【 目次 】
現在の金利で支払いがきつい、与信が良くなったのでもっと良い銀行と取引をしたい場合はローン借り換えを検討するタイミングかもしれません。
しかし、ローンを組むことさえ慣れていないのに、ましてや借り換えはハードルが高い、と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、ローン借り換えのメリットやデメリット、借り換えをする際の注意点について解説します。
不動産投資ローンについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
不動産投資ローンの借り換えとは
不動産投資ローンの借り換えとは、現行のローンから条件の有利な新しいローンに借り換え、金利や融資期間などを見直すことを指します。
不動産投資をする際には、金融機関から融資を受け、ローンを組んで不動産を購入するケースがほとんどです。
融資額は数千万から時に数億にのぼることもあり、融資期間も数十年に及びます。そのため、少しの金利差でも積み重なると差額が非常に大きくなり、収支を圧迫することにもなりかねません。
そこで、より有利な条件で融資をしてくれる金融機関への借り換えを検討したほうが良い場合もあります。
ローンの借り換えをする際には元の金融機関のローンは一括返済します。その原資は、新しい金融機関から借り入れた資金をあてることがほとんどです。
本当に今?借り換えをすべきタイミングとは
ここで注意したいのが、借り換えさえすれば必ず収支が改善されるとは限らないという点です。
後ほどご紹介しますが、借り換えには諸費用がかかります。キャッシュフローが悪化しているからと、焦ってローンの借り換えを行すると、かえって支出が増えてしまうことにもなりかねません。
借り換えをするタイミングを見極める要素には「数値」と「状況」があります。いつ借り換えをするのがベストタイミングなのか、詳しく解説していきます。
数値から借り換えタイミングを見極める
借り換えをするかどうか検討する際には、「借り換え効果」を算出する必要があります。
これは借り換えによってどのくらいの利益が得られるかを数値化したもので、以下の式で求めることができます。
ここで用いる返済額の軽減額は、現在借入中のローンの総返済額と借り換えた場合のローンの総返済額を計算し、その差額を算出することで求められます。
また、もう少し簡単な計算方法として、以下の式で返済額の軽減額を求めることも可能です。
状況から借り換えタイミングを見極める数字で借り換え効果を出すにせよ、そのタイミングがいつか分からない…という方は、まず今の状況から借り換えをするタイミングかどうかを判断する方法もあります。
借り換えのタイミングとして挙げられるのは、主に以下の4パターンです。
以下のパターンに当てはまっている場合は、借り換え効果を計算し、効果が大きい場合は借り換えを検討すると良いでしょう。
【1】物件を購入してから10年以内
ローン借り換えをするなら、なるべく早く(目安としては物件購入から10年以内)行った方がその恩恵を受けられます。その理由は以下の3つです。
わずかな金利差でも数十年経つと大きな差になります。そのため、なるべく借り換えを早くした方が、トータルで見た場合の支出を抑えられるというわけです。
2.手数料支払いのデメリットが小さい
先ほどご紹介した通り、ローン借り換えには手数料がかかります。返済額や返済期間が残り少ない状態で借り換えをすると、手数料(デメリット)が支払減額分(メリット)を上回ってしまうことにもなりかねません。
3.金利上昇に備えられる
金利が上昇してから慌てて借り換えをしても、借り換え後の金利もすでに上昇してしまっています。借り換えのメリットを大きくするためには、金利上昇が予測された時点で行わなくてはなりません。
そのためにも、なるべく早い段階で借り換えを検討する必要があります。
【2】金利の固定期間が終了する
固定金利タイプのローンには、3~10年程度の固定金利期間が定められていることがあります。
その期間が終了した後、状況によっては金利が大きく上昇してしまうこともあるため、終了前に借り換えを検討しましょう。
しかし、後ほど解説しますが、固定金利から変動金利に借り換えをするとかえって損をしてしまう場合がありますので注意が必要です。
【3】キャッシュフローのマイナスが続いている
毎月のローン返済が負担となり、マイナス収支が続いている時も、ローンの借り換えを検討するタイミングです。
金利が下がるか、もしくは融資期間が延びればキャッシュフローの改善につながります。
しかし、先述の通り、融資条件ばかりにとらわれて借り換えを行ってしまうと、手数料などがかかる分、損をしてしまうことにもなりかねません。
赤字続きだからといって焦らず、複数の金融機関を比較検討したうえで、借り換え効果の最も大きいところを選びましょう。
【4】与信が良くなった、もしくは今後悪くなる
与信が良くなった、今後与信が悪くなると考えられる時も、借り換えのタイミングの一つです。与信が良くなればメガバンク※と取引ができる確率が上がります。
与信が良くなれば、より良い条件で融資を受けることになるため、ローンの支払総額を減らすことに繋がります。
逆に退職やフリーランスへの転向などで与信が悪くなる場合は、ローンの借り換えが難しくなるので、その前に借り換えを済ませてしまうのも一つの戦略です。
※総資産がおよそ1兆ドル以上の銀行を指す。日本では「みずほフィナンシャルグループ(FG)」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャルグループ」の3行が「3大メガバンク」と呼ばれている。
借り換えをするメリット
次に借り換えのメリットについて解説します。
上手に借り換えをすれば収支が改善されるだけではなく、不動産運用を続けるうえで有利になります。その点も考慮したうえで借り換えの計画を立てましょう。
借り換えをするメリットは、以下の3つです。
- より良い金利条件の借り換えができる
- 積極的なリフォーム・リノベーションができる
- 信用力向上につながる
それぞれ詳しく解説していきます。
より良い金利条件に借り換えができる
不動産投資ローンの借り換えをする一番の目的は、より良い条件で融資を受けることに尽きるでしょう。
金利の低い金融機関に借り換えができれば、その後の支払い利息の負担が軽減できます。
キャッシュフローの改善につながるだけではなく、支払い総額を抑えられることからトータルの利益を大きくすることも可能です。
積極的なリフォーム・リノベーションができる
金利が低くなることで資金に余裕ができれば、それを利用してリフォームやリノベーションをすることも可能です。
中古物件は、経年劣化によりどうしても資産価値や入居ニーズが下がってしまいます。
そのため、リフォームをすることで部屋の美しさを保つ、リノベーションにより新たな付加価値をつけるという対策が重要です。
しかし、リフォームやリノベーションには多額の費用がかかるので注意が必要です。
ローンを組むこともできますが、不動産投資ローンと合わせて二重ローンになると、むしろキャッシュフローが悪化してしまう可能性があります。
その場合、ローンの借り換えによって浮いた資金があれば、リフォームやリノベーションにあてられ、二重ローンのリスクを軽減しつつ、不動産の価値や入居ニーズを上げられます。
信用力向上につながる
昇進や転職、順調な不動産経営により与信が良くなった時は、大手の金融機関に乗り換えるのも一手です。特に、メガバンクとの取引にはさまざまなメリットがあります。
まず先述の通り、金利や融資期間といった条件が小規模の金融機関より良い傾向にありますし、メガバンクとの取引実績は信用力向上にもなるからです。
その結果、新しく他の投資を始める際にも、融資審査に通りやすくなるという派生効果があります。
借り換えをするデメリット・注意点
続いて、借り換えをするデメリットや注意点について解説します。
借り換えをする際には、デメリットを超える借り換え効果があるかどうか、良く検討しましょう。
借り換えをするデメリットや注意点は、以下の3つです。
- 手数料がかかる
- ローンが安くなるとは限らない
- 前の銀行との取引ができなくなる場合がある
それぞれ詳しく解説していきます。
手数料がかかる
先述の通り、借り換えには手数料がかかります。また、借り換え手数料以外にも以下のような出費が必要です。
- 既存ローンの繰り上げ返済にかかる手数料
- 保証料
- 印紙代
- 登録免許税
- 登記報酬料
- 団体信用生命保険料
借り換えに必要な費用の総額が借り換えによる利息の削減額を上回っている場合は、借り換えをするだけ損になってしまいます。
「借り換え効果」を計算し、本当に借り換えをするかどうかを見極めることが重要です。
また、借り換えには時間や手間といったコストもかかります。
借り換えが可能な金融機関の選定や融資審査の準備、前の金融機関との解約手続きなどが必要になり、特に副業で不動産投資をしているサラリーマンにとっては大きな負担になってしまうでしょう。
ローンが安くなるとは限らない
金利が安いから、という理由で借り換えたにもかかわらず、最終的な利息の支払いが多くなってしまうケースもあります。
そのような事態に陥りやすいのが、固定金利から変動金利への借り換えです。
一般的に固定金利は変動金利に比べて金利が高く設定されています。そのため変動金利に借り換えると、最初のうちは金利が安くなり、得かもしれません。
しかし、変動金利は将来的に金利が上昇する可能性があります。上昇率によっては元の固定金利よりも金利が増えてしまうこともあるため、注意が必要です。
前の銀行と取引ができなくなる場合がある
銀行は、借り換えをされると融資残高が一気に減ってしまいます。
担当者や支店の業績が落ちてしまうことから、融資担当者の気持ちを害してしまうことにもなりかねません。
そのため、新たに不動産投資をする際にも、その銀行では融資を受けられない恐れがあります。
借り換えができる金融機関一覧と選び方
ローンの借り換えをする際、最も重要なのは、やはり金利の低さです。
基本的には金利が低くなればなるほど借り換え効果が高くなりますので、いくつかピックアップした中でも金利の低い金融機関から申請していくと良いでしょう。
それに加えて、借り換え効果を大きくするためには手数料の低さも重要です。金利だけではなく、手数料についても必ず確認しましょう。
また、金融機関によってはローン借り換えによる特典があります。
- 特典の例1:年会費無料でゴールドカードが利用できる
- 特典の例2:ATM手数料や振込手数料が無料になる
- 特典の例3:提携店舗にて割引で買い物ができる
あくまでオプションではありますが、特典に関してもチェックしておくと良いでしょう。
借り換え可能な金融機関の例
それでは、不動産投資ローンの借り換えをしている金融機関の一例をご紹介します。
※金利などの融資条件は2022年8月現在のものです。詳細は各金融機関にお問い合わせください。
【1】オリックス銀行
オリックス銀行は不動産投資ローンに力を入れている金融機関として知られています。
投資用不動産に関するノウハウが豊富で、不動産の市場価値を適切に検証し、現在のローンよりも融資期間、金利ともに有利な条件での借り換えの提案をするといった強い対応力も魅力です。
融資額は1,000万円以上2億円以下と幅広く、区分マンションはもちろんのこと、一棟投資や戸建て投資にも利用できます。金利は以下の3種類があります(2022年8月現在)。
固定金利期間特約付変動金利型(5年固定特約型):年2.500%~3.500%
変動金利型:年2.675%~3.675%
参考:オリックス銀行
【2】イオン住宅ローンサービス
イオン住宅ローンサービスは、大手イオングループの企業のひとつで、不動産投資ローン「マンションオーナーズローン」を主に取り扱っています。
ローンの借り換えにも対応しており、1件当たり最大3,000万円までの融資を受けることが可能です。
借入金利は、年2回見直し型の変動金利で、金利は2種類から選択できます(金利によって手数料が異なります)。
ただし、資金用途は東京23区内及び神奈川県横浜市内か川崎市内・大阪府大阪市内にある最寄駅から徒歩10分圏内、築20年未満の投資用物件に限定されているため注意が必要です。
また、提携している販売業者からしか申し込みできないので、現在取引をしている不動産会社が提携しているかどうか確認しましょう。
※プロパティエージェントは、イオン住宅ローンサービスと提携しています。
参考:イオン住宅ローンサービス
【3】SMBC信託銀行
SMBC信託銀行の不動産投資ローンは、融資額500万~1億円と幅広く、ローン残債が少ない場合の借り換えにも対応できます。
また、団体信用生命保険の保険料は銀行負担、保証料・保証事務手数料が不要など、ローンに関わるさまざまな費用がかからない点も魅力です。
金利は以下の5種類があります(2022年8月現在)。
固定金利型(3年型):1.95%~2.35%
固定金利型(5年型):2.07%~2.47%
固定金利型(7年型):2.13%~2.53%
固定金利型(10年型):2.18%~2.58%
参考:SMBC信託銀行
実際に借り換えるときの流れや必要書類
最後に、実際に借り換えをするときの流れや必要書類について解説します。
金融機関の探し方や借り換えの手続きに不安がある場合は、信頼できる不動産会社に相談すると良いでしょう。
STEP1:借り換え効果を調べる
まずは、現在のローンと借り換えローンの候補を比較検討し、借り換え効果があるかどうかを計算します。
先ほどご紹介したとおり、ローンの借り換えには費用や手間といったコストや、変動金利の場合は金利上昇のリスクがあります。
そうしたデメリットを織り込んだうえで、借り換えをした際のシミュレートをしてみましょう。
そのうえでやはり借り換えをした方が得になる、と判断した場合は、次のステップに進みます。
STEP2:借り換え先を決め、審査の申し込みをする
借り換えをすることを決めたら、次は借り換え先を決めます。
ステップ1で候補に挙げた借り換え先から、先ほどご紹介した「金融機関の選び方」も参考にしつつ申請をする優先順位を決めると良いでしょう。
また、審査を申し込む際には各種書類が必要です。必要書類としては、主に以下のようなものがあります。
- 本人確認書類
- 住民票
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 借入返済予定表
- 経歴書
- 会社謄本(法人の場合)
- 確定申告書
- 決算報告書
- 物件概要書
- 土地、建物の登記簿謄本
- 賃料表(レントロール)
- 公図
- 給与証明書(源泉徴収票)または給与明細
これ以外にも各金融機関によっても必要書類が異なるため、事前に調べておきましょう。
STEP3:元の金融機関にローンを一括返済し、新しい金融機関と契約を結ぶ
審査に通ったら、元の金融機関に残金一括返済の手続きをします。手続きをすることで、金融機関の利息を止めることが可能です。
新しい金融機関と契約を結び、融資が下りたらこれまでのローンを一括返済し、今後は新しい金融機関へローンを返済することになります。
この記事のまとめ
ローンの借り換えのメリットやデメリット、方法について解説しました。
不動産投資ローンは多額かつ長期に渡るため、少しでも金利の低いほうに借り換えることで毎月のキャッシュフローを改善し、トータルの支出を減らすことが可能です。
しかし、ローンの借り換えには費用だけではなく、時間や手間といったコストもかかります。そういったコストやデメリットと借り換えによる効果を比較し、本当に借り換えをするかどうかを見極めることが重要です。
プロパティエージェントの提携金融機関13行と、オーナー様に合った金融機関をご紹介可能です。
また、金融審査やローン借り換えのサポートもしますので、ローンの手続きに慣れていなくても、安心して不動産投資に集中していただけます。
「不動産投資をしたいけど、ローンのことが良く分からない」という方は、ぜひプロパティエージェントにご相談ください。
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