自主管理と管理委託、どっちがいいの?物件の管理方法について解説

自主管理と管理委託、どっちがいいの?物件の管理方法について解説

不動産投資は、物件を購入して終わりということはありません。継続的に賃料収入を得るためには、その後の管理も重要です。今回は、「自主管理」と「管理委託」という二つの主な管理方法について、それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説していきます。

アパート経営について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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自主管理のメリット・デメリットは?

自主管理とは

不動産投資における自主管理とは、賃貸物件の管理を管理会社に委託せず、物件のオーナー自らが管理することを指します。これに対して、管理会社に委託する場合を管理委託といいます。

なお、不動産投資という文脈から外れれば、分譲マンションの管理組合がエントランスなどの共用部分を管理するような場合にも自主管理という用語が使われることがありますが、今回は物件オーナーによる賃貸物件の自主管理に限定して説明します。

さて、賃貸物件を自主管理する場合、具体的にはなにをしなければならないかご存知でしょうか。賃貸物件の管理には、代表的なものだけでも以下の業務があります。

  • 入居者の募集(これを「リーシング」といい、不動産会社に委託することもできます)
  • 賃貸契約の締結
  • 家賃の入金管理
  • 設備の破損や騒音といったトラブル、クレームへの対応
  • 退去時の立ち会い

このほかにも、掃除や家賃の入金が無い場合の督促といった業務が発生します。つまり自主管理では、賃貸物件を運営するうえで生じるありとあらゆる業務を自分でこなさなければならないのです。

自主管理のメリット

こうした業務を管理会社に委託した場合、当然のことながら管理手数料がかかります。そのため自主管理のメリットとして、管理手数料を支払わなくてよいという点が挙げられます。詳細は後述しますが、管理手数料の相場は賃料の3~5%程度とされています。

自主管理のデメリット

一方、自主管理に伴う業務は非常に多く、手間と時間がかかってしまうのが自主管理の大きなデメリットです。物件のトラブルはいつ生じるかわかりません。自主管理の場合、オーナーは365日、入居者からのクレームなどに対応する義務があるため、本業の傍ら不動産投資をしているような場合には、一人で管理業務全般をこなすのは極めて困難といえます。

さらに、物件管理のノウハウがないオーナーの場合、管理が行き届かずに入居者の不満が溜まったり、退去されてしまったりする可能性もあります。管理手数料節約のために自主管理を選択したとしても、空室が増えて賃料収入が落ち込んでしまっては元も子もありません。

管理委託のメリット・デメリットは?

管理委託とは

不動産の管理委託とは、物件の管理を管理会社に委託することを指します。管理会社は、オーナーから管理手数料を受け取る代わりに、管理業務全般を請け負います。

管理会社にもよりますが、管理委託の一般的な内容は以下のようになっています。

  • リーシング(入居者募集)
  • 契約の締結および更新
  • 家賃の入金管理
  • 家賃滞納の督促および回収入居者からのクレーム対応
  • 退去時の立ち会い

さらにマンション一棟をすべて所有する場合には、次のサービスも委託することになります。なお区分所有では、これらのサービスは管理組合によって提供されるため、委託内容としては該当しません。

  • 建物・設備の保守点検およびトラブル対応
  • 清掃、メンテナンス

このように、専門性を要するものから手間暇のかかるものまで、様々な業務を請け負ってもらうことができます。

管理委託のメリット

オーナーにとって、管理委託には大きく二つのメリットがあります。

第一に、面倒な管理業務をする必要がなくなるという点です。物件管理の内容は多岐にわたり、中には経験やノウハウを必要とする業務もあります。それゆえ、専業の大家さんでない限り自分ですべてに対応するのは難しいでしょう。

第二に、遠方の不動産を所有することができるという点です。複数の不動産を所有している場合、管理のために移動を重ねる必要が生じます。移動時間がかさむと、自主管理ではどうしてもサービスが行き届かなくなってしまいます。遠方あるいは複数の優良物件を運用するためには、管理委託は必要不可欠です。

管理委託のデメリット

管理委託の場合、管理会社に管理手数料を支払うことで利益が少なくなる点がデメリットといえます。支払う費用は「賃料の数%」というような取り決め方が一般的で、管理会社や賃料にもよりますが、相場は賃料の3~5%といったところでしょう。

例えば、1棟10室の賃貸アパートを所有していて、空室が無く家賃はどの部屋も8万円、管理手数料は5%というケースでは、8万円×10室×5%=4万円となり、管理会社に支払う管理手数料は毎月4万円、年間で48万円という計算になります。

ただし、自主管理の場合に要する手間暇に比べれば、管理委託にかかる管理手数料は高くないという見方が大勢のようで、オーナーのほぼ全員が管理委託を選択しているのが実状です。

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管理会社の選び方って?

管理会社を選ぶ際のポイント

物件の管理を委託するとしても、管理会社の数は多く、比較するだけでも一苦労です。次に管理会社を選ぶ際に抑えておくべきポイントをご紹介します。

①管理手数料

管理手数料がいくらかかるのかは、誰もが重視するポイントでしょう。管理手数料の相場は賃料の3~5%度と述べましたが、このパーセンテージは管理会社や賃料、マンションかアパートかなどによっても異なります。いくらまでなら払っていいのか、自分なりの基準をあらかじめ決めておくと、判断の一助となります。

ただし、名目上の管理手数料が安くても、その分業務が限定的であったり、別の名目で費用が必要になったりするケースもあります。業務内容の資料や契約書にはよく目を通しましょう。

②サービス内容

管理委託の実際のサービス内容は、管理会社によって異なります。一般的なサービス内容はリストアップした通りですが、管理会社によって一部だけを請け負っていたり、追加のサービスを提供していたりします。

管理手数料という名目以外に費用が生じる場合も珍しくないため、基本プランに何が含まれるのかを必ず確認しましょう。また、追加の費用が必要となる業務とその価格を把握しておくことで、必要が生じた場合に備えて費用を大まかに見積もることができます。

③入居率

管理物件の平均入居率も注目すべきポイントの一つです。入居率の高さは、賃料収入に直接影響する指標である以上に、管理会社のリーシングの実力や、管理サービスの質、入居者の定着率の高さも反映した重要な指標です。大切な物件の管理ですから、継続的に高い入居率を実現している会社に依頼したいものです。

ただし、ただ高い入居率の表示に安心してはいけません。信頼できる会社なら、その高い入居率の算出根拠を示しているはずです。たしかに信頼できる高い入居率を持つ会社にこそ、大切な不動産の管理を委託できます。

④担当者との相性

管理会社を決めて契約を済ませた後は、担当者と日常的にやり取りをすることになります。物件を長期的に運営していれば、トラブルや不安もいずれ生じます。そうした際に気軽に相談できる良い関係を保つことも重要です。資産を預けるだけの信頼できる人柄の担当者かどうか、直接会って確かめておきましょう。

これらのほかにも、管理会社の知名度や、物件の所在エリアにおける営業実績などもチェックしておくと判断の助けになります。以上に示したように、管理会社を選ぶ際のチェックポイントはいくつもあるため、自分が重視するポイントをあらかじめ整理しておくことをお勧めします。

見積もり・プランの検討

管理会社を選ぶうえでのポイントを絞ったら、管理手数料の見積もりを取ります。この際、複数の管理会社から見積もりを取って比較すれば、相対的な提案の質や担当者の雰囲気なども知ることができるため、納得して依頼することができるでしょう。

また、管理会社によっては複数のプランが用意されていることもあるため、プラン検討も合わせて行います。すべての管理業務を自分でこなすのは難しいけれども、管理手数料も抑えたいという方の場合、一部を管理会社に委託し、残りを自主管理とするような折衷案も考えられます。

例えば、管理会社によってはリーシングや滞納家賃の督促といった業務だけを委託できるプランも用意されています。このように業務を限定して委託することで、管理手数料を節約することもできます。

管理会社への委託後

さて、区分所有ならば、あとはリーシングや家賃の入金が無事に行われるのを待つことになります。しかし、もし一棟所有しているなら、管理会社を選定し実際に物件管理を任せた後も、やるべきことはなおあります。契約通りの管理が的にきちんと実施されているかを自身の目で定期確認しましょう。

管理に問題が見られたら、まずは改善を依頼します。もし問題が解消されない場合には、管理会社を変更することもできます。変更にあたっては、管理の空白期間が生じたり、思わぬ不利益を被ったりしないよう、あらかじめ契約書の内容をよく確認しておきましょう。

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サブリースとは?

ここまで、賃貸物件の主要な管理方法である自主管理と管理委託について解説してきました。最後に、これらとは異なる賃貸物件の運営方法である「サブリース」について、簡単にご紹介します。

概要

サブリース(sublease)は一般に転貸を意味しますが、不動産の文脈においては特に、オーナーが所有する物件を不動産会社が一括で借り上げ、第三者に転貸する事業形態を指します。

一括借り上げという方式上、空室であっても家賃保証という形で不動産会社からオーナーに対して賃料賃料の支払いがあるというのが、サブリースの特徴です。また、一般的な賃貸借契約がオーナーと入居者の間で締結されるのに対し、サブリースの場合は不動産会社と入居者の間で契約が結ばれます。

そのため、オーナーが賃貸物件の運営に関わらない、すなわち入居者からのクレーム対応といった面倒な管理業務に携わらなくてよいという側面も持ち合わせています。こうした利点があることから、不動産経営の知識や経験が無い人が、サブリースを選択する例が多く見られます。

問題点

以上の説明だけを読むと、サブリースは極めてリスクの小さい不動産経営手法であるように思われるかもしれません。しかしながら、サブリースについては数々の問題点が指摘されています。代表的なものをご紹介します。

第一に、サブリースの多くはアパート建築と一体化した契約になっており、建築費が割高に設定される傾向にあるという点です。入居者が見つからない場合でもオーナーに賃料を支払わなければならないというのは、不動産会社にとって大きなリスクです。

そのため多くのケースで、不動産会社はこのリスクによる損失を防ぐために高額な建築費を設定しています。すなわち、物件オーナーは一見空室リスクから解放されたように見えますが、その実はあらかじめリスク分の支払いをしてしまっているのです。

第二に、家賃保証として支払われる額は減額されうるという点です。不動産会社は契約期間中でも、入居状況に応じた賃料減額請求ができます。物件オーナーがこのことを知らずにサブリースの契約をしてしまうと、収入が当初の予定を大幅に下回る結果になりかねません。

また、このほかにも、入居者の募集を開始してから数か月間は家賃保証の支払いをしないという免責条項が契約に含まれていることを知らないまま契約してしまったという類のトラブルが多く報告されています。

建築費の相場やリース契約に関する知識をもたない人が、これらの問題点を知らないままにサブリース契約を結び、後々トラブルとなるケースが多発しています。

サブリースについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

対策

上記のようにサブリースにかかわるトラブルが急増したことなどを受け、国土交通省は、2016年9月、賃貸住宅管理業者登録者制度の規定と業務処理準則を改正しました。

これにより、該当する不動産会社は、サブリースにおいて家賃保証という名目で支払われる賃料を将来減額する可能性について、物件オーナーに対し書面で交付したうえ、重要事項として説明することを義務付けられました。

ただし、本規定の対象となるのは、基本的には登録制度による登録を受けている賃貸住宅管理業者に限られます。その他については登録の検討および規定の遵守が促されるのみとなっており、家賃保証に関する問題が全面的に解消されたとまではいえないのが現状です。

まとめ

今回は、賃貸物件の管理方法について解説してきました。不動産投資を始めるにあたっては、物件の取得にかかわる費用のみならず、その後の物件管理に要する費用や業務内容についてもあらかじめ把握しておきたいものです。

賃貸物件の管理方法は自主管理と管理委託とに大別されるとはいえ、管理業務の一部だけを委託するような方式を採ることもできます。不動産投資の初心者であっても、管理会社と委託プランを丁寧に検討すれば、費用を抑えながら運営することができるでしょう。


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