【 目次 】
中古マンションへの不動産投資は、手頃な価格で購入できるため高利回りを見込みやすいという魅力的な側面があります。しかし築年数が経過しているため、見た目の状態が良くとも新築マンションと比べるとハイリスクな傾向にあります。今回は、中古マンションへの不動産投資の失敗例をいくつかご紹介します。中古マンションにはどのようなリスクが潜んでいるのか、購入時に注意すべきポイントは何かを併せて考えていきましょう。
想定外の出費
中古マンションは新築と違いだんだんと壊れてきたり、そもそも杜撰な建築構造であったりと、多くの設備的なリスクを抱えている可能性があります。そのため中古物件への投資にあたっては、想定外の出費を抑えることが失敗を防ぐカギとなります。
管理費と修繕積立費の確認
中古マンションの基本的な支出項目は、「管理費」「修繕積立費」「固定資産税」の3つです。このうち「管理費」や「修繕積立費」は将来的に値上がりしていくので注意が必要です。周期としては5年から10年でこの金額が増えていきます。したがって、中古マンションの購入に際しては管理費と修繕積立費の増額が過去にいつ行われたかを確認し、次回の増額はいつなのかを見込んでおくべきでしょう。購入後すぐに値上がりしてしまえば、想定していた利回りより悪くなってしまいます。
建てられたのは平成12年以降か?
平成12年以前に建築された物件は、長期修繕計画が杜撰なものが多いので注意しましょう。これによるリスクとしては、建物の予想外な大規模修繕が予想されます。こうなると出費がかさんで利回りが大幅に低下してしまいます。
平成12年に消費者保護の観点から新法「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、新築売主は10年間の瑕疵担保責任を負うこととなりましたので、建築の質に関するリスクは低くなりました。ただし依然として気を付けたいのは、10年間の瑕疵担保責任は、物件が中古として販売された際には引き継がれないという点です。なぜならこの法律が定めているのは、あくまで新築住宅の場合における売主の責任についてだからです。
マンション設備の劣化状況を確認
室内設備に関して言えば、マンションを購入してすぐに、給湯器やエアコンなどを買い替えなければならないことがあります。
また、水回りの一部を修理するだけでも、数十万円が掛かってしまいます。10年に一度は大規模な水回り修理が必要なので、もし購入時点でまだ工事がなされていないならば、購入後すぐに多額の工事費が発生することを覚悟しなければなりません。
こうした出費を防ぐために購入前に設備のメンテナンス状態を確認しておきましょう。
また購入後も、設備の定期的なメンテナンスを怠ると、一時的には管理費や修繕費が浮くかもしれませんが、入居者は付きにくくなるので結局損になるでしょう。
大規模修繕費のための積立金が不足
最初の項目で触れた修繕積立金について、もう一つ注意しなければならない点があります。それは、マンション全体の修繕積立金がきちんと積み上げられているかどうかです。
平成25年度に国土交通省が実施した「マンション総合調査」によると、回答した管理組合や区分所有者のうち16%が、「修繕積立金が不足している」と答えています。
購入時に利回りが良いと思っても、修繕積立費が計画通り回収できていないことを確認せずに購入してしまい、積立が不十分で、後から積立金を増額されて利回り計算が狂ったり、大規模修繕前に足りない分を臨時徴収されたりする可能性があります。
また、中古マンションに関しては築15年という節目に注意をしましょう。というのも、15年はマンションの大規模修理が行われる節目の年であるからです。
もしこの節目の年を目前に控えた物件で、しかも修繕積立金が積みあがっていないような場合には、突然多額の臨時修繕費を徴収され大変な損失になりかねません。購入前に管理会社に確認しておきましょう。
購入時の入居者がクレーマーだった
中古マンション購入の際の新築と異なる点は、すでに入居者が入っていることです。マンション購入の際に、入居者の状況も忘れず調べるようにしましょう。
騒音クレーム
クレームの原因として、騒音問題は典型例です。深夜の洗濯機の音や、話し声、テレビの音声、目覚まし時計の音など、近隣の住人が出す様々な生活音について、敏感に反応してしまう入居者がいます。例えば、隣人が深夜にシャワーを浴びる音がうるさいなどといった、生活する上で絶対に出てしまう音ですらクレームになるケースもあります。
こうしたクレームはそれぞれの入居者の感覚の問題なので、非常に解決が難しいのですが、深夜の騒音を注意する貼り紙を行ったり、各部屋へ注意書きを投函したりといった対応を取ることは可能です。適切な対応により解決できることもありますし、あきらめたクレーマーが自分から退去していくこともあるので、クレーマー問題としてはそこまで大きな懸念ではないかもしれません。ただし、近所の学校や公園の音を騒音とするクレームなど、大家側にはどうしようもないクレームをする入居者も存在するので気を付けましょう。
室内クレーム
室内設備に関するクレームも多いでしょう。少し日焼けしただけの畳の張替え、エアコンの取り換え、電気機器のボタンの表示が見にくいから変えてほしいといったものまで多様です。製品の取り換えは比較的簡単ではありますが、取り換えるごとにじわじわと費用が掛かってしまいます。
家賃クレーム
「家賃が割に合わないから」、「騒音がするから」、「異臭がひどいから」といった理由で、家賃を下げてほしいとクレームをつける入居者もいます。
例えばある物件で、壁が薄く隣人の話し声やテレビの音がうるさすぎると管理会社に怒鳴り込んできた入居者がいました。彼は騒音を録音して持ち込み、こんなに騒音に悩まされる物件だとは思わなかったので家賃を下げてほしいとクレームを入れました。その録音が本当に彼の部屋で録音されたかも分からないのですが、あまりにしつこいので大家が家賃を下げると、彼はさらに値下げを要求しました。こうしたクレーマーは何かと文句をつけて家賃を下げようとし、一度承諾して家賃を下げてしまうと味を占めてさらに要求を重ね、時には暴力的な態度で交渉してきます。
こうしたクレーマーへの対処は非常に難しいものです。こうした入居者の存在を当初から知ることができるなら、そのような物件はできるだけ購入を控えることがベストだといえます。
更新手数料クレーム
入居者の契約が満期を迎えると、契約更新にあたって更新手数料を徴収する大家も多いでしょう。入居者によっては、この更新手数料にクレームをつけて、値下げ交渉をする方もいますから、注意が必要です。
長期間住み続けた入居者が退去、家賃が大幅に下落
同じ入居者がすでに長期間契約を継続している中古物件は、注意が必要です。なぜなら、その入居者が退去し次の入居者を探すことになった時に、家賃収入が大幅に下落してしまうことがあるからです。
例えば賃貸契約を何度か更新し、6年間ずっと住み続けている入居者を考えてみましょう。その入居者は、入居当時の家賃、つまり6年前に定められた家賃を支払い続けています。しかし、その入居者が退去してしまうと、物件の築年数が6年も深くなっていますから、多くの場合、家賃をある程度下げて入居付けを行わざるを得ません。
マンションを購入する際、現在の入居者が支払っている家賃をベースにして家賃収入の計画を立ててしまうと、このように予想外の収入減となってしまうことがあります。現在の入居者がこれまで何年間その部屋に入居しているかをチェックすることは、意外に重要な点です。
低価格・高利回りな物件を選んだが、借り手が見つからない
中古マンションを投資対象とするメリットの一つに、低価格・高利回りの物件が多いことが挙げられます。地方・郊外の中古マンションなら、さらに安く手に入りますし、手軽で表面利回りもよいので魅力的です。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
表面利回りに騙されない
表面利回りはあくまでマンションが満室の場合の利回りです。実際には、入居者がいなければその利益を得ることができません。家賃収入が孕むリスクとしては夜逃げや滞納といった問題を想像するかも知れませんが、それらは保険や保証によってある程度カバーすることができます。一方、そもそも入居者が入らず家賃収入を得ることができなければ、どうしようもありません。
室内構造を確認
借り手が見つからない一つの理由として、間取りやキッチン、風呂場、トイレなどが流行遅れで、入居者に敬遠されるということがあります。
たとえば風呂場やトイレに関しては、ユニットバスなのかバス・トイレ別であるのかは入居者にとって関心が高く、傾向としてバス・トイレ別が好まれます。しかし、築年数の深い中古物件では、ユニットバスが多いというのが現実です。
売却時のリスクも考える
中古物件を購入し運用を試みても、最終的に利益にならないと判断し、再び売却しようと考えることも少なくありません。しかしそのような際、当初から中古物件として購入したものは当然築年数が深く、買い手から見てリスクの高い物件となりますので、なかなか買い手が見つからないという事態にもなりかねません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、中古マンションに潜むリスクについてご紹介しました。こうしたリスクに気付かずに購入し、「利回りが予想外に悪くて失敗してしまった!」と後悔するような事態は避けたいものです。購入にあたって事前のリサーチを行う際は、中古物件特有のリスクに気を付けながら入念に調べるようにしましょう。中古マンション投資を考えている方の助けになれば幸いです。
また、他の物件種別や種別だけではない失敗要因は存在します。下記の記事も合わせてご覧ください。
参考記事:【総まとめ】典型的な不動産投資の失敗パターン|回避法と4つの教訓
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