【 目次 】
不動産投資と言われて思いつくのは、マンション経営やアパート経営といった運用方法でしょう。
今回は、そのようなマンションやアパートを経営するにあたって生じるリスクとその対策について解説します。
知らないとこんなに損をする?空室で生じる損害まとめ
アパート・マンション経営において最も身近なリスクとなってくるのが、空室による賃貸収入の減少です。
5年ごとに行われる政府の土地統計調査によると、日本の住宅総数は平成5年次と平成25年次のデータを比較して30%以上増加しています。
しかし、総務省統計局の資料によると日本の総人口は平成に入ってから約3%の増加に留まり、人に比べて建物が増えてしまっていることがわかります。
さらに、平成25年次における空家の数はおよそ820万戸で、住宅総数に占める割合が約13.5%にまで及び、空家はいまや社会問題になっています。
空家だけではなく、マンションやアパートにおける空室も増えていて、賃貸経営によって収入を得ることを考えている方にとってはこのような状況はとても不利に働いてしまいます。
以下ではそのような空室による損害リスクを解説していきます。
収入減少
一つ目は、上記で述べた通り、収入減少のリスクです。
空室が出てしまうということは、当然その部屋からは収入が得られないことになりますので、結果として収入減少に繋がります。
一般に、アパート・マンション経営の収支というのは、以下のような要素が関係しています。
収入:賃貸収入、礼金、権利金、更新料、売却益
支出:ローン返済、税金、損害保険料、修繕費、外注管理費
収入のうち、最も大きく関わってくるのが賃貸収入になってきますので、空室によって賃貸収入が減ってしまうと、利益は見込まれなくなってしまいます。
家賃の下落
二つ目は家賃が下落してしまうことです。
空室が多くなってしまった場合いくつかの対策が挙げられますが、その一つとして、設定している家賃を下げるという方法があります。
家賃を引き下げてでも入居者を確保しようというのが狙いです。
マンション経営の場合、新築時の家賃決定を除いて、近隣の部屋と同じような家賃になるということは稀です。
同じ階・同じ間取りだとしても、入居時期が夏の閑散期であれば安い家賃、年度末の繁忙期であれば高い家賃といったような家賃変動もあります。
すなわち、近隣の家賃を比較して意図的に家賃を下げるという方法も有効であるということが言えます。
空室になったからといってすぐに賃料を下げてしまうと収入減少につながってしまうため、慎重に判断する必要があります。
法的リスク
近年では、マンションやアパートへの投資が普及したことによる供給の増加と、人口減少に伴う需要の減少によって、空家や空室が目立つようになり社会問題となっています。
総務省統計局による「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、昭和38年以降平成25年に至るまで、空家数と空家率はともに年々増加しているという結果を示しています。
そこで政府は事態の進行に歯止めをかけるため、空家に関する法律として、平成26年11月27日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
本来であれば、住宅用地の固定資産税や都市計画税は住宅用地特例により、その額を最大で1/6まで減額してくれるという措置があります。
しかし、この法律によって、特定空家等と認められる空家等に対して固定資産税等の住宅用地特例から除外するといったものになっています。
すなわち、特定空家と認められた建造物は固定資産税が今まで支払っていた額に対して最大で6倍にも跳ね上がってしまいます。
特定空家等と判断される基準は大きく分けて4種類に分かれます。
●そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
1.建築物が著しく保安上危険になるおそれがある
2. 擁壁が老朽化し危険となるおそれがある
●そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
1.建築物または設備の破損が原因で周囲に害が及ぶおそれがある
2.ゴミ等の放置、不法投棄が原因で周囲に害が及ぶおそれがある
●適切な管理が行われていないことで著しく景観を損なっている状態
1.既存の景観ルールに著しく適合していない状態になっている
2.汚れや損壊等により周囲の景観と著しく不調和な状態になっている
●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
1.立木が原因で道路にはみ出し通行の妨げになっている
2.空家に住み着いた動物等が原因で周囲に異臭や生態環境への悪影響をもたらしている
3.建築物の不適切な管理が原因で不審者の侵入が容易となっている
以上のような条件は、マンションやアパートに空室が一部屋できてしまっただけでは当てはまりませんが、全ての部屋が空室になってしまった場合などではマンションやアパートでも特定空家等に該当してしまう可能性があるので注意が必要です。
先述の通り、土地だけを持っている場合と比べて、土地の上に住宅を建てる場合だと住宅用地特例の適用によって、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3にまで減少するという恩恵を受けることができます。
しかしながら、本法律における空家に該当してしまうとこのようなメリットも活かすことができなくなります。
法律という観点から見ても、空家ができてしまうような状態はお勧めできず、十分な対策を講じる必要があるということがわかります。
空室リスク対策!プロが教える運用方法を伝授
賃貸収入を増やすため、そして相続税の節税をお得に行うため、空室をできる限り減らすことが重要となってきます。以下では、アパート・マンション経営における空室対策のコツを解説していきます。
妥協のない立地の選定
マンションやアパートなどに投資する際は、その不動産の立地が決め手となってきます。
特に、都心部や駅から近い物件は入居者が見つかりやすいと言えます。
また、最寄り駅の路線についても十分に検討しておくと良いでしょう。
都内を例に挙げると、渋谷、新宿、池袋、東京などの主要駅にアクセスしやすい駅の周辺物件はとても人気です。
当社では、「スコアリング」という弊社独自の指標を設け、その立地を“感覚”でなく“定量的”に評価します。
スコアリングによって一定の点数を上回った土地を選定することにより、空室リスクを最大限に抑える工夫をしています。
入居者に合った建物デザインを決める
デザインというと、素人には手が出しづらい分野という印象を受けがちですが、建築デザインによってその部屋の魅力は大きく変わってくると言えるでしょう。
当社では、実際に賃貸管理部門の者が現地の賃貸仲介会社を歩いて廻り、その地域に住む方々の特徴をヒアリングします。
そのヒアリングを元に物件のコンセプトを決め、デザインを固めていく「モデリング」という過程を行うことによって、入居者に合った建物デザインを導き出します。
「スコアリング」、「モデリング」についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのページをご参照ください。
維持管理にかかる費用を惜しまない!
投資した物件には維持管理費用がかかります。
しかし、その出費を惜しんでしまうと居住環境は悪化していき、入居率の減少につながります。
また、空室が減らないと感じた時には、あらかじめ部屋に家具を設置するなどして居住環境の充実度をアピールするのも手段の一つといえるでしょう。
周辺相場より少し低い家賃設定に!
より多くの賃貸収入を得ようと家賃を高額に設定したところで入居者が入らないと収入は見込めません。
空室が目立つ際は、家賃設定を低くしてみたり、敷金礼金をゼロにして入居者のハードルを下げたりというような対策をとっていく必要があるでしょう。
中でも最もおすすめするのは、家賃設定を周辺相場より少し低めに設定するという方法です。
この方法の目的は、年数が経っても家賃を一定に保つというところにあります。
この方法により、入居者を入れやすくしながらも、築浅のうちだけ高く、築古になると安い家賃というようにならず、長い年数一定の家賃収入を保つことができます。
関連記事:管理と物件が重要!不動産投資で家賃収入を得る方法を実例で紹介
もし空室ができてしまったら?物件を高く売却するコツ
空室があまりにも目立ってしまった時には物件を手放すことも考えなくてはなりません。
しかし、ローンの残債との兼ね合いもあり、最終的な利益を得るにはできる限り高い価格で物件を売却したいものです。
そこで本項では、物件を高い価格で売却するためのポイントを解説します。
物件を手放す際は手に入れた当初よりも、少なからず経年劣化しています。
一般的に、経年劣化している物件の市場価値は低くなってしまいます。
物件を高く売るためには以下のようなポイントがあるので詳しく見ていきましょう。
継続的にメンテナンスを行うこと
その物件を購入しようとする方は、少しでも物件に汚れや傷を見つけるとマイナスポイントとして評価してしまいます。
継続的にメンテナンスを行うことで、きれいな状態で購入される方へ引き渡せるようにしましょう。
また、継続的なメンテナンスを怠ったまま売却し、後々になって買い手が知りえなかった建物の欠陥などがあった場合には、売り手側は損害賠償を請求される可能性があります。このような隠れた欠陥(瑕疵)に関する売り手の法的な責任を「瑕疵担保責任」と呼びます。
瑕疵担保責任をめぐる問題は、物件の売買だけでなく入居者の入れ替わりのタイミングでも起こりえるため、今後不動産投資によってアパート・マンション経営を志している方は注意が必要です。
物件の市場価値を知ること
物件の市場価値は物件を手に入れた当初よりも低くなっている可能性が高いのは前述の通りですが、その地域で再開発が行われていたり、インフレによって当初よりも価格が上がっていたりする可能性もあります。
そのため、物件の市場価値を正確に把握していないと損な取引をしかねません。
また、不動産という商品は単価の高い商品ということもあり、それだけ買い手の数も少ないといえます。
したがって、不動産管理会社に査定してもらい正確な物件の市場価値を知り、適切な価格で売却することがとても重要になってきます。
耐震設備を整えておくこと
2011年の東日本大震災を受けて建築物の耐震性の重要性が再認識されています。
耐震設備の整った物件は買い手に安心感を与えるため、耐震設備の強化は必須です。
地震に対する基準には1950年に法定された「旧耐震基準」と、1981年に強化された「新耐震基準」があります。
1981年以降に建設された建物であれば新耐震基準に則しているはずですので、最低限震度5程度の地震に対しては建物の構造に損害がないように設計されています。
近年では、建設会社がそれぞれで独自の耐震技術を開発しており、耐震設備も充実してきています。
したがって、売りに出す前にあらかじめ耐震リフォームなどをやっておくというのもよいかもしれません。
関連記事:不動産投資で地震がリスクって、本当?
チェックしておきたい賃貸管理会社の業務内容
これまで紹介した通り、アパート・マンション経営によって収入を得るにはたくさんのリスクがついて回ります。こうしたリスクを避けて上手に投資する手段の一つとして、賃貸管理会社に委託する方法があります。
以下が、賃貸管理会社が行なっている業務の一例です。
・入居者募集
・家賃の集金代行
・近隣からの苦情処理
・室内設備の故障対応
・家賃保証
まとめ
アパート・マンション経営には、空室をはじめとするさまざまなリスクがあることを紹介しました。
しかし、衣食住というように、住宅は我々の生活には欠かせないものですので、需要がなくなることがないというのも事実です。
アパート・マンション経営のノウハウを学び、実りのある不動産投資が行えることを期待しています。
下記記事では経営していくうえで知っていると得する”節税”について解説していますので、よろしければこちらもご参照ください。
参考記事:不動産投資に節税効果はあるのか?経費計上シミュレーションで解説
参考記事:【税理士監修】不動産投資の節税ロジック!効果が高い物件と節税すべき人
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