【 目次 】
新築住宅の売買契約が成立後、見えない欠陥や不具合が見つかった場合、売主がそうした瑕疵を補修するための保険や供託を行なうことが法で義務付けられていますが、住宅瑕疵担保責任保険は売主である事業者が倒産した場合でも瑕疵に対する補修費用などを保険会社に直接請求できます。
今回は住宅瑕疵担保責任保険の概要と、実際にどのようなサービスであるのかを解説します。
瑕疵担保責任とは?
瑕疵(かし)とは本来の目的を達成する上で必要な性能を備えていないことを表します。
住宅を提供する事業者は、物件にそうした瑕疵が見つかった場合に欠陥を無料で補修する責任があります。
特に、新築住宅においては「住宅品質確保法」により瑕疵の補修等に対して、事業者が10年間責任を持つ義務があります。
補修されることのできる瑕疵の対象は新築住宅の構造耐力上、瑕疵があると強度が落ちてしまうと考えられるような部分と防水措置を施さないと雨水が浸入してしまうような部分で、具体的には柱や基礎、外壁、屋根などになります。
関連記事:瑕疵担保責任、隠れた瑕疵とはどんなもの?2020年4月民法改正の内容も解説
瑕疵担保責任が存在するにもかかわらず、2005年には構造計算書偽装問題が話題となりました。
この事件は一級建築士Aが構造計算書を偽装し耐震基準を満たしていないマンションやホテルを格安で建造したことが判明し問題となりました。
また、問題が起きた当時、耐震整備に不備があったマンションを提供した販売会社が倒産していたため瑕疵担保責任を果たすことができず、不利益を被ってしまった住民がいたことも話題となりました。
このような問題を皮切りとして、売主等が倒産などで瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合、住宅購入者自身が瑕疵を補修せざるを得なくなり、不利益を被ってしまうケースがあることが明らかになりました。
そこで、瑕疵担保責任を法でしっかりと規制すべく住宅瑕疵担保履行法が制定されました。
関連記事:新築物件購入者必見!住宅瑕疵担保履行法について徹底解説
住宅瑕疵担保履行法とは?
今まででは住宅を売る事業者が倒産してしまった場合、事業者は瑕疵担保責任を全うすることができず結果的に住民が負担を強いられることになっていました。
住宅瑕疵担保履行法はこうした購入者の不利益をなくすため、住宅を売る事業者に資力確保を義務付ける法律です。事業者自体が保険に入るか保証金を供託することで、万が一事業者が倒産しても欠陥を補修するための費用を確保することができます。
資力確保をする人と方法
住宅瑕疵担保履行法によって資力を確保することが求められているのは新築住宅を提供する事業者で、特に免許を取得した宅地建物取引業者か許可を受けた建設業者に限られます。
したがって、住宅購入者が保険に加入したり保証金の供託を行ったりする必要はありません。
しかし、保険料は住宅価格や工事費用に含めることもできるため購入者が保険料を負担する場合もあります。
事業者が資力を確保する方法は保証金の供託と保険への加入の2通りがあります。
保証金の供託とは事業者が法令により定められた金額の現金や国債を法務局などにある供託所に預けることです。
瑕疵担保責任は10年間保証されるため、新築住宅の引き渡し日から10年間はこの供託金は取り戻すことはできません。
事業者が保険への加入を選択した場合、住宅瑕疵担保責任保険に加入することになります。
この保険は一般的な損保会社では扱っておらず、国土交通大臣に指定された5つの住宅専門の保険法人のみが取り扱っています。
また、事業者が新築住宅を引き渡した場合、毎年3月31日と9月30日時点での保険や供託の状況を、それぞれの基準日から3週間以内に、建設業の許可や宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る必要があります。
届け出については「住宅瑕疵担保履行法に基づく基準日における届出手続きについて(出典:国土交通省)」をご確認ください。
住宅瑕疵担保責任保険とは?
住宅瑕疵担保責任保険とは上記の通り住宅の欠陥を直す費用をまかなうための保険です。
住宅瑕疵担保責任保険に加入していれば、引き渡した住宅に瑕疵があり、補修等により瑕疵担保責任を履行した場合、事業者は保険法人から補修費用として保険金を受け取ることができます。
もし、瑕疵の発見時に住宅を提供した事業者が倒産してしまっていたら、買主は直接保険法人に補修費用として保険金を請求することができます。
住宅瑕疵担保責任保険の保険金の支払い対象はどんなものがあるの?
住宅瑕疵担保責任保険によって支払われる保険金は瑕疵の補修費用だけではありません。瑕疵に起因する以下の損害について、保険金が支払われます。
また、国土交通省大臣に指定された住宅瑕疵担保責任保険を取り扱う保険法人は5つありますが、それぞれの保険の保証内容や設計施工基準は原則として同じになっています。
・補修費用支払い
瑕疵を補修するために必要な材料費や労務費などの費用が支払われます。
・争訟費用保険金
瑕疵担保責任周りのトラブルを解決するために必要な訴訟や和解、示談に必要な費用が支払われます。
・求償権保全費用保険金
保険加入者が第三者に対して損害賠償を求める場合、その権利の保全や行使にかかる手続きに必要な費用が支払われます。
・事故調査費用保険金
瑕疵の発見により住宅の補修が必要となる場合に、瑕疵の正確な状況や補修が必要な範囲、補修の方法、補修の金額を確定するために調査に要した費用が支払われます。
・仮住まい費用保険金
瑕疵の発見により補修工事が始まり、住民が補修工事期間中に転居を余儀なくされた場合、その期間の仮住まいにかかる費用や転居費用が支払われます。
・紛争処理機関の利用
住宅瑕疵担保責任保険に加入している新築住宅については、住宅取得者と住宅事業者の間で売買契約、または請負契約に関する紛争が生じた場合に、1万円で「指定住宅紛争処理機関」による紛争処理手続きを利用することが可能です。
申し込み手続きなど
保険加入の申し込みや加入手続き、保険料及び検査料の支払いは住宅事業者が行います。
住宅の引き渡し後に、保険法人が発行した保険付保証明書が住宅事業者より渡されます。
まとめ
新築住宅を提供する際は住宅瑕疵担保責任保険に加入するか、保証金を国に供託することで住宅に瑕疵が見つかった場合の補修のための資金を確保する義務があります。
住宅瑕疵担保責任保険を取り扱う保険法人は国土交通大臣に指定された5つであり、それぞれの保証内容は同じですが、新築の不動産を購入する際は契約時にどのような保険に加入しているのかを知っておくことが大切です。
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