリーマンが不動産投資を行い大家となるには、気をつけるべき点がたくさんあります。とはいえ、投資未経験の個人でも、一つずつ慎重に進めていくことができれば堅実に利益を出すことも可能です。専門家や投資経験者の意見を聞くなどして、落とし穴に落ちないようにしましょう。
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