【 目次 】
不動産投資の失敗には、代表的なパターンがいくつかあります。どのようなポイントで失敗に陥る可能性があるのかをあらかじめ知っておけば、不動産投資を始めるそのときからリスク回避を意識することができます。今回は、不動産投資にありがちな失敗パターンを5つご紹介します。
失敗パターン① 想定外の出費
よくある失敗例として、購入時には想定していなかった出費がかさみ、収支が赤字になってしまうという場合があります。では一体、どのような出費の可能性を見落としてしまうのでしょうか。
想定外の出費の正体は修繕費
最も代表的なものとして、中古マンションや中古アパートを購入したら設備が故障していて修理を余儀無くされた、というパターンがあります。例えば中古マンションは手頃な価格で購入することができますが、築年数が経過している分リスクが高く、内部の設備も古くなっています。築8〜13年程度の物件では、引き渡しを受けたあとにエアコンや給湯器などの設備が故障し、修理や交換で費用がかさんでしまうことも珍しくありません。
こうした設備類は長期間にわたって使用するため、毎年の経費として目につくことはありません。そのため、いざ取り替えを行う際にも費用の相場を掴みにくいという特徴があります。特に複数の設備を同時に入れ替える必要などが生じると、想定外の出費額は突如大きくなります。こうして、想定外の出費に資金状況が追いつかなくなるというケースが多いようです。
どのくらいの費用がかかるのか
設備の種類によって部品交換で対応可能な年数と費用が変化します。そのため、設備ごとにひとつひとつ確認していく他に費用を見積もる方法はありません。
エアコン故障の場合
たとえばエアコンの故障の場合、メーカーが部品を保有する期間は一般的には10年前後に設定されています。その期間なら部品のみを入れ替える修理の扱いになりますが、期間を過ぎてしまうと修理ができないため、買い替えで対応することになります。このとき、エアコン本体の価格(数万円程度)に加え、取り外し・取り付けの工事費用、古いエアコンの処分費用(合計約1万〜2万5千円程度)などがかかります。結果として、本体の価格にも依りますが合計で約5〜10万円ほどの出費が生じます。
給湯器故障の場合
給湯器の故障の場合も、メーカーが部品を保有する期間は一般的に10年程度とされています。修理代の相場としては、故障箇所にもよりますが数万円ほどを見込むことになります。
一方、もし部品保有期間を過ぎていて修理ではなく交換をする場合、本体の定価は追い焚き・暖房機能の有無などによって20〜45万円程度と幅があります。ただし、販売業者によっては工事とセットにするなどして大幅に割引を行っていることもあるため、交換する際にはよく比較・検討することをお勧めします。
対策:突然の出費にならないよう事前にチェックする
その他設備は多岐に渡りますが、それぞれ上記のように数十万円以上の出費を生じます。これらの全てを把握するのは困難ですが、物件を購入する時点で設備・部屋の状態を確認することだけは怠らないようにしましょう。どういった出費が生じうるのかを、想定しておけば、実際に出費が生じたときにも落ち着いて対応することができるはずです。
また、特に中古物件の購入を検討する際は物件の価格に惑わされないよう注意しましょう。様々なリスクや耐久年数などを確認・勘案した上で、新築物件を購入するよりも本当に合理的なのかどうか冷静に考えてみることをお勧めします。
失敗パターン② 更新時の賃料下落
不動産投資のキャッシュフローを考えるにあたって、賃料を適切な価格に設定することは最も重要なポイントです。この見込みが狂うと資金繰りが困難になってしまうおそれもあり、計画段階から慎重な検討が求められます。
しかし、数年経過すると見込んでいた家賃と実態が乖離し、資金計画が破綻してしまうという失敗パターンも知られています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
賃料の下落は築年数に従う
賃料の見直しは契約更新のタイミングで行われます。特に入居者が退居し、次の入居者を募集することになった場合、家賃相場に合わせた賃料の再設定が求められます。
三井住友トラスト基礎研究所の調査によれば、経年劣化が賃料に与える影響は1年につき約1%とされています。ただし、特に築3〜10年目は下落率がさらに0.7%ほど高いとされていることに注意が必要です。新築時の家賃は高めに設定されるため、新築というセールスポイントを失うにしたがって、賃料は大きく下落します。
ローンの返済計画とも考え合わせると、賃料を安くは設定できません。かといって、高い賃料に設定して入居者が見つからなければ元も子もありません。結局賃料を下げざるをえなくなるだけでなく、空室期間の赤字も抱えることになってしまいます。
対策:慎重な投資計画・更新料設定・メンテナンス
こうした事態はできるだけ避けたいものです。高望みしない現実的な賃料はいくらなのかを資金計画の段階からある程度予想しておけば、損害を最小限に抑えることができます。ローンの返済計画と合わせて、現実的な投資と言えるのか精査しておきましょう。
丁寧な計画設計だけではなく、物件選びもやはり重要です。将来性のある街や利便性の高い立地、需要のある間取りという観点から物件選びをしておきましょう。同じ地域の築年数の古い物件の家賃相場を見ておくのも有効です。需要のある地域ならば賃料の下落幅を抑えつつ、確実に入居者を得ることができます。
失敗パターン③ サブリース契約の罠
魅力的に見えるサブリース契約によって不動産投資に失敗してしまう例もよく知られています。サブリース契約とは、オーナーが物件を不動産会社へ貸し、不動産会社がその物件を転貸・管理する仕組みのことです。不動産会社は入居者の家賃から手数料・管理費を差し引いた保証賃料を設定し、毎月オーナーへ支払います。したがって、たとえ空室であっても不動産会社から一定の額がオーナーへ支払われるという特殊な契約です。
サブリースによって空室リスクや滞納のリスクを回避することができます。サブリースでは、入居者がいる期間の利回りは悪くなってしまいますが、空室・滞納があった場合も不動産会社からの保証賃料を確実に受け取ることができます。入居付けや賃料の支払い催促などの管理行為は不動産会社が全て行い、その失敗による収益減少の責任も不動産会社が負うことになるのです。
サブリースでも家賃は変動する
しかしサブリース契約にはサブリース契約固有のリスクが存在します。毎月オーナーに支払われる保証賃料は、通常2年に一度見直されます。このため、当初の予定を大きく狂わされ、常に赤字経営の状態に陥ることがあります。
サブリース契約の良い面だけを見て、契約の細かい内容を見落とせば、この失敗に陥ってしまいます。不動産会社がサブリース契約の締結を提案する際は「20年保証」「30年保証」などといった文言が広く使われています。こうした言葉は、長期間に渡って同額の保証賃料を受けとれるという印象を与えがちです。
しかし実際には、サブリース契約には保証賃料に関する多くの契約が伴われます。不動産会社の支払う保証賃料の金額はほとんどの場合2年に一度見直されるというのも、その一部にすぎません。たとえば、保証賃料の見直しに応じない場合は不動産会社が一方的に解約できるという内容が盛り込まれていることもあります。一方でオーナー側からの中途解約には賃料の数ヶ月分程度の違約金を支払うよう定められている、というケースも散見されます。
さらに、空白期間が生じがちな新築時と退去時に不動産会社が保証賃料を支払う必要のない免責期間が設けられる場合もあります。特に退去時の免責期間があまりに長い場合は、空室による無収入を回避できるというサブリースのメリットすら享受できなくなってしまいます。
対策:契約内容をよく理解して利用しよう
このように、サブリース契約は一見すると長期間の収入が保証される便利なものに見えますが、実際には様々な落とし穴があります。こうした契約に目を通さず、結果としてローンの支払いが難しくなってしまう事例や、不動産会社との訴訟に至る事例も見受けられます。サブリース契約を利用してみたい場合は、目先のメリットに捉われすぎず、どのような部分が落とし穴になりうるのか、自分の購入する物件ではこの落とし穴は克服しうるのかなど、入念な情報収集と検討を行いましょう。
失敗パターン④ 管理会社の罠
管理会社に任せれば不動産経営がうまくいくと思っていると、思わぬ落とし穴に陥ることがあります。サブリースにせよ管理委託にせよ、管理会社に管理を委託することに変わりはありません。管理委託は日頃忙しい方が副業で不動産投資を行うために頻繁に活用されています。しかし、不用意な管理委託もまた、不動産投資の失敗を招くのです。
管理会社の倒産
管理会社そのものが倒産してしまうことがあります。マンション管理は比較的安定性の高い事業と言われており、一般的には管理会社の倒産は起こりにくいと考えられがちです。しかし、独自の不動産開発を試みるなどの業務拡大や、関連会社の事業に失敗するなど、管理業務以外の事業で経営難に陥る場合があります。
賃料がきちんと支払われ続けていれば、倒産した場合の損害は敷金程度に抑えられます。しかし現実には、本来はオーナーへと振り込まれるべき賃料まで自社の財務状況を回復するために使い込んでしまっている事例もあります。倒産してしまい管理会社側に支払い能力がない場合、訴訟へ持ち込んだとしても、結局被害額が手元に戻ってこない、もしくは少額になってしまうという事態に陥ってしまいます。
このように、選択した管理会社次第では思わぬ災難へ巻き込まれてしまうリスクがあります。また、他事業が原因の倒産のリスクがなくとも、マンション経営の手腕が良くない場合は入居付けが上手くいかず空室率が高くなってしまう場合もあります。
対策:管理会社選びも情報収集が必須
管理会社は不動産経営のプロだから任せておけば大丈夫と高をくくらず、会社の評判・実績や財務状況までよく調べておくことをお勧めします。管理会社からの賃料の支払いが滞る場合には、早めに何らかの対策を講じましょう。
失敗パターン⑤ 大規模修繕費が積み上がっていなかった
大規模修繕のための修繕積立金は毎月支払うことになるため、利回りに大きく影響する要素です。修繕積立金は外壁塗装や配管の老朽化に伴う工事など、建物の耐久性を保つために計画的に利用される資金で、マンションの場合オーナーが分担して毎月少額ずつ負担します。
修繕積立金の不足はオーナーの負担になる
まれに、物件が売れやすいように修繕積立金をできるだけ低い額で設定している場合があります。修繕積立金の金額は、本来20年程度の長期にわたる修繕計画を作成し、その費用を賄えるように設定されます。しかし、当初の管理・修繕計画がずさんで、いざ大規模修繕の時期になっても積立金が足りないという事態も珍しくありません。
例えば中古マンションを購入した際、タイミングによっては大規模修繕を間近に控えていることがあります。修繕積立金がきちんと積み上がっていなかった場合は、突如修繕積立金の値上げがなされたり、修繕工事の一時金としてまとまった金額を出し合うよう要求されたりと追加の維持費が生じます。
対策:修繕計画と積立金額も物件選びの指標
中古マンションを購入する場合は修繕計画をよく確認し、想定外の値上げで利回りが悪化してしまうことのないよう十分注意しましょう。たとえ月5,000円程度の値上げであっても、家賃のかなりの割合を占めることになります。新築マンションよりも手頃に良い物件が手に入ると思って中古マンションを選んだことが、修繕積立金のために裏目に出かねません。物件選びの際にはこの点にも注意が必要です。
まとめ
今回は、不動産投資の失敗で典型的な5つのパターンを見てきました。初めての不動産投資では、どのようなリスクから失敗へ陥ってしまうのか、なかなか予想しきれません。
派手な成功例にばかり目が向いてしまいがちですが、失敗のパターンにも多く触れ、自分が同じ失敗パターンへ陥ってしまわないように、資金計画・物件選びの段階から堅実なリスク回避に努めましょう。
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