【 目次 】
アパート経営は比較的身近な不動産投資であるため、アパートの購入を検討している方も多くいらっしゃるかと思います。しかし、アパート経営にどのようなリスクが潜んでいるかをしっかり把握している方はあまり多くないように見受けられます。今回は、アパート経営の問題点を確認した上で、マンション投資と比較し、アパート投資とマンション投資ではどちらの方が優れているのかを解説していきます。
アパート経営のリスクやデメリット
はじめに、アパート経営に伴うリスクやデメリットを確認してみましょう。アパート経営も他の不動産投資と同じリスクを抱えていますが、アパート経営特有のリスクもあることをご存知でしょうか。
空室のリスク
他の不動産投資と共通するリスクとして、空室のリスクが挙げられます。空室リスクとは、投資物件を所有しているものの入居者が見つからず、家賃収入を得られない状況になる危険性を指します。不動産投資では家賃収入が収入の中心となるため、空室率が増すと赤字になってしまう可能性が高まります。
株式会社タスが発表した資料(「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」)によると東京都内の賃貸の空室率は13%程度と低く止まっています。しかしアパートに限定すると空室率は約35%に達していることから、これはアパート特有の大きなリスク要因と評価できます。
地震や火災などの災害リスク
次に、地震や火災などの災害によるリスクが考えられます。これも他の不動産投資とも共通するリスクと言えます。
地震に関しては、日本は地震大国とも言われるほど地震が多く発生する国であり、保有するアパートが地震により損壊してしまうことは大きなリスクです。部分的な損傷であれば修繕費用を支払うだけで済む場合もありますが、万が一建物が倒壊してしまうと未返済分のローンのみが残り、非常に大きな赤字が生じかねません。
同様に、火災もアパート所有者がコントロールできないリスクの一つの要因です。特に木造アパートの場合、ある部屋で発生した火災がアパート全体に広がり、全焼してしまうことも想定されます。木造アパートを一棟所有する場合には、全焼のリスクは頭に留めておくべきでしょう。
なお、地震・火災ともに保険に加入することで、損害に対してある程度の補償を受けることはできます。しかし、修繕や建て直しに必要な額を全て賄えるとは限りません。また、復旧期間中は家賃収入も得られないため、経営上の大きなリスクと評価するべきです。
住民同士のトラブル
続いて、アパートの住民同士のトラブルが挙げられます。住民トラブルが頻繁に起こっていると物件の評判が悪くなり、物件自体の価値が下がってしまいます。
住民トラブルの具体的な内容としては以下のようなものが考えられます。
- 騒音
- ゴミ問題
- ペットの飼育、楽器、違法駐車などの違反
- 自殺、孤独死
- 不法侵入
上記の中でも特に騒音は住民トラブルの主要な原因となっています。これらは住民個人の問題である場合がほとんどで、物件所有者が事前に対応できることは限られてしまいます。特に価格や家賃相場の安いアパートでは防音設備が不十分である場合があり、わずかな騒音がたちまち住民間のトラブルに発展してしまいます。住民トラブルがきっかけで住民が退去してしまうだけでなく、その後の空室率にも影響を与えてしまうため、住民トラブルは決して侮れません。
高額な投資額
株式やFXなど、他の投資では少額から始めることができるものも多く存在しますが、アパート経営の投資額は特に高額です。アパート経営ではアパート一棟を所有することが一般的であり、土地代と建物代を合計するとかなりの額が必要になります。
もちろん、不動産投資ローンを利用すれば購入時に物件の価格を全て支払う必要はありません。フルローンを利用すれば自己資金がほとんどない状態でもアパート経営を始めることは可能です。しかし、空室リスクなどを評価すれば、利息の支払いが経営を圧迫する危険性もあります。特に2棟目、3棟目の購入を考えている場合には、ローンの返済によって現金収入が得られない事態は避けなければなりません。適切な事業計画なしには、高額なローンがデメリットになり得るという点をよく押さえておきましょう。
アパート経営とマンション投資を比較
アパートとマンションの違いとは?
アパート投資とマンション投資を比較して考えるにあたって、初めにアパートとマンションの違いについて触れておきます。
実のところ、法律上では「アパート」と「マンション」とは明確に区別されているというわけではありません。そのため、不動産業界では建物の構造に注目して、主に以下のような基準でアパートとマンションを区分しています。
- アパート:木造、プレハブ、軽量鉄骨造
- マンション:重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など
今回は上記のような一般的な方法に従ってアパートとマンションを区分します。
空室のリスク
初めに前項で取り上げた項目に則りアパートとマンションを比較してみます。
空室率は不動産投資全般についてリスクとなり、アパートも例外ではなく、前述の通り都内のアパートの空室率は約35%です。一方、同じく株式会社タスが発表した資料(「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版」)によると都内のマンションの空室率は約11%程度であり、アパートに比べかなり低い値となっていることがわかります。家賃収入が重要な不動産投資において空室率は重要な指標です。この点においてはマンションの方がアパートよりも明らかに優れています。
地震や災害などの災害リスク
特に木造のアパートの場合、火災が発生した際に延焼してしまうリスクが高く、全焼してしまうことも考えられます。一方、耐火性に優れた鉄筋コンクリートなどで建てられたマンションは延焼するリスクが木造アパートなどと比べて低くなっています。
住民同士のトラブル
住民トラブルの原因の代表として騒音問題が挙げられますが、一般的にマンションの方が木造や軽量鉄骨像のアパートよりも防音効果に優れており、上の階の住人や隣人の生活音が聞こえにくいため、騒音問題が起こるリスクは低いと言えるでしょう。
投資額
アパート投資ではアパートを一棟購入しなければなりませんが、ワンルームマンション投資であれば一部屋分購入するだけで済みます。立地にもよりますが、初期費用は低く抑えることが可能です。そのため、ワンルームマンション投資は自己資金が少なくアパート一棟を購入するのは難しいという場合でも始めやすい投資と言えます。また、複数の物件に分散投資をしてリスクヘッジをしたいと考えている方にとっても適した投資です。
修繕面
ここからは前項で触れていない内容についてアパート投資とマンション投資を比較していきます。
修繕面での違いとして、ワンルームマンション投資であれば建物管理費・修繕積立金を支払うことで、管理会社の主導により管理組合が運営され、適宜修繕を行なってもらえます。一方で、アパート投資の場合は一棟すべてを所有しているため、修繕を自分で行う、もしくは相応の費用を支払って管理会社に委託する必要があります。このことは修繕面だけに限らず、管理全般についても同じことが当てはまります。
ワンルームマンション投資の場合、自分の独断で修繕する箇所や時期を決めることはできませんが、管理会社に一任できるというメリットがあります。一方アパート投資の場合、所有者の判断で自由に修繕を行うことができますが、その分手間がかかります。手間や費用を惜しんで修繕を行わなければ老朽化が進行して物件の価値が下がり、結果として空室率の増加に繋がることも考えられます。このように、修繕などの経営管理に手間がかかるという点も押さえておきましょう。
流動性
投資を考える上では「流動性」と呼ばれるポイントを考えることも重要です。投資における流動性とは、売買機会の多さや売買契約の結びやすさを指します。主に売買に際する成約条件がどの程度あるかによって左右される概念的な指標です。つまり好きなタイミングで好きな量の売買ができれば流動性が高く、売買のタイミングや数量が限定されるのであれば流動性が低いと言われます。
一般に不動産投資は流動性が低いと言われています。実際、不動産を売りたいと思っても、買い手を見つけて売買の契約を終えるまでには数ヶ月かかることも少なくありません。
そして同じ不動産でも、アパートは特に流動性の低い物件だと評価されています。売却金額が大きいことがその原因と言われています。アパート投資ではアパートを一棟丸ごと所有する必要があるため、どうしても価格が高くなってしまいます。そのため、新たな購入者を得ても、購入者が資金を確保して購入に動き契約するまでに時間がかかってしまうのです。株式などとは違い、すぐに売却して現金化するということができないため、売却利益を考えて売却する際には、あらかじめ半年から一年をかけて売却準備を進める必要があります。
収入
一方、アパート経営にも利点があります。すなわち、収入と利回りの高さについてはアパートに軍配が上がるのです。
高額な都心のマンションの一区画を購入した場合に比べれば、同じ費用で郊外のアパート一棟を所有した方が、同時に扱える入居者の数が多くなります。アパートは部屋数が多いため、入居者さえ得ることができれば収入は明らかに上回ります。もちろん、収入の上昇は利回りの向上ももたらすことでしょう。
ただし、これはマンション一室とアパート一棟を比較した場合に限ります。分散投資など他に物件を所有している場合はこの限りではありません。また、これはあくまで空室がない状態での一般論に過ぎません。多くの資金を使ってアパート一棟を購入したとしても、空室率が高く入居者が少なければ十分な家賃収入が得られず、赤字経営に陥ります。慎重に判断しましょう。
立地
最後に、アパートとマンションの立地の違いについて見ていきます。立地というと、それぞれの物件ごとに違うのだからアパートもマンションも大差ないのではないか、と考える方も多いかもしれません。しかし実際にはマンションの方がしばしば良い立地に建てられています。一方のアパートは駅から離れた場所など、立地があまり良くない場所に建設されがちです。
これはアパート購入時にその土地を同時に購入することに由来します。駅前などの好立地でアパートを建設しようとすると土地代が高くなってしまい、経営が難しくなってしまいます。アパートの性質上、駅前などの高額な土地に建設されていることは稀です。投資するアパートの選択時には立地に注意しなければ、空室を生んでしまうため注意が必要です。
ここまでアパート投資とマンション投資を比較してきました。結果として、全体的にマンション投資の方がリスクの低い投資であるとわかります。アパート経営は比較的リスクの大きい投資ではありますが、収入や利回りの高さに特徴があり、立地や管理状況によっては高い収益性を実現することができます。リスクを認識し、投資の失敗に繋がりかねない危険性を考慮して実行しなければなりません。
まとめ
不動産投資にはリスクが付きものです。その点はマンション経営もアパート経営も変わりありません。しかし、アパート投資とマンション投資を比較すると、アパート投資の方がリスクや懸念事項が多く、マンション投資の方が比較的リスクの少ない投資であると判断できました。自身の投資の目標を考慮して、マンション投資やアパート投資を始めてみてはいかがでしょうか。
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