不動産投資の利回りって何?投資の世界において基本のキ「利回り」について

不動産投資の利回りって何?投資の世界において基本のキ「利回り」について

投資について調べはじめると、必ず登場する「利回り」という単語。
投資に関するどの本を読んでも、どの資料でも、ほぼ必ず登場します。そのくらい、利回りというのは投資の世界において基本のキとも言えるんですね。
そこで今回は、不動産投資の利回りについて徹底解説!この機会に覚えてみてください。

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そもそも、利回りって何だろう?

突然ですが質問です。投資をする(したい)目的って何ですか?

基本的には今ある財産をなるべく多く増やしたい、つまり利益を出したいという人がほとんどだと思います。お給料にプラスアルファの収入が欲しいから。老後のために貯めておきたいから。子どもの教育資金にしたいから。万が一に備えておきたいから。

目的は人それぞれですよね。

いずれにしても、投資をするからには投資金額よりもプラスになるリターンが欲しいという人がほとんどのはず。そして増やせる財産は多ければ多い方が、そして増えるスピードは速ければ速い方が嬉しいですよね。

とはいえ「絶対に儲かる」と言いきれる投資は存在しないので、いろいろな角度から予測、分析、検討することが大切になってきます。つまり、投資金額を早く回収して、プラスとなる利益をあげられる投資対象はどれなのかを見極めること。それが、絶対に儲かるという保証のない投資においては、絶対に必要なことなのです。

検討すべき材料は幾つもありますが、そのうちの1つが今回のテーマ「利回り」です。利回りとは、簡単に言えば投資金額に対する利子も含めた年間収益の割合を測る指標のこと。もっと簡単に言えば、投資した金額に対して、どのくらいのリターンが見込めるかを測るモノサシです。投資をしようと思ったらまずは利回りを見ることで、1年間でどのくらいの収益をあげることができるのか予測することができます。

投資の種類によって、利回りの呼び方や計算方法も異なるので、まずは不動産投資以外の利回りについて説明していきましょう。

ちなみに利回りの単位は「%」で表し、リターンが大きいほど「利回りが高いor良い/高利回り」、少ないほど「利回りが低いor悪い/低利回り」と言います。

関連記事:管理と物件が重要!不動産投資で家賃収入を得る方法を実例で紹介

いろいろな利回り

配当利回り

株式投資における利回りのことを「配当利回り」といいます。株式に投資する人=株主は、企業から配当金を受け取りますよね。でも企業(銘柄)がどれだけ利益を出して、どれだけの配当金を支払えるかは誰にも分かりません。そこで株式を買う前に配当利回りを見ることで判断の材料とします。

■配当利回りの計算式

          配当利回り=1株あたりの年間配当金額(予想値)÷1株あたりの購入株価(時価)×100

例)1株あたり1,000円(時価)の株式で配当金額50円の銘柄A

50 ÷ 1000 × 100 = 5

この例では、A社株の配当利回りは5%ということになります。

株式は秒単位で変わる性質があるのと、1年後の株価と配当金は誰にも分かりません。そのため配当利回りは、時価(投資をするとき)の株価と予想の配当額で計算します。

国債利回り

国債の利回りのことです。国債における収益は、利子と償還差益(額面金額と購入金額の差額のこと)の合計額。満期までの合計収益額を1年あたりに換算し、購入金額で割ることで利回りを算出できます。

                   国債利回り=1年あたりの収益額÷購入金額×100

例)10年満期・利率1%の国債(額面金額100万円)を97万円で購入した場合

まずは1年あたりの収益額を算出します。

利子10万円(1万円×10年)+償還差益3万円(100万円―97万円)

=収益合計13万円

1年あたりの収益額は13,000円(13万円÷10年)です。

これを上の計算式に当てはめてみると、

1万3千円 ÷ 97万円 × 100 = 1.3

国債利回りは1.3%ということになります。

 不動産投資における利回り

さて、いよいよ不動産投資の利回りについてお話しましょう。

不動産投資には2種類の利回りがあります。表面利回り(グロス利回り)実質利回り(ネット利回り)と呼ばれるものです。物件の資料に「利回り」と書いてあったら、それはほとんど表面利回りのことを指します。そこで、まずは表面利回りについて説明します。

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 表面利回りの計算方法

さて、下記3つのなかで最も高利回りなのはどの物件でしょうか?

  • 年間の家賃収入が180万円と想定される3,000万円の物件
  • 年間の家賃収入が280万円と想定される3,500万円の物件
  • 年間の家賃収入が600万円と想定される10,000万円の物件

物件価格、家賃収入ともに数字が大きいのはCです。でもこれだけでは収益の高さは分からないですね。こういうときには利回りの出番。表面利回りは次の式で計算できます。

              表面利回り(%)=年間家賃収入(満室時の想定家賃)÷物件価格×100

A)180万÷3000万×100=6%
B)280万÷3500万×100=8%
C)600万÷10000万×100=6%

Bの表面利回りが一番高いことが分かりました。では、Bが投資に適した儲かる物件かというと、ちょっと待った!表面利回りだけで物件の良し悪しを判断するのはキケンです!

不動産投資における利回りの注意点

「高利回り=投資に適した物件」とは限らない

実は、表面利回りと投資リスクは比例する傾向にあります。つまり表面利回りが高いほど、投資リスクも高い物件である可能性があるのです。

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都心部と地方部

都心と地方の物件を比べてみると、利回りが高めの傾向にあるのは地方の物件です。でも地方は不動産投資で最も避けたい「あるリスク」も高いのです。

今の日本で問題になっている人口減少。これは不動産投資においても無視することができません。というのも、不動産投資において避けたい「あるリスク」とは「空室」。なぜなら、空室があるということは家賃収入が得られないということになるからです。しかし人口減少が深刻化している地方では空室リスクがとても高いのです。空室が続いてしまい、賃料を下げざるを得ないことも少なくありません。

表面利回りの計算式にある想定年間家賃収入とは、あくまでも「満室時」を想定していて空室を考慮していません。つまり空室が発生してしまうと、想定した表面利回りほどの収益をあげることができなくなってしまうのです。

先ほど計算した表面利回り8%の物件Bを例に見てみましょう。6万円の賃料で設定している3つの部屋が5ヶ月間空いたままだとすると、6万円×3部屋×5ヶ月で、90万円の家賃収入がなくなります。これを表面利回りの計算式に当てはめてみると

(280万-90万)÷ 3500万 × 100 = 5.4%

2.6%も低い利回りとなってしまいました。

もちろん都心にあっても常に満室ということは現実的ではなく、どの物件でも空室は発生するものです。ただ、地方ではそのリスクがより高いということ。そのため、表面利回りの高さだけで投資判断をするのはキケンなのですね。

新築と中古

立地にもよりますが、新築より中古の方が利回りは高めのケースが多いです。しかし、これも要注意。先述したのと同様で中古物件の方が空室リスクが高いということもあるのですが、それとは別にもう1つ、早い段階で多額の支出が必要になることも少なくないのです。

築年数が経つほど建物が古くなるのは当然のこと。建物そのものはもちろん、専有部の設備(エアコンや給湯器、キッチンなど)も老朽化していきます。すると、状態によっては購入後すぐ~数年後に大規模なリフォームなどで多額の支出が必要になることも。リフォーム期間は入居者募集を中断しなければならないかもしれません。そうなると、やはり想定していた利回りほど収益をあげられない……なんてことに、なりかねません。中古物件は新築よりもそうしたリスクが高いことを念頭に置いておく必要があります。

当社の場合は賃貸管理手数料を3.5%で行っておりますが、そのうちの1%は入居者が退去した後のクリーニングなどにオーナー様負担が発生してしまった場合に備えて積み立ててあります。これにより、急な出費が発生する可能性が低くなり、かつ、実質2.5%の手数料で管理しています。

不動産投資には経費がかかる

表面利回りだけで判断するのがキケンなのにはもう1つの理由があって、それは経費のこと。実際の不動産投資には下記のように多くの経費が必要で、支出は物件価格だけではありません。

不動産投資に必要となる経費

【年間諸経費】

固定資産税
固定資産(所有する土地、家屋)に課税される税金。

都市計画税
都市計画区域内の市街化区域にある不動産に課される税金。

管理費
管理会社に管理業務を委託している場合に支払う費用。

水道光熱費
共有部分の水道代や電気代。

修繕積立金
建物の老朽化などに伴い大規模な修繕・メンテナンスを行うときのために積み立てられる費用。

修繕費
室内のクリーニングや設備交換のための費用。

【購入時諸経費】

不動産取得税
不動産を取得した際に課せられる税金。

登記費用
登録免許税や、登記を依頼する司法書士の手数料。

印紙税
不動産の売買契約書1通ごとに課される。

仲介手数料
不動産仲介会社が仲介に入っている場合にかかる手数料。手数料率は売買金額により異なる。

金融機関事務手数料
融資を組む金融機関に支払う手数料です。もちろん金融機関によって手数料額は異なりますが、10~30万円ほどとなります。

表面利回りは、このような経費を考慮せずに計算しています。そのため、あくまでも想定値。では、もっと現実的な収益性を測りたい場合にはどうしたら良いのか。そのときに使うのがもう1つの利回り、「実質利回り(ネット利回り)」と呼ばれるもの。名前の通り、より実質に近い利回りになります。

実質利回りの計算方法

実質利回りの算出には、諸経費を含んで計算します。

         実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100

先ほど計算したBの物件(年間の想定家賃収入280万円、物件価格3,500万円)は表面利回り8%でしたね。この物件を購入するときに100万円、年間に50万円の諸経費がかかると仮定として実質利回りを計算してみましょう。

(280万-50万)÷(3500万+100万)× 100 = 6.38% 

実質利回りは6.38%。表面利回りよりも1.62%低くなりますが、これがより現実的な利回りです。しかし実質利回りも満室を想定したものですし、諸経費も状況次第で大きく変わるため、やはり想定値でしかありません。

つまり、どちらの利回りも1つの目安。高利回りの物件を見つけた! と思っても数値だけで判断するのではなく、地域情報や賃貸需要、家賃相場、社会情勢なども細かくリサーチすることが大切です。

2017年までの利回り事情

利回りは物件の価格とは反比例の関係にあります。物件の価格が上昇すれば利回りは下がり、物件の価格が下降すれば利回りは上がります。

ここ数年、マンションの価格が高騰しているという話を聞いたことはあるでしょうか。2013年頃から、とくに東京では物件価格が大きく値上がりしたことで、利回りは低い水準で動いています。ということはリターンが低くて投資には向かない時代なのか、というとそういうわけではなく、今は多くの人たちにとって投資を始めやすい状況にあります。

物件価格が高騰した理由、そして投資のハードルが下がっている理由はナゼなのでしょう。複数の要因がありますが、一番のポイントとなるのは「アベノミクス」にあるといえるでしょう。

アベノミクスで不動産投資のハードルが下がった

2012年12月に安倍首相が表明したアベノミクスの政策の1つが金融緩和。そして、アベノミクスを加速させるため、2016年2月に日銀の黒田総裁が導入したマイナス金利。金融緩和とマイナス金利により、日本は超低金利時代となりました。金利が下がったことで、銀行からお金を借りやすくなったのです。

不動産の購入や投資に足踏みしていた人たちにとってもハードルが下がり、2016年4月~9月の不動産融資額は過去最高を記録するまでに。副業として不動産経営を行うサラリーマンが増えたのにも、こうした背景があります。

市場が活性化したことで物件価格は上昇したものの、低金利により手元にたくさんの資金がなくても投資を始めやすい状況になったのですね。

2016年に当社で初めて不動産投資を始めたお客様もこのようにおっしゃっていました。

『以前、投資用ローンの利率が高かったときには投資用不動産を購入してもなかなかローン返済が進まず、借金しか残らないという話しを聞いていましたが、今は時代が違いますね。条件によっては金利も約1.6%と低く、何年先までいくら払えばいいということがキャッシュフロー表などでわかるので、そこまでリスクはないということがわかります。』

また、当社で長く不動産投資を行なっていただいているお客様でも、この低金利をチャンスと捉え、ご自身の与信枠をこのタイミングで精一杯活用しようという方も増えてきております。

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これからの利回りはどうなる?

2017年までの数年間、低金利・低利回りが続いていた不動産業界。今年以降はどうなるでしょうか?世界情勢も不安定のなか予測は困難ですが、果たして?

金融緩和

ついに金利は上がるのか?

日本の不動産市場にも大きく影響を与えそうなのが、アメリカにおける金利上昇の動き。2018年9月19日、金融政策決定会合において現在の金融緩和を維持することを日銀が決定したので、すぐに日本の金利も上昇するということはなさそうですが、今後の動きに要注目。いまの物件価格は金融緩和の影響を受けているものなので、もしも金利が上昇することになれば価格は下落し、利回りも上昇する可能性があります。

2020年、不動産価格は暴落!?

いま、全国で深刻な問題となっている空き家。実はこの問題、東京都にとっても遠い話ではありません。2020年をピークに、東京都の人口は減っていくと予想されています。

人口が減るということは、住宅の需要も減ってしまう可能性があるということ。とくにこれからは高齢化社会、結婚をしない単身者も増えて、広いファミリータイプは需要が少なくなってくるかもしれません。物件の規模によって利回りが変動する時代になるのではないかと考えられます。

また、これまで以上に立地条件は重要になってくるでしょう。

東京都だから大丈夫、商店街が栄えているから入居がつくだろう、という現時点のみでの判断軸でなく、人口動態予測であったり、最寄り駅の乗降者数の伸び幅であったりなど、より将来を見据えた判断が必要になってきます。

さらに、日銀の黒田総裁による物価上昇の施策に伴い家賃水準が高まる可能性もあります。大事なのは表面的な物件の価格ではなく、実質利回りとなりますので、家賃水準が高まることで実質利回りが押し上げられるという効果も期待できるかもしれません。

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しかし、どんな投資においてもリスクは存在します。購入者の状況、不動産投資の目的、税金を考慮したキャッシュフロー、空室時のリスクなどしっかり把握し、リスクに対する対応策を事前にどれだけ準備出来るかで、結果が大きく変わってきます。そのため、投資や運用に関する信頼出来るプロフェッショナルな専門家探しが最も重要だと言っても過言ではありません。
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