【 目次 】
投資対象として保有される資産の現金化のしやすさの度合いを、投資の流動性と呼びます。今回は、不動産投資における投資の流動性の特徴や、流動性に影響を与える要因、そして流動性の低さがもたらすメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
不動産投資の流動性とは?
この項ではまず、不動産投資の流動性が持つ特徴を解説していきます。
不動産投資の流動性の特徴
不動産投資の大きな特徴は、物件の換金率の低さ、つまり流動性の低さです。流動性が低いことの理由は、おおむね以下の3つに集約されます。
- 価格の高さ
不動産は一般的に、株などの他の投資対象と比較すると、証券化、つまり分割をすることが難しいという性質があります。このため、不動産物件の単価は非常に高くなってしまいます。
このため、不動産物件の単価は非常に高くなってしまいます。安価な不動産でも数百万円以上の価格となってしまうので、ある程度のまとまった資金を準備するかローンを組まなければ、購入ができません。
そのため売り手の観点からすれば、証券化されて一口当たりの価格が低く、多くの人が買い手として参加できる株式市場などと比べ、どうしても流動性が落ちてしまうのです。
ただし不動産の証券化という取り組みも行われており、これを不動産投資信託と呼びます。これについては以下で改めてご紹介しますので、そちらもご参照ください。
- 取引自体にかかる手間の多さ
不動産の取引を行うためには、価額の査定を取ることに始まり、不動産業者との媒介契約締結、そして売却活動を経て、購入希望者との価格交渉を行い、交渉が成立すれば売買契約の締結と手付金の授受、そして残代金の精算を完了し、これにより初めて物件の引き渡しという運びとなります。
またその途中には、原則として宅地建物取引士という国家資格を持つ人物 が契約時に重要事項の説明を する必要があることや、また売却活動が思うように進まず購入希望者とうまく折り合えない可能性などがあります。物事が必ずしもスムーズに進むとはいえず、手間・時間がかかりがちです。
一概には言えないものの目安として、売却完了までには最低でも3ヶ月、一般的には半年ほどの時間がかかると見込みましょう。
弊社が取り扱った実際の物件で、例外的に早く売却が完了したものとしては、東京23区内駅近、築浅(築5年)という良物件で、かつ大手3社と媒介契約を締結していました。それでも、売却完了には3週間がかかりました。不動産取引は時間がかかります。
このような換金への道筋のテンポの悪さも、不動産投資の流動性を下げている要因の一つです。
- 市場の閉鎖性
このような背景から不動産投資は流動性が低くなってしまうのですが、とはいえ、不動産投資すべてにこれが当てはまるわけではありません。上でも触れたとおり、2000年代初頭から不 動産の証券化(「不動産投資信託」)が行われており、現在では都市部を中心として一定の広まりを見せています。
本来は単価の高い不動産物件を投資のしやすい証券へと分割することで、ある程度の流動性を持つ不動産投資市場が形成されているといえます。
関連記事:不動産投資信托(REIT)とは?初心者向けに解説!仕組みと注意点
不動産流通の仕組み
不動産の取引は一般の商品の売買とは大きく異なります。では、不動産はどのような過程を経て取引されているのでしょうか?この項でその仕組みを確認しましょう。
不動産はおおむね以下のような手順に従って取引をされます。
- 不動産売却希望者が、不動産会社Aに物件の売却を依頼する(「媒介契約」と呼びます)
- 不動産会社Aは、不動産情報ネットワークREINSや独自のネットワークを活用し、購入希望者を探す
- 不動産の購入希望者から依頼を受けた不動産会社Bが、REINSやその他のネットワークを活用し、不動産会社Aが売りに出している物件を見つける
- 不動産会社Aと不動産会社Bが直接交渉する
- 双方が合意に達し、売買契約の成立後、物件の引き渡しが行われる
REINS(レインズ)とは、国土交通大臣から指定 を受けた不動産流通機構によって運営されている全国規模の不動産情報ネットワークで、不動産の迅速かつ透明な取引のために設置されているものです。
なお、媒介契約の内容によってはREINSに登録する義務がない場合もあります。
関連記事:プロご用達「レインズ」って何?仕組みと使い方を公開!
流動性に影響を与える諸要因
投資の流動性は、様々な要因によって変化します。この項では、流動性に影響を与える諸要因について詳しく見ていきましょう。
不動産投資において流動性に影響を与えるのは主に以下の4つの要素です。
- 立地
立地は不動産投資における流動性に直接的な影響を及ぼします。好立地であれば需要の多さから流動性は必然的に高くなりますし、また逆に立地が悪いと需要が減少するため、買い手がつきにくくなり、流動性は低くなります。
- 建物の状態や仕様
建物の状態や仕様も流動性に大きな影響を与えます。中古の物件よりは新築の物件、設備に不備がある物件よりは設備が充実した物件、そして管理が粗末な物件より管理が行き届いた物件といったように、建物の条件が良くなるほどその物件の人気が高まり、結果として投資家の注目を集め流動性が高くなります。
- ターゲット層
ターゲットの絞り方も重要です。例えば、東京都をはじめとする首都圏では、就職や就学を背景として地方からの安定的な人口移動があります。これは言い換えれば、独身世帯の住居の需要が大きいということです。
そのため首都圏では、地方圏と比べてワンルームマンションの需要が強く、そのような物件の流動性も高いといえるでしょう 。このように地域の特徴によっても、物件の流動性は大きく変化します。
- 投資の形態
流動性は投資の形態にも影響されます。上で触れたとおり、現物の不動産よりも、分割可能な証券化された不動産のほうが一口当たりの額が少なくなるために買い手が付きやすく、流動性が高くなります。
不動産投資の流動性にはこのような要素が関わっています。不動産投資の際にはこれらのファクターを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
流動性が低いことのメリット・デメリット
流動性が低いことにはもちろんメリットとデメリットの両方の側面があります。これらについて、見ていきましょう。
流動性が低いことのメリット
流動性が低いことには、実はメリットも存在します。
- 「適正価格」が決まっていない
株や債券取引などと違い、不動産物件の価値を決める要素は非常に多岐にわたり、それぞれの要素が多様に変化するため、完全に同一の不動産物件というものは存在しません。そのため不動産の価格設定においては、明確な「適正価格」というものが定めづらいのが実情です。
また、不特定多数の人間が売買に参加する株取引などとは異なり、不動産取引は基本的に一対一で進行します。そのため、買い手にとって有利な価格であったとしても、何らかの事情で売り手が承諾しさえすれば売買が成立します。
つまり、場合によってはお得な値段で物件を購入できることもあるのです。 つまり、場合によってはお得な値段で物件を購入できることもあるのです。
流動性が低いことのデメリット
流動性が低いことによって発生するデメリットについて、ここで改めて整理します。
- 換金に時間がかかる
投資の流動性が低いことによる最大のデメリットは、やはり、売り出しを始めてからお金が自分の懐に入って来るまでの期間が長いことでしょう。
土地であろうと家であろうと、不動産の売買価格は非常に高額となってしまいます。しかも、買い手がいざ購入する意思を固めたとしても、物件の見学や資金調達、また細かな条件の交渉などにより、契約の締結まで長い時間がかかってしまいます。
もしも交渉が途中で決裂してしまえば、これらの煩雑なプロセスをまた始めからやり直すこととなります。
不動産投資を行うためには、長期運用をする覚悟と体力が求められるでしょう。
このように、こと流動性の観点においては、不動産投資のデメリットが目立ってしまうかもしれません。とはいえ、運用における収入の安定性や、株などに比較して低いリスクなど、低い流動性というデメリットをカバーして余りある様々なメリットがあるのも事実です。
まとめ
不動産投資は、その流動性の低さに大きな特徴があります。この特徴は不動産の独特な取引の方法からくるものです。
流動性の低さはデメリットのほうが目立ちますが、 しっかりと運用を行っていけば安定して家賃収入を得られるなど、大きな魅力もあります。デメリットをよく知ることは、メリットを活かすための重要な準備だといえます。そのために、この記事がお役に立てば幸いです。
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