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リゾートマンションが10万円―バブル時代に何千万円もしたリゾートマンションが格安で手に入ると聞くとつい手を出したくなるものです。しかし、不動産投資対象としては決してお勧めできません。今回は投資物件としてのリゾートマンションに潜むリスクをご紹介します。
格安のリゾートマンションは「買い」?
近年、リゾートマンションが格安で手に入るようになりました。例えば、軽井沢では100万円程度、富士山麓地域では50万円程度、さらに湯沢や熱海では10万円台で購入できるリゾートマンションがあります。バブル時代には数千万円もしたリゾートマンションが、その当時の10分の1、ひいては100分の1の価格で売られているので、一見「買い」のように思われます。実際バブル時代に現役ばりばりで働いて、リゾートマンションで暮らすことを夢見ていたような団塊世代の人々には、リゾートマンションを購入する方が多いようです。
しかし、本当に「買い」と言って良いのでしょうか。結論から言うと、不動産投資として買うことはお勧めできません。築年数は重ねたものの同じ不動産が100分の1程度の価格で売られるのには必ず理由があります。その点を踏まえて以下でリゾートマンションについて徹底解剖していきます。
格安リゾートマンションに潜むリスク
リスク
格安リゾートマンションに潜むリスクを確認していくことで、本当に「買い」なのか判断していきましょう。具体的には以下のリスクが存在します。
- 維持費が高い
リゾートマンションが格安で売られているからくりの一つとして、買うときは安いけれど維持費が高いので、実際に支払う合計金額は高くなるという仕組みがあります。リゾートマンションには温泉やプールなどの共用施設が備わっているものも多く、それらを維持するには普通のマンションより多くの維持費がかかるのが一般的です。 - 老朽化等による修繕費
現在格安リゾートマンションとなっているような不動産は、築年数が30年以上のものが多く、老朽化しており修繕する必要があります。そのため、修繕積立金を計画的に調達しなくてはいけません。しかし、維持費が多くかかるため積み立てが不十分であったり、入居者が相続などによって不明となっていたり、支払いを拒否していたりするため、十分に調達できていない場合があります。このような場合、住民は一時金として追加の修繕費を回収されます。その一時金は、支払わなかった人の分を残りの人たちで補うもので、いつ返ってくるか分からないままになってしまいがちです。
関連記事:修繕積立金がない物件購入による不動産投資の失敗例 - 現在は観光地として廃れている可能性
バブルの頃は観光地として栄えていたけれども、現在は廃れているという可能性もあります。観光地として廃れてしまうと周辺の施設も撤退するようになるなど悪循環ができてしまいます。このような場合、多くの人がその観光地の投資目的の不動産を手放すようになるので、供給過剰となり売却をしにくくなるリスク、賃貸として貸す場合は借り手がつかないリスクなどが存在します。
例えば苗場などは、スキーブームのあった80年代に高級リゾートマンション地域となっていましたが、現在はブームが去り数十万円でリゾートマンションが買えるほど廃れてしまっています。一方、熱海は、バブル崩壊後は廃れた観光地になっていましたが、2015年には観光客数が大幅にV字回復するなど、復活の兆しを見せています。一見廃れていると思われていても、復活する可能性がある観光地もあるのでしっかりと見極めるようにしましょう。 - 季節性が大きく安定した収入が見込めない
リゾートマンションを購入して、家賃収入を得ようと考えている方も多いと思います。しかし、リゾートマンションは季節性が大きい場所にあることが多く、安定した収入が望めないというリスクを考慮すべきです。例えば、湯沢や苗場などの地域は、ウインタースポーツの利用者は多いものの、夏の利用者は極端に減ります。また、海岸地域などのリゾートの場合は逆で、夏の利用者が多く冬の利用者が少ない地域となるでしょう。このように、リゾートマンションは、収入が不安定であることがリスクとなっています。 - 管理状態が悪化している可能性が高い
一般的なマンションと同様にリゾートマンションでも住民全員で組織する管理組合によってマンションを管理することになります。しかし、リゾートマンションの購入者はセカンドハウスとして購入する人が多いので、いつも全ての住民がいるとは限りません。それゆえ管理組合に意見が反映されることが少なく、マンションの管理がずさんになりがちです。たとえば、必要な修繕を先延ばしにしてしまうなどといったことが考えられます。
リゾートマンションは、地理的環境によって潮風や降雪の影響を受けることが多く劣化が通常のマンションより早くなりがちです。そんな中で修繕を先延ばしにして劣化を進めてしまうと、市場価値は下がる一方です。管理状態の悪化というリスクは、間接的に不動産投資が成功か失敗かどちらに転ぶかの分岐点になりうることを認識しておく必要があります。 - 一度購入したら売るのが困難
世の多くの投資家がそうしたリスクを認識しているため需要が少ないうえ、リゾートマンションは空き部屋が多く供給過剰なため、売るのに非常に苦労するというリスクがつきまといます。売りたくなったときに売れないと、売れるまで高い維持費を払い続けなくてはいけません。現在10万円などの激安で売られているリゾートマンションは、高い維持費を支払い続けることと売却額を安くして早く売り抜けることを天秤にかけ後者を選んだものと考えるべきでしょう。このような状況になってしまったら、売却益は得られず、不動産投資としては失敗になってしまいます。
失敗例
リゾートマンションを購入することによって損をし、不動産投資が失敗してしまう具体例を見て、リゾートマンションのリスクを肌で感じましょう。
- 例となるリゾートマンションのステータス
湯沢地域におけるウインタースポーツ客を狙ったリゾートマンション
物件価格:60万円
維持費:4万円/月
修繕費一時金:200万円/約20年
家賃収入:15万円/月 - 収入面
まず収入面を計算してみましょう。
リゾート地は季節性があるため、マンスリーマンションの形態を取ることが多く、通年で収入を得ることは期待すべくもありません。この場合、冬季の12月~3月の4ヶ月程度借り手がつくと想定し、家賃月15万円なので年間での収入は60万円となります。 - 支出面
一方で、支出面を計算してみましょう。
維持費が月に4万円かかるとすると、年間では48万円がかかることになります。さらに約20年に1度の大規模修繕の一時金として200万円程度支払わなくてはいけないことを考慮すると、平均すると年10万円ほどの支出がさらにかかっていることになります。合計すると、年間での支出は約58万円となります。 - 収支の結果
収入と支出を合わせて考えてみると、1年ごとに多少の黒字となります。
どこが失敗なのか?潜在的な問題点
1年ごとに多少の黒字となるので成り立っているように思われます。しかし、現実的に考えると問題点が存在します。
一つ目に、そもそも確実に4ヶ月借り手がつくと考えられないことがあります。年によっては雪があまり降らないことがあったり、ウインタースポーツへの関心が薄れたりすることによって、入居者の有無は不安定となるでしょう。
入居者がいない場合は、収入が0となり大きな赤字となります。また、家賃価格を下げて入居者を確保したとしても、赤字になることは免れません。つまり、不動産賃貸を行う段階では、赤字になる可能性が高いということが分かります。
二つ目が、売却が困難であることです。一つ目の問題点から、運営していても赤字が増えるので、売却してしまおうと考えるかもしれません。しかしリゾートマンションが供給超過であることや経年劣化を考慮すると、購入価格より大幅に安い価格でしか売ることはできないでしょう。つまり、売却益を望むことは厳しいということになります。
このように考えると、不動産賃貸をしていても赤字、売却をしても赤字となるので不動産投資としては失敗となることが分かります。
リゾートマンションの選び方
リゾートマンションを選ぶにあたっては、どのような目利きのポイントを持つと良いのか紹介します。
- 売却しやすいか
まずは売却しやすいかという点がポイントになります。というのも、先ほどの失敗例でシミュレーションしたように賃貸収入で利益をあげることは困難だからです。売却しやすい物件としては、駅近である物件などがあげられます。多少価格が高かったとしても売却しやすい物件を選ぶことがポイントです。 - インバウンド需要がある地域か
近年、日本に来る外国人観光客が年々増加傾向にあります。政府としても外国人観光客増加を目指していることから今後も増加傾向が続くでしょう。外国人観光客の中には、日本のリゾート地を目当てに来る方も多くいます。外国人観光客に人気のあるようなリゾート地は今後も廃れにくいと考えられるので、リゾートマンションを買う地域としてはお勧めできます。 - 修繕計画がしっかりしているか
失敗例で考えたように、修繕計画がしっかりしていないリゾートマンションでは、数百万円の高額な修繕費一時金を払わされるなどのリスクがあります。このようなリスクを回避するために、修繕計画の書かれたリゾートマンションの管理組合の議事録を見るようにしましょう。議事録を見ることで、修繕費積立金が順調に集められているのかを確認できます。さらには、リゾートマンションの管理状態や、そこで起きている問題などについても確認できるので、購入の判断材料を増やすことができます。
議事録を見せてくれないリゾートマンションもありますが、購入申込書などを提出して購入意思を示すことによって、開示してくれるケースもあります。購入申込書は正式な確約書類ではないので、議事録の確認後に購入を辞退することは可能です。しかし、そこまでしても議事録を開示しない管理組合もあります。すぐに議事録を見せてくれるようなリゾートマンションだけで物件選びをするというのも手段のひとつです。
関連記事:投資物件の価値を左右する!修繕タイミングと目安コスト - 数百万円の価格帯であるか
安い物件がお手頃に思えて数十万円の物件を買ってしまう方も多いと思います。しかし、そのような物件にはなにかしらの大きな欠点があると考えるべきでしょう。そのため、逆に大きな欠点がないと思われる数百万円の物件を買うことをお勧めします。
また、周辺の相場を徹底的に調べて、数百万円であっても周辺の相場より少し低い物件を買うのも賢い方法です。なぜなら、そのような少し相場より安い物件は、なにかしらの小さなディスアドバンテージを持っていると考えられ、その点を改善して相場付近の価格で売っても売却益が望めるからです。たとえば内装が古くさいことを改善したり、設備を新しくしたりすることによって市場価格は上がるでしょう。
しかしこの方法を行う場合は、徹底的にどのようなニーズがあってどこをそのリゾートマンションは満たしていないのか、そのニーズを満たすための費用と売却益は相応の価格となっているのかなどを徹底的に調査し、検討する必要があります。大きな労力を要する仕事であることは覚悟しておきましょう。
以上でリゾートマンションを選ぶための目利きのポイントを確認しました。これらのポイントは、素人がリゾートマンションを目利きする上で有効なポイントとなりますが、これだけでは全てのリスクを回避できるわけではありません。実際にリゾートマンションを不動産投資の対象とするのは、不動産に対する知識が豊富で目利きに圧倒的自信のある玄人にしかお勧めできません。
しかし、賃貸収入を期待するのでなく、ご自身のレジャーのための滞在地としてフル活用する場合には、リゾートマンションは有用な物件となるでしょう。
まとめ
今回は、リゾートマンションのリスクを中心に解説してきました。価格が安いというような近視眼的な視点では、まず投資としては大きな損をしてしまうことになるでしょう。説明したリスクは価格に反映されず、長期的に響いてくるものが多いため、不動産投資に関する知識がなければ購入時には見落としてしまいがちです。最低限の知識をつけ、長期的視点を持ってリゾートマンションを購入するようにしましょう。
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