【 目次 】
日本を訪れる外国人観光客は年々増加しており、最近では、外国人による土地の購入もしばしばニュースで取り上げられています。本記事では、外国人から見て、なぜ日本の不動産が魅力的なのかをご説明します。
海外不動産について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
外国人から注目を集める日本の不動産市場
ここ数年、日本国内、特に東京都心部の不動産が外国人投資家の注目を集めています。その中心は中国、香港、台湾、シンガポールなどアジア圏内の富裕層の投資家です。日本国内の不動産投資企業も、海外不動産投資家向けに様々な言語で不動産を紹介するサイトを開設しています。
注目すべきは外国人投資家たちが購入する物件の種類です。日本人投資家と同様に居住用物件もありますが、物流施設や老人ホームなどがあることも見逃せません。こうした投資姿勢から、外国人投資家が長期的な利益を狙って投資しているのがうかがえます。
外国人投資家にとって、なぜ日本の不動産が魅力的に映るのでしょうか。日本の不動産を海外の視点から評価すると、いくつかの利点が浮かび上がります。
外国人投資家にとっての魅力
カントリーリスクの低さ
日本はカントリーリスクが低い国とされています。カントリーリスクとは社会事情などによるその国特有のリスクです。たとえば長期独裁政権の崩壊により国の体制が根本的に崩壊したり、民族間対立などから社会情勢の急激な変化がおこりやすかったりするとき、カントリーリスクが高いと評価されます。
カントリーリスクが高ければ、投資先としての信頼性が低いことを意味します。不動産の価値とは直接的な関係はありませんが、たとえばイラン・イラク戦争によって三井グループが建設していた石油プラントが破壊されて約6,000億円の投資が無駄になった事例が知られています。このように社会の急変によって投資した資産が失われるカントリーリスクは、国際的な投資を考えるときに重要な観点とみなされています。
その点、日本は最もカントリーリスクが低いAランクと評価されたアジアでは希少な地域です。OECDによって発表される国別のカントリーリスクでは、アジア圏内では日本とシンガポールのみがAランクに認定されています。カントリーリスクが低いということは、不動産の価値が急降下することはないと考えられます。
したがって、日本への投資はリスクの低い投資として外国人投資家に歓迎されています。ただし、日本はすでに十分に発達した先進国であるため、急激な開発によって不動産価値が高騰する途上国のような事態は望めません。リスクが低い分、大きな利益は望めませんが、それでも魅力的な投資先に変わりはないのです。
外国人の購入ハードルの低さ
日本では外国人の不動産購入規制が設けられていません。日本ではなじみがありませんが、国によっては外国人の購入に規制を設けているところもあります。たとえばシンガポールでは、外国人による土地の購入や所有を禁止しています。また、オーストラリアでも、新築物件または土地のみ購入できると規定されています。
しかし日本では、規制どころか外国人購入者への追加の課税さえ行われていません。それゆえ日本人と外国人は同じ条件で不動産を購入することができます。必要な費用が日本人と変わらないため、外国人にとって非常に参入しやすい不動産投資市場となっています。
東京オリンピックの影響
また、2020年の東京オリンピック開催に伴う不動産価値上昇への期待も高まっています。具体的には地域人口の増加、移住者の増加、外国人の増加によって不動産価値が高まると考えられています。実際に湾岸エリアではすでに地価が大きく上昇しており、都内全域で不動産は2019年頃までは価格上昇が続くと予想されています。オリンピック開催に伴うインフラの再整備や国内のカジノ建設といったブランド力の上昇も、不動産価値の上昇につながるとも考えられます。
割安さ
日本人が最も見落としがちなのは、日本の不動産が外国人の目で見れば割安であるという点です。近年の不動産価格の上昇によって数年前に比べると安さも控えめになってきましたが、それでも利益を回収できないリスクが少なく、利回りも他の先進国に比べると大きいため、日本は人気を保ち続けています。
たとえば、アジアの先進国である中国や台湾では、平均的な利回りが1~3%といわれています。一方、日本の都市部の利回りは3~10%に達します。この利回りの差は、主にバブル的な不動産価格の高騰が原因と考えられています。日本での住宅購入は、年収の5倍程度の住宅が平均的とされていますが、台湾では年収の16倍程度の住宅を購入するのが平均的となっています。不動産の価格がこうも物価水準に対して高騰すると、高い利回りは期待するべくもありません。
日本特有のリスク・デメリット
海外投資家から見た日本への不動産投資の魅力をおわかりいただけたでしょうか。しかし、一般に魅力的な投資先と言える日本でも、この国の不動産特有の危険があることも抑えておかなければいけません。
不動産投資のリスクについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
立地によるリスク
日本という立地は、すなわち地震のリスクを負っているということを意味します。海外では珍しい地震に備えなければ、日本での不動産投資を成功させることはできません。都心の人気エリアである湾岸エリアも、実は地震による液状化現象など、特有のリスクを考慮する必要があります。
また、近いうちに東海地震などの大規模地震が起こる可能性が高いとの予測が出されています。日本の不動産投資では、地震リスクを分析してから物件を購入しなければいけません。それぞれ発生が予想されている大規模地震による被害想定地域を確認し、それに応じた物件選びと地震保険などの対策を講じましょう。
まず物件選びでは、新耐震基準を満たしたRC造(鉄筋コンクリート)を推奨します。新耐震基準では日本の地震尺度で震度6強から震度7の揺れを受けても倒壊しないことが条件になっています。震度7とは計測上最高水準の揺れを意味しており、これを受けても倒壊しない耐震性は十分信頼に値します。
また、日本の不動産を購入する際には、地震保険をつけることをお勧めします。地震保険は毎月保険料を支払うコストが生じますが、利回りを大きく変化させるほど高額でもありません。いくら丈夫な不動産であっても、地震に伴って火災が起これば、被害は大きくなります。万が一の災害に備えて保険に加入しておくことは、投資の成否を分かつ重要なポイントと言えます。ただし一般的な地震保険は専用住宅、併用住宅のみにしかつけられない点は注意が必要です。
関連記事:不動産投資における地震リスクをヘッジする「地震保険」
日本の人口減少と少子高齢化
日本では人口減少が続いていることも考慮しなければなりません。日本の全国的な人口は継続的な減少傾向にあります。一方、都心では他県からの流入者数が多く、人口は増加傾向にあります。この人口の動きから、都心での物件のニーズが急減するとは考えられませんが、不動産需要は少なからず変化していくことでしょう。
不動産需要の変化という点では、少子高齢化を念頭におく必要があります。少子高齢化が加速すると、高齢者の一人暮らし世帯の増加が予想されます。そのためファミリータイプのマンションよりも、高齢者向けの一人暮らし用物件や小さめのワンルームマンションなどが長期的に高い需要を保つかもしれません。
為替によるリスク
国際的な投資にはつきものですが、為替によるリスクも考慮しておかなければなりません。日本では近年、日本銀行の積極的な金融政策により円安誘導が行われてきました。政権交代前の円高政策に比べれば、1ドルあたり20円以上の差が生じています。
日本の円安誘導はアメリカにも批判されており、いつまでその政策を維持できるかわかりません。日本の不動産を所有する以上、その利益は円建てで手に入ります。これを人民元やドルに換金するとき、為替相場が関わってしまいます。現在の為替相場からの換算で投資計画を考えるのではなく、どの程度の為替変動にも対応できるかを前提にした、柔軟な投資計画の設計が求められます。
東京オリンピックに関する不動産事情
海外投資家が一番気にしているのは東京オリンピック直後の日本の景気、不動産動向でしょう。オリンピックが開かれる土地で起こる不動産価格の上昇と、その反動としてオリンピック後に起こる不動産価格の下落は避けられないものなのでしょうか。
実は、東京オリンピック景気に拍車をかけているのは、外国人による不動産購入です。東京では建設ラッシュが続いていますが、それらの不動産に本当に需要があるのかという視点は欠かせません。需要のない建設ラッシュならば、いずれ住む人はいなくなり、空き家が増えてしまいます。
実際、取り扱い物件数の多いLIFULL HOME’Sの統計では、東京都の賃貸用住宅の空室率は14.5%と計算されています。また、オリンピックの開催される2020年あるいは遅くとも2025年前後を境に東京都の人口さえも減少に転じるとの予想も出されています。人口減少の予測が現実になれば、2020年を過ぎると不動産の供給過剰がこれまで以上に深刻化し、さらなる空室率の上昇を招いてしまう可能性もあります。
まとめ
外国人投資家から見た日本の不動産投資の特徴とリスクを紹介しました。日本に住んでいると自国の不動産価値について考える機会はなかなかありません。しかし海外からの視点では、日本の不動産は利益の安定性を高く評価されています。それでもなお、地震や人口減少など日本社会に特有のリスクがあり、海外投資家はそのようなリスクに対応しつつ投資を行っています。時には日本の不動産市場の変化を海外の視線から捉えてみてはいかがでしょうか。
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