不動産投資でも活用できる?グリーン住宅ポイント制度を解説

不動産投資でも活用できる?グリーン住宅ポイント制度を解説

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はワクチンの普及によって少しずつ解決に向かっていますが、日本国内ではまだまだ予断を許さない状況にあります。
経済の状況に目を向けると、全体的に株価は安定して高値圏を推移していますが、新型コロナウイルスによる景気の落ち込みを受け、少しでも経済の好循環を回復しようと設けられたのが「グリーン住宅ポイント」です。過去、2019年の消費税引き上げの際には住宅支援として「次世代住宅ポイント制度」などがありました。
今回は「グリーン住宅ポイント」の制度の概要や活用方法について詳しく紹介します。グレードアップされた投資用不動産をポイント付きで取得できる良い機会ですので、不動産投資をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

不動産投資の節税について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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グリーン住宅ポイントとは?

グリーン住宅ポイントとは、コロナウイルス感染拡大によって打撃をうけた経済の回復を狙うとともに、エコフレンドリーな社会を実現することを目的として国土交通省が2021年3月から申請受付を開始したポイント制度です。

一定の省エネ性能を満たす住宅を新築・購入する際や、リフォームした時に所定の窓口に申請することで、ポイントが発行されます。
ポイントは家具・家電、インテリア、健康・介護器具、食料品などさまざまな商品に交換できるほか、住宅をさらに高性能なものにするリフォーム工事にも使うことができます。

グリーン住宅ポイント制度の申請区分は、大きく分けると以下、3つになります。

・住宅購入(新築・既存)
・リフォーム
・賃貸住宅の建築

それぞれを詳しくみていきましょう。

住宅購入の場合の対象住宅とポイント数・利用条件

住宅の購入については、新築住宅、既存住宅のいずれでもポイントの対象となりますが、付与されるポイント数が異なります。
前提として、新築、既存ともに、購入者が自ら住む住居が対象となります。
具体的な対象住宅とポイント数は以下になります。

■新築住宅

対象住宅 付与ポイント数
高い省エネ性能等を有する住宅 ・認定長期優良住宅
・認定低炭素建築物
・性能向上計画認定住宅
・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
400,000ポイント
(加算がある場合は1,000,000ポイント)
一定の省エネ性能を有する住宅 日本住宅性能表示基準で定める断熱等性能等級4【かつ】
一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
300,000ポイント
(加算がある場合は600,000ポイント)

新築住宅とは建築から1年以内で誰も入居したことのない住宅を指します。
同一の住宅に関するポイント申請は1回のみです。

新築住宅の購入・建築の場合に以下の要件を満たすことでポイントの加算を受けることができます。

・東京圏の対象地域からの移住のための住宅
・多子世帯が取得する住宅
・三世代同居仕様である住宅
・災害リスクが高い区域からの移住のための住宅
各要件とも詳細な要件があります。)

■既存住宅

対象となる住宅 付与ポイント数
移住のための
住宅購入
・空き家バンク登録住宅・東京圏の対象地域からの移住のための住宅・災害リスクが高い区域からの移住のための住宅 300,000ポイント
住宅の除却を伴う
住宅購入
住宅の除却に伴い購入する住宅 150,000ポイント(移住のための住宅購入の要件を同時に満たす場合にはプラス300,000ポイント)

既存住宅とは、不動産登記事項証明書において「新築」と記載された日付が、2019年(令和元年)12月14日以前であるものを指します。既存住宅購入の売買契約額が100万円(税込)以上であることも適用要件の一つとなっています。

既存住宅も新築住宅同様、同一の住宅に関するポイント申請は1回のみとなります。

リフォームの場合の対象工事とポイント数・利用条件

リフォーム工事の場合には、対象となる工事の内容によって付与されるポイントが定まっています。例えば、太陽熱利用システムは1戸当たり24,000ポイント、節水型トイレは16,000ポイント(×台数分)といった具合です。積算されたポイントが50,000ポイント以上になる場合にのみ申請対象となり、ポイントの上限は世帯の属性や既存住宅購入の有無によって変わってきます。

【リフォーム工事の場合】

対象となる工事 世帯の属性 既存住宅購入の有無 1戸当たりの
ポイント上限
(1)エコ住宅設備の設置
(2)開口部の断熱改修
(3)外壁、屋根・天井 または 床の断熱改修

(1)~(3)と合わせて実施した場合のみ対象となる以下の工事等

・バリアフリー改修
・耐震改修
・リフォーム瑕疵保険等への加入
・既存住宅購入加算

若者・子育て世帯(40歳未満もしくは18歳未満の子を有する世帯) あり 600,000ポイント
なし 450,000ポイント
一般世帯 あり(安心R住宅に限る) 450,000ポイント
なし 300,000ポイント
一棟建物の一括申請の場合 300,000ポイント×総戸数を上限としてポイントを付与する。

新築、既存住宅の場合の条件にあった「購入者自ら居住する住宅」という条件は、リフォームに関してはありません。
つまり、投資物件のリフォームにも適用できるということになります。

修繕積立金について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

賃貸住宅新築の場合の対象住宅とポイント数・利用条件

賃貸住宅の新築の場合、一定の要件を満たす際にはポイント付与の対象となります。以下条件をみると、投資用の賃貸住宅を新築する場合にも対象となります。

・賃貸住宅はすべての住戸が住宅用として利用されなければならない
・所有者の居宅が含まれる建築物や店舗併用の建築物は対象外
・すべての住戸が40㎡以上の床面積を有している
・省エネ性能が高い新築賃貸住宅
・建築物省エネ法に基づく住宅のトップランナー制度の賃貸住宅に係る基準を満たす

付与ポイントの上限は一戸当たり100,000ポイントに総戸数を乗じたポイント数です。

対象期間と申請の締切日

■ポイントの対象となる住宅
売買契約、工事請負契約が
2020年10月15日から2021年10月31日までに締結されたもの

■ポイント申請の締切日
2021年10月31日(日)まで

今年の10月末までに売買または工事契約および申請手続きを終了させなければならないことから、現在の時点で多くの申請が集まっています。

2021年5月末時点での申請件数合計は11,913件、すでに審査を通過しポイントが付与された戸数は2,435戸、ポイント総数は9億5210.7万ポイントとなっており、申請開始から約2ヶ月間の実績としてはかなり早いペースで申請が進んでいるといってよいでしょう。グリーン住宅ポイントに対する関心の高さがうかがえます。

「次世代住宅ポイント制度」と「グリーン住宅ポイント」の違い

グリーン住宅ポイント制度と似たような制度として「次世代住宅ポイント制度」がありますが、これは全く別の制度です。

次世代住宅ポイント制度は2019年の消費税増税に関連して、増税前後の景気への影響を減少させることを目的とした制度です。耐震、省エネ、断熱性能、高齢者への配慮一定の性能を有する住宅の新築、リフォーム等に対してポイントを発行しました。
今回の「グリーン住宅ポイント」では、上記に加え、既存住宅の購入や賃貸住宅の購入が含まれており、対象の拡充がされています。

次世代住宅ポイント制度は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、要件が一部緩和され申請期間が延長されましたが、2020年8月31日をもって申請受付は完了、ポイントの発行についても2020年11月30日をもってすべて終了しています。

グリーン住宅ポイントは投資用不動産でも適用できる?

このような住宅の購入、リフォームに関するポイント制度は一般消費者が居住するために購入、工事発注するものに限定されていると思われがちです。

しかし、上述したとおり、
グリーン住宅ポイントは居住用であれば投資用不動産であってもポイント付与の対象となります。

既存住宅の購入に関しては、空き家バンクの登録や東京都内からの移住など特殊な要件があるために対象とはなりませんが、賃貸住宅の新築や一定の性能を付加するための既存住宅へのリフォーム工事についてはポイント付与の対象となります。

断熱改修や節水型トイレ、節水栓の設置、バリアフリー改修は入居募集をする際に大きなアピールポイントとなるため、近年不動産投資家の間でも注目が集まっています。

ポイント交換できる対象商品

2021年6月1日から、付与されたポイントの交換受付が始まっています。
ポイントの交換商品の選定は、政策の目標を達成するかどうかという基準で決定され、以下のようにテーマごとに商品が設けられています。

新たな日常

コロナ禍を受けてテレワークが推進されたなどの影響によって自宅で過ごすことが多くなったことから、新たな日常となった現在の生活様式に合った商品を提供するものです。
自宅での生活を充実させるもの、テレワーク、リモートワークをしやすくするものまた感染予防対策に関する以下のような商品がラインナップされています。

※具体例
・スマートフォン・パソコン周辺機器
・テレビ・オーディオ・プロジェクターなど映像機器
・空気清浄機・加湿器・除湿器・体温計など健康関連機器
・デスクトップパソコン周辺機器・事務用品などテレワーク関連用品
・園芸・楽器・自転車など趣味用品 等

省エネ

このポイント制度の中心である省エネに関する商品です。
省エネ性能の高い家電商品、遮光カーテン、ふすまや障子、サンシェードやブラインドなど断熱に関する商品がラインナップされています。

防災

近年の大地震や大雨・台風・洪水などに備えてレジリエンス(災害への抵抗力)を高めようとする以下のような商品も多くラインナップされています。

※具体例
・家具転倒防止器具
・割れたガラスの飛散を防止するフィルム
・消火器
・金庫
・火災報知器
・ポータブル電源・発電機 等

健康

長寿高齢化社会のなかで健康に過ごすことは、長期的には医療費や社会保障費の削減につながります。スポーツ用品のほかフィットネス用品、介護用品など多岐にわたる健康用品がポイントの対象となっています。

※具体例
・健康家電
・ゴルフ・野球・サッカーなどのスポーツ用品
・ランニングマシンなどフィットネス用品
・特定健康食品やサプリメント
・テント・バーベキュー用品などアウトドア用品
・車いす・介護用ベッド・歩行器など福祉介護商品 等

家事負担削減

働き方改革や女性の社会進出を推進するための一つの方策として、夫婦の家事負担の削減による自由時間の創出が挙げられています。

家事の負担を軽くする家電として、キッチン家電、掃除・洗濯に関する家電など、家事に関するほぼすべての家電がラインナップされています。
全部で3万件以上の家電がポイント交換対象とされており、商品数では最も多いカテゴリーとなっています。

子育て

子育ての金銭的負担を軽くして出生の減少に歯止めをかける一助となることを目指した商品です。

子供用のおもちゃ、衣類、ベビーベッド・学習机などの子供用インテリア、ベビーカーなどの子育て用品がポイント交換商品とされています。

地域振興

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う人の動きの抑制によって、特に地方経済は落ち込んでいます。

それもあって、ポイント交換対象商品にはブランド肉や海産物、野菜や果物、米やスイーツ、ラーメン・うどん・そばなど、ありとあらゆる地方名産品が交換対象となっています。
食料品だけで22,000件以上の商品数です。

追加工事へのポイント活用

付与されたポイントは対象商品との交換に利用できるほか、「新たな日常」や「防災」に関する追加工事の費用に利用することができます。

例えば以下のような工事についてはポイントが利用できます。
(賃貸住宅の新築の場合には、追加工事へのポイント利用のみに限定されており、他の商品へのポイント交換はできません。)

【新たな日常に関する工事】
・テレワーク関連設備の設置
・防音・換気設備の設置
・ウイルスの拡散を防止するための玄関工事、洗面化粧台や手洗い器の工事
・共用ワークスペースの設置(共同住宅の場合) 等

【防災に関する工事】
・太陽光発電設備・蓄電池の設置
・貯水システム・雨水タンクの設置工事
・燃料電池の設置 等

グリーン住宅ポイントの申請方法

グリーン住宅ポイントの申請は、購入者(工事発注者)が各種必要書類を用意して申請します。
売買前・建築リフォーム工事完了前に申請を行う方法と、売買後・工事完了後に行う方法がありますが、既存住宅の購入の場合は完了後の申請のみ、共同住宅のリフォーム工事の一括申請の場合は完了前の申請のみとなります。

どのような方式であっても完了前の申し込みの場合には、完了後に完了報告書類を提出しなければなりません。

申請書類には申請書の他、施工業者が作成した工事計画書や確認済証、グリーン住宅ポイント対象住宅証明書など専門的な添付書類が必要となることから、施工業者と相談しながら申請手続きを進めていくことになるでしょう。

実際の申請は、都道府県に設けられた申請窓口への提出・郵送の他、オンラインでも提出することができます。施工業者によっては、オンラインでの提出を代行しているところもあるようなので、工事発注の際に問い合わせてみるとよいと思います。

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グリーン住宅ポイントを利用するうえでの注意点

グリーン住宅ポイントを申請するためには、省エネ等求められる基準に適合することを確認するため評価機関等が作成した第三者評価の証明が必要です。住宅の建築やリフォームを発注する際には、事前に評価機関の基準に合った工事であるか工事業者と相談しながら確認する必要があります。

また、他に補助金や助成金を利用する場合には、その種類によってはグリーン住宅ポイント制度との併用が制限される場合があります。こちらについても事前に確認しておくと安心です。

まとめ

投資用不動産の購入やリフォームを考えているならば、グリーン住宅ポイント制度を利用することも選択肢の一つに入れてみましょう。一般個人の居住用住宅だけではなく、賃貸用アパートやマンションなど投資用不動産でもポイント制度を利用することができます。

もちろん、新築一戸建ての購入やリフォームをする際にも資金負担を軽くすることができる制度です。是非この機会に利用を検討されてはいかがでしょうか。

グリーン住宅ポイントについてご不明点がございましたら、「プロパティエージェント」までお気軽にご相談ください。ポイント制度の概要説明など、親身になってご相談に対応させていただきます。

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