【 目次 】
「不動産投資をすると、節税できる」
このような話を聞いたことがありませんか?
こうしたセールストークで、不動産投資の営業をする会社が少なからずあるようです。
たしかに、節税対策をすることで、税金の払いすぎを防ぐことは可能です。
しかし、それはあくまで払い過ぎを防ぐためであり、「不動産投資をすること自体が節税対策になる」というセールストークは、誤解を生みかねません。
税金に関する知識をきちんともっていれば、こうしたセールストークに惑わされることもないと思います。
そこで今回は、不動産投資と税金の関係について、掘り下げてお話ししていきます。
関連記事:不動産投資に節税効果はあるのか?経費計上シミュレーションで解説
関連記事:【税理士監修】不動産投資の節税ロジック!効果が高い物件と節税すべき人
不動産投資に関連する税金を理解しよう
不動産投資で節税ができるのは、収支が赤字である場合とお話ししました。
では、収支が赤字になるとは、どのような状況なのでしょうか?
それは家賃収入などの収益よりも、経費の金額のほうが高い状況を指します。
たとえば、不動産を購入した初年度は経費が多くかかります。
なぜなら、物件の購入時には登記費用や不動産取得税など多くの費用がかかるからです。
具体的に、物件の新規購入にかかる主な費用は以下の通りです。
1.仲介手数料
不動産仲介会社を利用して物件を購入した場合は、仲介手数料がかかります。
物件の金額を以下の3つの区分に分けて、計算されます。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 5% |
200万円を超えて400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円を超える | 3%+6万円 |
少しわかりにくいので、例を出してご説明します。
たとえば、1500万円の物件を購入した場合は、以下のように計算します。
まず、1500万円を先ほどの3つの区分で分けます。
すると、(1)200万円、(2)200万円、(3)1100万円、となります。
そして、それぞれに割合をかけます。
(1)200万円 × 5% = 10万円
(2)200万円 × 4 + 2万円 = 10万円
(3)1100万円 × 3% + 6万円 = 9.3万円
上記の合計金額である29.3万円が手仲介手数料の上限となります。
ちなみに、不動産の売却主が個人である場合は、この手数料はかかりません。
ただ、個人で購入すると物件の調査や契約、ローンの申し込みまでを個人で行う必要がありますので、不動産に関する知識がないと時間や手間がかかってしまいます。
2.不動産登録免許税
不動産登録免許税とは、不動産を購入して不動産の登記を行う際にかかる税金のことです。
税額は、土地・建物共に「固定資産課税台帳に登録された価格の2%」です。
たとえば、土地・建物の合計が1500万円の物件の場合は、30万円を納付します。
3.不動産登記手数料
不動産登記手数料とは、司法書士に不動産の登記をしてもらう際に支払う費用です。
不動産登記手数料は明確な定めはないので、誰に頼むかによって報酬に違いがあります。
4.固定資産・都市計画税(日割り計算)
不動産を所有していると、固定資産税と都市計画税の納付義務があります。
これらの税金は、本来毎年1月1日に土地や家屋などの固定資産を所有している人が支払うべき税金です。
そのため、不動産を取得した日から、その日の12月31日までの日割り計算で税金額が決まります。
5.火災保険などの保険料
所有する物件が火災にあってしまうなど、万が一のリスクのために、火災保険には必ず入っておきましょう。
6.不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得したときや新築・増築したときに都道府県に納付する義務がある地方税です。不動産を取得してから6ヶ月~1年半の間に各都道府県から届く「納税通知書」を基に、金融機関で納付ができます。
このような初期費用の目安は、物件購入価格の約10%といわれています。
つまり、1500万円の物件を購入した場合は、150万円ほどの費用がかかるということです。
このように、物件を購入したときには多くの費用がかかります。
そして、物件を取得した2年目以降の経費としてウェイトが大きいのは、「減価償却費」。
減価償却とは、購入した不動産を一括して費用として計上するのではなく、将来にわたって利用可能な年月にわけて、毎年費用として計上するものです。
※減価償却の対象になるのは建物のみで、土地は含まれないのでご注意ください!
そして、減価償却費は、以下のように物件の取得費用を法定耐用年数で分割することで算出します。
減価償却費用 = 物件の取得費用 ÷ 法定耐用年数
このように、不動産投資にはさまざまな経費がかかってきます。
では、今回の本題である節税の話に入っていきましょう。
不動産投資に関連する税金のうち、節税できる可能性があるのは、主に以下の4つです。
それぞれの税金について、説明していきます。
・個人の所得税
・法人の所得税
・個人の相続税
・法人の相続税
【個人の所得税】会社勤めの人が不動産投資で赤字になると、税金が返ってくる
会社に勤めている方は、毎月の給料からあらかじめ所得税が控除されて支払われています。
なぜかというと、本人が支払うべき税金を、会社が代わりに納付してくれているからです。
この所得税は、会社から支払われる給料をベースに算定されていますが、不動産収入がある人はその収入と給与収入の合計金額に対して税金がかかるのです。
そのため、たとえば年収500万円の人が不動産投資をしていて、不動産収入が50万円の赤字だった場合は、その人の合計収入は年収450万円です。
しかし、会社が納付している税金は年収500万円に見合った税金なので、払いすぎていることになります。
その払いすぎた税金が戻ってくるので、その分が節税になるといえます。
ちなみに、不動産収入がある人は、「確定申告」を行う義務があります。
確定申告の際は、不動産収入と様々な経費を計算して、年に一度税務署に申告をします。
確定申告の方法については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ確認してください。
関連記事:確定申告で困らないように知っておきたい!不動産投資の経費として計上できる費用とは
こうして確定申告を行い、収支が黒字だった場合は、定められた税金を支払うことになります。
【法人の所得税】課税所得が900万円を超えたら、法人化を検討したほうがいい
不動産収入が増えてくると、個人として確定申告をするのではなく、法人化したほうが税金を安く抑えられる可能性があります。
なぜかというと、個人の所得税は「累進課税」という仕組みだからです。
累進課税は、収入が多い人ほど収入に対する税金の割合が上がっていく仕組みのことです。
たとえば、課税対象になる所得が900万円以下の場合、所得税の課税率は23%です。
そして、900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%というように、課税率はどんどん上がります。
しかし、法人化した場合は、所得税ではなく法人税を支払います。
法人税は「比例税率」なので、課税率の上限は23.9%と決められています。
つまり、所得が高くなると法人化したほうが支払う金額が少なくて済みます。
では、どのくらいの課税所得になったら、法人化を検討するべきでしょうか?
その分岐点となるのは、課税所得900万円です。
なぜかというと、課税所得が900万円を超えると、個人で支払う所得税よりも法人税の方が安くなるからです。
さらに、資本金が1億円以下の中小法人の場合、課税所得が800万円以下の場合は、税率が15%に下げられるという優遇措置もあります。
そのため、会社勤めをして不動産投資をしている人は、現在の自分の税率をあらかじめ確認しておきましょう。
年収が同じでも扶養家族の人数などによって控除金額が違うので課税所得が変わりますし、年収1000万円を超えるような高年収の方は、すでに高い税率で所得税を支払っています。
その場合は、初めて不動産を購入するときから、法人化を検討した方がいいこともあります。
逆に、年収が高くなくても、不動産収入が高い物件を購入する場合は、早めに法人化をしておいた方がよいこともあります。
このように、法人化に適したタイミングは個人の状況によって違いますので、税理士などの専門家に相談の上、検討しましょう。
【個人の相続税】現金よりも不動産のほうが、相続税の支払いを減額できる
相続税対策として、不動産を所有する人もいます。
なぜかというと、現金で所有しているよりも不動産にしたほうが、相続税の算出基準となる「基準財産」の評価額を削減することができるからです。
その分だけ、相続税の支払いを減額することができます。
相続税の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説していますので、確認してみてください。
関連記事:不動産投資がなぜ相続税対策に?
【法人の相続税】法人化した場合、相続税の節税効果が高い
法人化すると、先ほど説明した「基礎財産の評価額削減」に加えて、以下のようなメリットがあります。
・家族を役員にすることで所得を分散できる
・法人設立時の株式の時価が低いうちに子供に譲渡すれば、贈与税がほとんどかからず、相続税もかからない
このように、相続税対策として不動産を所有することは、多くのメリットがあります。
しかし、メリットだけでなくリスクもありますので、その点はしっかりと知っておいていただければと思います。
投資用不動産を相続する際のリスクや、回避方法
たとえば、物件が家族の共同名義になっていると、大規模な修繕や売却の際に名義人すべての同意が必要になります。
合意ができないと、修繕ができずに資産価値が下がってしまったり、物件を売却できなかったり、というリスクもあります。
そうしたリスクを避けるためには、物件を購入する際に、以下のふたつのポイントに気をつけましょう。
・共同名義を避ける
・いざというときに売却しやすい物件を購入する
それぞれについて、説明していきます。
共同名義を避ける
先ほどお話ししたように、家族の共同名義で購入すると、相続した後に揉め事の原因になる可能性があります。
そのため、共同名義にする必要があるような金額が大きい物件は避け、家族それぞれに名義を割り振れるワンルームマンションなど、比較的金額が低い物件を複数所有することをオススメします。
いざというときに売却しやすい物件を購入する
不動産の場合、相続税の評価額が下がるとはいえ、相続税を納付しなければなりません。
しかも、相続税は相続してから10ヶ月以内に現金一括納付することが定められています。
そのため、相続税を支払う資金がない場合は、不動産を売却する必要性があります。
そんなとき、不動産がなかなか売却できないと大変です。
いざというときに売却しやすい物件を購入しておくことをオススメします。
具体的には、以下のような物件を検討するといいでしょう。
・都心(とくに東京23区内)
・最寄駅から徒歩10分以内
・新宿・渋谷・池袋・東京などのターミナル駅にアクセスしやすい
・鉄筋コンクリート造のマンション
・単身向け物件(家賃7万円~12万円未満)
・オートロック完備
・バス・トイレ別
この物件の基準は、不動産投資をする際の基本です。
くわしくは、以下の記事で紹介していますので、チェックしてみてください。
関連記事:不動産投資の8大リスクヘッジ法!リスクを制して不動産投資を制す
関連記事:管理と物件が重要!不動産投資で家賃収入を得る方法を実例で紹介
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように、不動産投資が節税につながるのは、不動産投資での収支が赤字である時だけです。
収支が黒字の場合は、税金を納めることになります。
この仕組みがわかると、「不動産投資は節税効果があります」という営業トークが信用できない、とお話しした理由がわかっていただけたのではないでしょうか。
不動産投資は、長期的な資産を形成するための投資です。
むしろ、赤字になることなく、収入を増やせるほうがいいですよね。
怪しい営業トーク騙されないように、正しい知識を身につけていきましょう。
今後も、不動産投資Timesでは不動産投資に関するさまざまな知識をお伝えしていきます。
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