【 目次 】
毎年2月~3月は確定申告の時期となり、特に自営業者やフリーランスの方などは確定申告書類を作成する必要があります。医療費控除を申請したり、ふるさと納税した分を控除する場合には、会社員の方も確定申告を行う必要があります。
「確定申告」と聞くと難しそう…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に2019年より、条件をクリアしている場合はスマホからでも簡単に確定申告書類を作成し、提出できるようになったこともあり、そこまで難しいものではありません。
この記事では、スマホで手軽に確定申告を行う具体的な方法や、注意点などを詳しく解説していきます。
確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
スマホで確定申告はできる?
従来は、紙で確定申告書類を作成していましたが、2010年から本格的に自宅PCから確定申告を行う「e-tax」が普及しました。そして、2019年1月からは、いよいよスマホで確定申告ができるようになりました。
しかし、スマホで確定申告を行う際には以下の点について知っておく必要があります。
- スマホで確定申告を「できる人」と「できない人」がいる
- スマホで確定申告を行う方法
- スマホで確定申告を行うメリット
- スマホで確定申告を行う際の注意点
スマホで確定申告を行うという方法は導入されたばかりなので、PCで行う確定申告や紙で行う確定申告とは手順や注意点が異なります。以下より、詳しく解説していきますので、スマホでの確定申告を検討している方は参考にしてください。
スマホで確定申告をできる人、できない人とは?
スマホで確定申告をできる人は、副収入がない会社員のみです。そのため、不動産投資や副業などをしている人は、スマホで確定申告を行うことができません。
スマホで確定申告ができるかどうかは、「給与以外の収入が一切ない人」に該当するかどうかということになりますが、「給与以外の収入」とは何が該当するのか、また、それ以外の細かい条件や、2020年以降の変更点がありますので、一つずつ確認していきましょう。
給与以外の収入とは?
以下のような収入です。
- 不動産投資収入
- 株やFXなどによる収入
- 退職金などの所得
- 副業による勤務先以外からの収入
このように、投資や副業による収入はもちろん、退職金をもらっている場合もスマホで確定申告書類を作成することはできません。不動産投資をされている方は、以下の記事で確定申告の方法について解説していますので参考にしてみてください。
不動産投資の経費として計上できる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
その他の条件とは?
以下に当てはまる場合も、スマホで確定申告を行うことはできません。
- 複数の会社から収入があり源泉徴収票が2つある場合
- 公的年金などの雑所得がある場合
- 勤務先で年末調整が終わっていない場合もしくは年末調整をしない場合
- 生命保険、国民年金、健康保険料の控除を利用する場合
- 医療費控除や寄付控除を利用していない場合
最後の「医療費控除や寄付控除を利用していない場合」とは、言い換えると「医療費控除や寄付控除(ふるさと納税など)を利用する人のみ、スマホで確定申告ができるということです。
2020年からの変更点
国税庁のサイトによると、2020年(令和2年)1月からは、以下の場合でもスマホで確定申告ができるようになります。
- 複数の会社から収入がある場合
- 公的年金などの雑所得がある場合
詳細のリリースはまだなので、スマホから確定申告を検討している人は上記サイトを注視しておきましょう。
スマホでの確定申告、e-taxを行う方法
次に、スマホで確定申告を検討している方に向けて、実際にどのように作成するのか、確定申告書類をどのように提出して納税するのかについて解説していきます。
e-Tax用のID・パスワードを準備
スマホでの確定申告はe-tax(電子申告)で行います。
そして、スマホで作成した確定申告書類をe-tax(電子申告)で提出する際には、ID/パスワード方式を利用する必要があります。ID・パスワード方式とは「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードを利用してe-Taxを行う方法です。
「ID・パスワード方式の届出完了通知」の発行の際には税務署の職員による本人確認が必要となるため、まずは本人確認書類(運転免許証など)を持参して管轄の税務署へ行きましょう。
また、一度ID/パスワードを発行すれば、それ以降も利用することできるので、翌年以降は税務署へ行く必要はありません。
※なお、2020年1月31日より、マイナンバーカード対応のスマホであれば、ID・パスワード方式の代わりにマイナンバーカードを利用したe-taxのサービス開始が予定されています 。
※参照サイト「国税庁」
スマホで確定申告書類を作成する手順
では、スマホで確定申告書類を作成する具体的な手順を解説していきます。まずは、国税庁の「確定申告書類等作成コーナー」にアクセスし、その後は以下の手順で行います。
- STEP1「作成開始」をタップ
- STEP2「ご利用の前に」を確認
- STEP3「利用規約」や「登録情報」の確認をする
- STEP4「給与所得」の入力
- STEP5「医療費控除」の入力
- STEP6「寄附金控除等」の入力
- STEP7「控除額」の確認
- STEP8「内容確認」をしてデータ送信
- STEP9「送信結果の内容確認」および印刷
- STEP10「入力データの保存」を行う
基本的には、上記のSTEP1~10は選択制や入力制であり、流れに従って選択・入力していくだけなので、さほど難しくはありません。
※なお、以下の入力例は執筆(2019年12月)現在の画面となっていますが、2020年1月から入力画面が変更される可能性がありますので、ご注意ください。
■STEP1「作成開始」をタップ
まずは、以下の画面が出てきますので、「作成開始」をタップします。
■STEP2「ご利用の前に」を確認
次に、以下の画面になるので、何年分の確定申告か、給与以外に申告する収入があるかなどを入力します。なお、上述した「スマホで確定申告ができる場合」に該当しないと、「お手数ですがPC版をご利用ください。」という文言が出てきます。
■STEP3「利用規約」や「登録情報」の確認をする
次に、以下の画面になるので、利用規約を確認し、事前に発行したID・パスワード方式の届出完了通知に記載されている利用者識別番号と暗証番号などを入力して、登録情報を確認しましょう。
■STEP4「給与所得」の入力
次に、以下の画面にて源泉徴収票と照らし合わせながら、給与所得などを入力しましょう。最後に、「入力内容から計算した所得金額」を確認して「次へ」をタップします。
■STEP5「医療費控除」の入力
次に、医療費控除を入力する場合には、以下の画面にて医療費控除額や、適用する医療費控除の選択をします。また、医療費を支払った病院名や、医療費の区分などを選択して「次へ」をタップします。
■STEP6「寄附金控除等」の入力
次に、寄附金(ふるさと納税含む)などを支払った場合には、支払い額や支払先などの詳細を入力して「次へ」をタップします。
■STEP7「控除額」の確認
STEP6までの入力が終わったら、最終的に控除額の合計を確認し「還付金の受け取り方法」を選択します。下記の例では、還付金は13,042円で「ゆうちょ銀行以外の銀行等への振り込み」となっています。
■STEP8「内容確認」をしてデータ送信
次は、以下の画面にてマイナンバーの入力や、送付時の申告内容・利用者識別番号(ID)の確認をし、事前に発行した暗証番号を入力して電子申告などのデータの送信をします。この時点で、確定申告書類の作成、および税務署への送付(e-tax)は完了となります。
■STEP9「送信結果の内容確認」および印刷
次に、「送信成功」になると以下のような受付番号や受付日時の画面になるので、必要であれば印刷しておきます。
■STEP10「入力データの保存」を行う
スマホで確定申告をした後は、入力したデータを保存しておきましょう。保存しておけば、再提出になったときや修正があったとき、保存したデータを呼び戻すことができます。このSTEP10が終われば、スマホで確定申告書類の作成、および提出に関する全手順は完了となります。
納税する方法
スマホで確定申告書類を作成して提出し、仮に納税手続きが必要であれば、3月15日までに税金を支払う必要があります。上述のように、従来の「スマホで確定申告」は1つの会社から給与をもらう会社員限定でした。
そして、医療費控除やふるさと納税の控除を行うことが目的なので、還付されることはあっても納税することはなかったでしょう。しかし、2020年からは複数の収入がある場合でもスマホで確定申告できます。そのため、場合によっては税金を納税することもあるので、その場合は以下の方法で支払います。
- 口座振替をする
- クレジットカード支払い
- インターネットバンキングなどで支払う
- 銀行窓口で振り込む
詳しい手続き方法に関しては、国税庁のサイトをご確認ください。
スマホで確定申告を行うメリット
ここまでで、スマホで確定申告書類を作成し、税務署へ提出する方法が分かったと思います。次に、スマホで確定申告を行うメリットを解説していきます。
自分の都合で手続き可能
スマホで確定申告せずに、「税務署へ持ち込み」という方法で確定申告するとします。その場合、原則は平日の2月15日~3月15日の決められた期間内に提出する必要があり、混雑している場合が多いです。
一方、スマホで申告すれば24時間どこでも書類作成・提出ができるため、特に平日忙しい会社員の方などにはぴったりでしょう。
ただし、納税期限は確定申告の期限内と定められているため、忘れないよう注意してください。
書類を印刷する手間がなく保管も安心
スマホでe-tax(電子申告)すれば、書類を印刷する必要はありません。また、医療費控除明細書や寄付金証明書などの書類も、紙で提出する場合は添付しますが、e-tax(電子申告)であれば不要になるのです。
※2019年4月より給与所得の源泉徴収票の添付は不要になりました。
※参照サイト「国税庁」
さらに、郵送で確定申告書類を提出する場合には、上述のように返信用封筒も用意する必要がありますが、e-tax(電子申告)であればそのような手間がない点もメリットといえるでしょう。
また、確定申告が完了した後の控えもWeb上で保管ができます。確定申告書の控えは住宅ローンや自動車ローン利用などの際に必要となるため、自宅保管での紛失リスクがなくなることも大きなメリットとなるでしょう。
スマホで確定申告を行う際の注意点
一方、スマホで確定申告する場合には以下の点に注意しましょう。
会計ソフトを利用して書類の作成だけ行う
上述したように、たとえば不動産投資などを行っている人が確定申告する場合、現時点ではスマホで確定申告することはできません。しかし、一部の会計ソフトを利用することで書類の作成自体はスマホでできます。上述した書類作成は、あくまで国税庁の「確定申告書類の作成コーナー」というサイトを利用する前提になります。
その場合だと、不動産投資などの所得に関する書類作成はできませんが、会計ソフトであれば書類作成だけはスマホでできます。つまり、忙しい人は「通勤中の車内などで作成する」といったことが可能です。
PCで提出する場合はマイナンバー方式でもOK
また、上述したようにスマホで確定申告書類を作成、e-tax(電子申告)するならID/パスワード方式になります。しかし、PCで作成してe-tax(電子申告)する場合には、マイナンバー方式でも申告が可能です(2020年1月31日から、マイナンバーカード対応のスマホをお持ちの方は、マイナンバーカード方式での申告も可能となる予定です。)。マイナンバーカード方式とは、以下を使ってe-tax(電子申告)する方式です。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダライタ
マイナンバーカードの取得は、マイナンバーカード総合サイトや住民票のある役所に問い合わせましょう。ICカードリーダライタは家電販売店などで購入できます。
まとめ
このように、スマホで確定申告するには、基本的には副業や投資などの収益がない会社員が対象ですが、2020年からはルールが変わります。そのルール変更により、複数の会社からの収入がある方も対象となるようなので、詳細はリリース後に確認しましょう。
スマホで確定申告書類の作成・提出ができれば、紙での確定申告はもちろん、PCでの確定申告よりも楽になります。そのため、来年確定申告を行う予定の人は、上述した点を良く理解しておきましょう。
また、プロパティエージェントでは、オーナー様向けに毎年ご参加頂ける税理士相談会・税理士による確定申告の書類作成フォローを行っております。不動産購入後の手間をできるだけ削減できるよう、サポートするサービスを徹底しております。購入後の確定申告が面倒なのでは…と感じている方は、アフターフォローの充実も検討材料のひとつとして、プロパティエージェントをご検討、ご指名いただけますと幸いです。
■監修者プロフィール
藤田 章 <税理士(日本・米国)・行政書士・宅地建物取引士>
日本長期信用銀行(現 新生銀行)、税理士法人朝日中央綜合事務所を経て、現在、千代田区六番町(最寄り駅:四ツ谷駅)で開業。
税理士の資格のほか、米国税理士、行政書士、宅地建物取引士を保有するなど、幅広な分野に関して相談可能です。
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