【 目次 】
2020年の東京オリンピックまでいよいよあと1年となりました。
オリンピックと言えばスポーツの祭典。
メダルが期待される選手や、東京オリンピックでの活躍が楽しみな若手選手などに注目が行きがちですが、忘れてはならないのが日本全体の経済に与える影響の大きさです。
2020年の東京オリンピックが経済に、そして不動産投資にどのような影響を与えると考えられるのでしょうか。
東京オリンピックの経済効果は?
オリンピックが開催されることによって、準備として様々な整備が行われます。
海外からの来訪者のために、公共施設に英語や中国語、諸外国語の案内を充実させる必要があります。
国内外から非常に多くの人が東京に集まりますので、それらの人々の移動手段として、新しい道路や鉄道の整備も必要です。
また、競技を行うための競技場もいくつか新しく建設する必要があります。
一方で、オリンピック開催によるテロの危険性の増大に対する不安や、そもそもオリンピックが与える経済効果が一国の経済を動かすには不十分であるという指摘もあります。
実際に東京オリンピックが日本経済に与える良い影響と悪い影響について詳しく整理してみましょう。
1964年の東京オリンピックの場合
前回東京でオリンピックが開催されたのは皆さんご存知の通り1964年です。
この時はちょうど高度経済成長期の真っ只中であり、日本経済は大きく成長していました。
その勢いをさらに後押しするように、主にインフラ整備による経済効果が大きく見られました。
東京オリンピックに合わせて整備された主な建造物やインフラとして、国立競技場、代々木体育館、東海道新幹線、東京モノレール、首都高速道路、地下鉄日比谷線、上下水道などが挙げられます。
こういったことによって、1960年から1964年にかけて、物価上昇率を排除した実質GNPは平均で11.3%の成長が見られました。
このように、1964年東京オリンピックが日本経済にもたらした影響は非常に大きく、交通網の整備などによってその後の日本経済にもプラスの影響を多くもたらしたことが読み取れます。
経済に与えるプラスの影響
では、実際に2020年の東京オリンピックが日本経済にどのような影響をもたらすと考えられているのでしょうか。
良い影響としてまず考えられるのは、1964年の場合と同様に、インフラ整備工事による雇用の増大やお金の流れの活発化による経済の活性化です。
現在、国土交通省は2020年に向けて空港にアクセスする鉄道の整備、東京3環状道路(圏央道、東京外郭環状自動車道、中央環状)の整備、環状2号線の整備、バリアフリー化、公衆無線LANの整備などを推進しています。
このような整備事業は雇用の創出や経済の活性化に大きな役割を果たすでしょう。
また、主に宿泊施設などの観光業の活発化も期待できます。
みずほ総合研究所の分析によると、オリンピック開催はその国の観光者数を長期間にわたって増加させる傾向があり、特に開催年よりも、その1年や2年前に観光客数がピークを迎えることが統計より読み取れます。
そのため、観光業の活発化はオリンピック開催よりも前から、長期間にわたって期待できます。
通訳や、案内表示の多言語対応のための雇用創出や設備投資も見込まれ、このような面からもプラスの経済効果が期待できます。
オリンピックが経済にもたらす好影響として、東京都は、主に設備投資や観光業の活性化によって東京都で約20兆円、全国で約32兆円の経済波及効果が見込まれると試算しています。
また、東京都で約130万人、全国で約194万人に及ぶ雇用の創出も見込まれるとも試算しています。
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経済に与えるマイナスの影響
しかし、オリンピックが日本経済に与える影響は、必ずしも良いことだけであるとは限りません。
まず最も顕著なものとして、オリンピック後の設備の維持費用の問題もあります。
道路等の公共設備に関しては、今回の場合は開催後も高い利用率が見込まれるものが多いですが、新設の競技場などに関しては、その建設費用分の利益を回収できるのかどうか不透明な部分も大きく、実際に終わってみないとわからないという部分もあります。
また、仮にオリンピック期間までは好景気が続いたとしても、その後の反動が大きく出てしまう可能性も考えられます。
実際、前回の東京オリンピック開催の翌年の1965年には、「昭和40年不況」と呼ばれる不況が日本を襲い、主に鉄鋼業の企業を中心に倒産が発生し、景気は一気に低迷しました。
もちろん、不景気になってしまった理由はこれだけではなく、他にもさまざまな要因がありましたが、2021年の日本もこのようになってしまわないとは限りません。
当時の日本はすぐにこの不況から脱出することができましたが、投資家や企業などの間で広まっていた「好景気だ」という雰囲気を形成する要因が一気に消え去るときに、その反動で経済が一気に不況へと落ちて行ってしまう可能性も考えられなくはありません。
最後に、プラスの効果であるとして挙げた先ほどの要因が、未だあくまでも計画であるということも不安要素の一つです。
過去のオリンピックを見てもわかる通り、多くの場合競技場の建設費用など、開催に向けた整備にかかる費用は予定よりも高くなってしまうことがほとんどです。
そのため、赤字になってしまえば経済の低迷にもつながりかねない上、そうでなくても実際に予測されているほどの利益が出ず、結果として経済全体の好調化が鈍くなってしまう可能性が大きいです。
このように、世間では東京オリンピック開催による良い影響ばかりが取り沙汰されているものの、実際には経済に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
地価上昇?東京オリンピックは不動産投資への追い風に?
では、不動産投資の観点から今回の東京オリンピックを見てみるとどのような分析が可能でしょうか。
オリンピック開催が最も大きく、直接的に不動産投資に及ぼすと考えられる影響は地価の変動です。
ここでは、主にオリンピック開催による地価の上昇について解説していきます。
地価が上がると想定されるエリアは?
地価上昇の傾向は、特に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県で強くみられると予測できます。
競技が実施される都心部では、競技場やインフラ整備による物理的な土地の減少や、オリンピック会場に近く宿泊や賃貸業、商業を行うにあたって有利であるという理由での土地の需要の上昇、オリンピック開催に伴う交通網整備による土地の価値の上昇など、地価が上昇すると考えられる様々な要因が挙げられます。
実際に東京都では、2020年の東京オリンピック開催が決定した翌年の平成26年度から地価上昇率がプラスに転じました。
その後、地価上昇率は年々上昇し、平成29年度の東京都区部の地価上昇率は住宅地で+3.0%、商業地で+5.5%、全用途で+4.0%を記録しました。
東京圏全体で見ても、特に商業地の地価上昇率が+3.1%でした。
東京都内の地価変動についての東京都財務局による分析の中では、オリンピックによる影響とは明記されていませんでしたが、都心部の再開発やインフラ整備を商業地の地価上昇の要因として記しており、オリンピックによる影響は少なくないと考えられます。
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湾岸エリアにおける坪単価の変動は?
豊洲、晴海などの湾岸エリアは、近年の東京の不動産市場において人気が高騰し、タワーマンションの建築も急ピッチで進行しています。
湾岸エリアを含む中央区、江東区の住宅地の地価変動率は、平成29年度のデータでそれぞれ6.2%、3.0%でした。特に、中央区晴海の平成27年度から28年度の基準地価格の上昇率は平均して約6%、江東区豊洲の平成28年度から29年度の公示地価の上昇率も平均して約6%と、高い地価上昇率が記録されていることがわかります。
湾岸エリアは以前からその眺望や都心からの近さで人気でしたが、湾岸エリアで様々な競技が実施されることが予定されているため、さらに人気が上昇しています。
そのため、もちろん土地の物理的な面積の減少が土地価格の上昇に寄与していることも挙げられますが、何よりこういった会場へのアクセスの良さが地価上昇につながっていると考えられます。
地価上昇が不動産投資に与える影響は?
このように、東京全体で地価上昇がみられていますが、不動産投資にはどのような影響があるのでしょうか。
賃貸業を不動産投資のメインとして行う場合、地価が上昇するとその分利回りが悪くなってしまいます。
今後オリンピックの開催が近付くにつれ、賃貸需要も上昇すると考えられ、家賃全体を引き上げることも可能かもしれませんが、不動産価格に比べて家賃は引き上げづらいため、地価が更に上昇する前に不動産を購入したほうが良いでしょう。
また、地価が上昇すれば物件の購入にかかるお金は増えてしまいます。
最初の予算は限られている場合がほとんどと思われるので、予算を超えないうちに物件を購入することをお勧めします。
また、改築などの工事費用も、今後の再開発などによる工事需要の高まりから上昇すると考えられるので、改修を行う場合、新しく建物を建てる場合には早めに済ませておくと良いでしょう。
一方、メリットとしては売却時の転売価格が高く見込めるということが挙げられます。
通常、売却価格は収益還元法で導き出されますので、家賃が上昇すればするほど高い値段での転売が可能です。
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今後も不動産価値は上がり続ける?
オリンピック開催決定から今に至るまで、特に東京近郊の1都3県では地価の全体的な上昇が続いています。
では、ここからは今後の不動産価値の推移がどのようになっていくのかについて検討していきます。
1964年の東京オリンピックの場合
1964年のオリンピックの際にも地価の上昇が起きました。
特に1960年には、住宅地・商業地で40%近い上昇、工業地では50%を超える上昇がみられました。
しかし、この地価の上昇にはオリンピック開催はあまり深くかかわっていないと考えられます。
当時は高度経済成長期で、工場の建設ラッシュや、都心への人口流入による住宅地需要の急騰といった土地の価格を上げる別の要因がありました。
また、当時の東京は現在ほど人口も建物も多くなく、いくらオリンピック開催によって競技場が建設される分土地が減ったり、東京に住みたい人が増えたりしたとしても、それだけで土地の価格が爆発的に上昇したとは考えにくいです。
1964年当時と現在では背景が大きく異なるので、これから開幕までの地価変動に関しては前回大会時の傾向はあまり参考にならないでしょう。
賃貸需要もこのまま伸び続ける?
オリンピックに向けて国内から東京に移住してくる、という人はあまり多くないかもしれませんが、海外からの企業進出、外国人労働者の増加、外国からの移住者の増加は継続的にみられます。また、地価の高騰により家の購入を考えていた人が賃貸に流れる可能性も高いです。
そこにオリンピックに合わせて国内外から東京にやってくる、という人の需要を加味すると、今までよりも需要の伸び率は上がると考えるのが妥当でしょう。
しかし、これらは確定的なことではないので、今後の経済の動きによっては需要があまり伸びない可能性もあります。
ですが、少なくともこれからオリンピックまでに賃貸需要が下落してしまうということは考えにくいです。
では、具体的にどのような条件の賃貸の需要が今後特に高まっていくのでしょうか。これに関しては主に2つの要因からの需要の高まりが予想されます。
賃貸のモデルケースと合わせて見ていきましょう。
①土地価格上昇に伴う不動産価格の上昇により、自宅マンション購入の意欲が低下することによる賃貸需要
→この場合、30代以上のファミリー層向けのマンションの需要の増加が予想されます。
エリア | 都内 |
価格 | 5,000万円前後 |
家賃(現在の相場) | 15万円前後 |
利回り | 5.0%~ |
表1 モデルーケース①
②オリンピック開催や、それに伴うインフラ整備のため、都内に労働者が増えることによる賃貸需要
→この場合、単身者向けのワンルームマンションなどの需要の増加が予想されます。
エリア | 都内 |
価格 | 3,000万円前後 |
家賃(現在の相場) | 10万円前後 |
利回り | 4.0%~ |
表2 モデルーケース②
オリンピック後の不動産投資市場はどうなる?
ここまで東京オリンピック開催までの経済、不動産投資市場の動きについて考えてきましたが、五輪開催後の動きはどのようになるのでしょうか。
インフラ整備によって東京がより住みやすい都市になる?
東京オリンピック開催に合わせて行われるインフラ整備は前述の通り実に様々です。
そのうちの一つである東京3環状道路の整備は、東京都心部の渋滞解消や、さらなる物流の活性化に大きな役割を果たすと考えられています。
環状2号線の整備によって、都内の移動がより楽になります。
このように交通面において東京がより便利な街になることは間違いないでしょう。
また、公衆無線LANの整備は、市民がより自由に気軽にインターネットを利用できるようになります。
このような快適な情報環境というのも住みやすい街の評価には欠かせません。
そして、注目したいのは、東京に住んでいるのは何も日本人だけではないということです。
外国語による案内表示がオリンピックを機にさらに充実します。
これによって、外国人にとっても東京はさらに住みやすい街になっていくことでしょう。
都市競争力が高まり、人口流入、賃貸需要増加が見込まれる?
前述の通り、東京オリンピックに向けて主に道路などの交通網、そして公衆無線LANなどの整備も行われていて、今後東京はますます住みやすい街になっていくことが予想されます。
そうなってくると、当然都市競争力は高まり、国内外から人が集まってくるでしょう。
また、オリンピックによるインフラ整備のみならず、北陸新幹線の開通や、今後開通するリニア新幹線などによって、さらに地方から東京にアクセスしやすい日本が出来上がってきています。
そのような面からも、今後さらに東京への人口流入は加速していくのではないかと考えられます。
このようなことを総合的に考えて見てみると、東京都内の賃貸需要は徐々に高まってくるものと考えられます。
不動産投資の観点から見れば、今後ますます東京の家賃相場は上がっていき、投資家の方々にとっても非常に魅力的な街になっていくと考えられます。
まとめ
東京オリンピック開催に伴い、日本経済は正負両方の大きな影響を受けることになるでしょう。
今後、地価はさらに上昇していくことが予想されますので、不動産投資を考えている皆様は、早めのご決断が重要となるでしょう。
しかし、今後の動向は確定的ではありませんので、不動産投資を行う皆様は、これからオリンピックまで、そしてその後も経済、市場の動向を注意深く見ていくことが必要になってくるでしょう。
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