【 目次 】
不動産投資を株などと比較すると、一件の投資額が大きく、投資額を取り戻すのに時間のかかる投資と言えます。このため大規模な投資をしづらく大きな利益を得にくいと考えがちです。
そんな不動産投資でより大きな利益を得る方法の一つとして「レバレッジ」を利かせる方法があります。
今回はレバレッジの仕組みから、活用法、リスクに至るまで、丁寧に整理していきます。
不動産投資セミナーに興味がある方は、下記内容もご覧ください。
そもそもレバレッジって?
レバレッジはそもそも「テコ」を意味する単語です。
テコの原理を利用すれば、小さな力で大きな効果を発揮することができます。
これと同じように、小さな出資から大きな利益を生み出そうとするとき、レバレッジの力を借りなければなりません。
不動産投資におけるレバレッジとは、投資金を借り入れることで、少ない自己出資から大きな利益を生み出す仕組みを指します。
自己資本利益率とは
レバレッジの仕組みを理解するには、自己資本収益率の概念を理解しなければなりません。
自己資本収益率とは、自分が出資した額に対して得られる収益が何%であるかを示す値です。
この値が高いほど、出資額に対して大きな収益を得ていることになり、効率よく利益を上げていると言えます。
レバレッジの仕組み
レバレッジによって大きな利益が期待できるのはなぜでしょうか。
レバレッジの仕組みを見れば、その理由を理解することができます。
レバレッジの具体的な経過は次のようになります。
①投資資金を借り入れる。
②借り入れた資金と自己資金をあわせて投資をする。
③投資した不動産から収入を得る。
④借入金の利息分を返済する。
⑤借入金分のローンを返済する。
レバレッジを活用しない場合と比べると、利息の返済がある分、額面上は損をしたようにも見えます。
しかし借り入れたお金で投資しているため、自分で出資したお金が少ないことに注目しましょう。
自己資本収益率の観点に立てば、同額の収益を得るために少ない自己資本を利用しており、高い効率を実現しています。
ここで具体的な数字を出してその効果を実感してみましょう。
年間の収益が100万円見込まれる不動産が1,000万円で売り出されていたとします。
これを全て自己資本で購入し運用した場合、1,000万円の出資から年間100万円の収益を得るので、年間の自己資本収益率は10%となります。
それでは、これを自己資本から500万円出資し、残りを借入金500万円で購入し運用したとしましょう。
仮に、借入金の年利を5%とすると、年間で25万円の利息の返済が生じます。
見込まれる収益は、不動産から得られる収入から利息の支払いを差し引いた75万円となります。
一見した限りでは、100万円を丸々収益にする場合よりも損をしているようにも見えます。
しかしそもそも自己資本から出資した額は500万円のみです。
500万円の出資で75万円の収益を得たと考えると、自己資本収益率は15%であり、こちらのほうが得であると言えます。
資金を借り入れることで浮かせた自己資本でさらなる投資ができることを考えれば、その効果の大きさを感じることができます。
以上のように、自己資本の出資を少なくすることで自己資本収益率を上げることがレバレッジの基本的な考え方です。
この方法によって、少額の自己出資から大規模な投資をすることが可能になり、効率的に利益を生み出すことができます。
より大きな投資を計画する
同額の投資を行う例を参照しましたが、レバレッジの最大の利点は投資規模を拡大できる点にあります。
先ほどの例と同じように、資本金500万円を用意した場合を考えてみましょう。
自己資本だけで投資をする場合、利回り10%の物件に投資すれば、50万円の利益が生じます。
一方、レバレッジを利用して500万円を借り入れれば、1,000万円の物件に投資することができます。
これも利回りが10%であれば、100万円の収益が発生します。
先ほどの例と同じく、利息として25万円を支払ったとしても、利益は75万円に増加しています。
もちろん、同額の物件を自己資本のみで運用することができれば、手元には100万円がそのまま入ることになります。
このように、額面を見れば利益率の増加が見えづらく、損をしているように感じるかもしれません。
しかし、少ない自己資本で大きな投資を計画することができる点は、特筆に値します。
なお実際には、利息の支払いだけではなく、ローンの返済も物件の収益から差し引かれます。
利息は銀行に支払われるだけで自分の得にはなりません。
一方のローン返済は同時に自分の負債を減らすことになります。
負債を減らすために自分の資産を消耗していないということは、自分の純資産が増加していることを意味します。
この原理はローンを完済したときに、より明瞭に感じられます。
ローンの返済を終えたとき、投資した不動産はそっくりそのまま自分の資産になるのです。
当然、それ以降の家賃収入は返済で目減りすることなく手元に入ります。
ここに至れば、レバレッジを利用してより大きな投資を行ったことの意義を強く感じることになります。
良い借金と悪い借金
ここまで、レバレッジには借入金が必要であると説明しました。
借入金とはもちろん「借金」のことで、この単語にはあまりよい印象がないかもしれません。
しかし、「借金」の中にも、自分の身になる「良い借金」と自分のためにならない「悪い借金」があります。
レバレッジも借金である以上、その基本的な考え方は共通しています。
レバレッジのリスクを理解する一助として、借金の良し悪しを確認しておきましょう。
借金を活用した投資
「良い借金」と「悪い借金」の違いはどこにあるのでしょうか。
端的に言うと、「良い借金」とは自分の資産を結果的に増やしてくれる借金で、「悪い借金」とは自分の資産を虫食んでいく借金に他なりません。
良い借金をするためには、まずその借金を投資に充てることが前提となります。
借金を利用することで将来の収益が高まれば、借金は資産を効率的に増やすための手段として活用されたと言えます。
この点、不動産投資のために借入金を利用するレバレッジも、十分に良い借金となりえます。
しかし、返済の目途が立っていなければ、レバレッジのための借金も悪い借金に転じます。
不動産投資も投資である以上、得られる収益が保証されているわけではありません。
楽観的に多額の借入金を利用すれば、後述するレバレッジのリスクに足元をすくわれかねません。
特にレバレッジでは、自己資本に対して借金からの出資を増やすほど、その効果が大きくなります。
このため、効果を期待して借入金額を増やしてしまう失敗に陥りがちです。
レバレッジも借金であることに変わりありません。
得られる収益にばかり目を向けるのではなく、安全に運用できる範囲を見極める必要があります。
レバレッジで借入金を使うリスク
レバレッジはたしかに効率的な利益獲得の手法です。
しかし、それはあくまでも、投資が成功して見積り通りの不動産経営ができた場合に限ります。
借金の返済義務と利息の支払い義務にとどまらず、レバレッジの手法には固有のリスクが生じる点に注意が必要です。
「逆レバレッジ」とは
レバレッジを利用するに際に注意しなくてはならない現象に「逆レバレッジ」があります。
レバレッジは借入金の利率より、その収益率が大きいとき初めて効率的な手法です。
しかし、逆に利率が収益率を上回るような状況が発生したとき、レバレッジは毒に転じます。
この状態が発生した場合、借入金からの利益だけでは利息に及びません。
したがって自己資本の投資から得られた収益を返済に充てることになります。
これは自己資本のみで投資していた場合には必要なかった支出です。
したがって、計算するまでもなく自己資本のみで運用したほうが効率的だったという結果になってしまいます。
自己出資率を下げるほどリスクは大きい
レバレッジをかけて自己資本率を下げると、自己資本収益率と同時に、リスクも大きくなります。
借入金が多ければ、それだけ支払う利息金額も大きくなります。
収益率が保たれている間は巨額の利息を支払うこともできますが、ひとたび収益率が落ちてしまえば、それだけ膨大な額の支払いを不動産利益以外から捻出する必要が生じます。
一例として、自己資本500万円を出資するとして、自己出資率が50%の場合と5%の場合を比較してみましょう。
・自己出資率が50%で、1,000万円の物件を購入した場合
不動産の収益率は10%を見込んでいましたが、実際は3%しか収益を上げられませんでした。
金額としては、100万円の収益予想が30万円にまで落ち込んでしまいます。
金利が5%の場合、500万円の借入金に対し25万円の利息を支払わなければなりません。
残る利益は5万円となってしまい、さらにローンの返済をすれば利益はごくわずかに止まります。
それでも、赤字になるのは避けることができそうです。
・5%の出資率で1億円の投資をした場合
同様に見込みの収益率10%に対して実際が3%の収益率だったとしてみましょう。
1,000万円の収益予想が300万円にまで落ち込むことになります。
支払いの方はというと、金利5%が借入金9,500万円にかかり、475万円の利息を支払わなければなりません。
300万円の収入に対し475万円の支払いですから、この時点で175万円もの赤字が生じています。
このうえローンの返済も加わることを考えると、そのリスクの大きさを感じずにはおれません。
このように、レバレッジには運用失敗時のマイナス幅をも増大させる効果があります。
収益効率ばかりに目を取られ、この危険性を見落せば、逆に巨額の負債を抱え込むことにさえなりえます。
レバレッジは有効な手段ではありますが、同時に慎重さを要求される手法でもあるのです。
失敗しても立て直せる借金
それでは、どの程度までレバレッジをかけてもよいものなのでしょうか。
その基準の大前提となるのは、万が一失敗してしまっても元の状態を取り戻せることです。
元の状態とは、この投資で多少の損を出しても、最終的に借金の返済が完了することを指します。
借金の返済が完了しさえすれば、不動産が純資産として手元に残ります。
自己資本のみで投資したのと同じ状態となり、逆レバレッジによる不利益からは解放されます。
借金の返済をするためには、利息の支払いを含む支出が収益より大きくなることが大前提です。
しかし万が一、不動産収入が大幅に減少してしまった場合には、不動産収入以外から支払いを補填することになります。
したがって、はじめに次の投資計画以外の自分の収入から借金返済に充てられる額を見積っておかなければなりません。
投資に失敗してしまった場合に何年で借金を完済して立ち直るのかを考慮しておけば、自分に最適なレバレッジの加減を判断することができます。
まとめ
レバレッジを活用すれば自己資本のみでの運用をした場合に比べて効率的な収益を見込めます。
しかし、レバレッジのための借金がリスクを伴うことにも注意が必要です。
自身の資金状況を精査したうえで、投資を効率化する手段として無理のない範囲で運用してみてはいかがでしょうか。
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